なぜコイルと直列に抵抗がついているのかご存じですか?あの抵抗はコイルと抵抗では速い速度で回路が断続されるような場合では電流の流れ方がまるで異なるためについているんですが、そこを理解されていればこのような質問はないはずなのです。コイルに速い速度で電流を断続するとコイルはその速度が速くなるほど抵抗値(正しくはインピーダンスといいます)が大きくなっていくんですよ。そして、この傾向はコイルの巻き数が多くなるほど、コイルの巻かれている鉄心の蓄えられる磁力が大きくなるほど強くなるんです。イグニッションコイルのようにエンジンの回転数によって断続の回数が大きく変わるような場合、高回転時でも十分な電流をコイルに流そうとすると低回転時には必要以上に大きな電流が流れてしまうのでコイルの加熱やポイントなどの焼損を招く可能性が出てきます。そこで断続の回数に影響されずに常に一定の抵抗値を持つバラストレジスタ(抵抗)を直列に取り付けてあるわけです。コイルの方の設計はバラストレジスタを通した状態で最大回転時にも十分な電流をコイルに流せるようになっているので、バラストレジスタを小さくしても過剰な電流が熱になるだけで意味はありません。
コイルがなぜこのように抵抗値が変化するのかというと、コイルの巻かれている鉄心にコイルが発生した磁力がたまっていき、鉄心が磁化されている間は、コイルに流れる電流は磁力という形に変換されて鉄心に貯められていくのですが、鉄心には貯められる磁力に限界があるので、鉄心がこれ以上磁力を貯められなくなると、コイルはただの長い電線と同じ扱いになり、急激に電気抵抗が小さくなるのです。アイドリングの状態からレッドゾーンまで大きく変化する回転数の範囲で常に十分な電流をコイルに流し過電流にならない様にするには直列にバラストレジスタを入れるのが最も簡単で確実な方法なのです。ここで重要になるのがポイント式で言うドエルアングルという物です。これはポイントが閉じている割合を示すもので、ポイントギャップの大きさで決まります。ポイントギャップが大きくなるほどドエルアングルは小さくなり同じ回転数でもコイルに電流を流している時間が短くなります。バイクなどの直接コイルからプラグにつながっている方式ではポイントギャップで点火時期の調整を行うものが多いのですが、ディストリビューターを用いたものなどではポイントギャップはあくまでドエルアングルの調整のためであり、点火時期はディストリビューター本体を回すことで噛むとポイントの相対位置を変えることで行うので、点火時期が適正でもドエルアングルが不適正という事もあり得ます。
まぁ、むやみにバラストレジスターの値を小さくしても点火火花が協力になることはありませんし、原付のように電装系に余裕のないものだと電気食いすぎで返って火花が弱くなる可能性もあります。点火用の電圧をマグネトーから得ているものだとマグネトーの電圧降下を招く可能性もあります。それからバラストレジスターはどの車種でも5Ωという訳ではありません。
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