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天地明察
首記角川映画を見て疑問に思いました。中国(既に元朝あたり)ではケプラーなどヨーロッパの天文学と違った独自の科学?が発達していて、日食月食の予知が可能になっていたということらしいのですが、本当なのでしょうか?少なくとも太陽から地球までの太陽系の正確な位置や構造と動きが把握されていなければ不可能なことだったのではないでしょうか。東洋では天動説がしんじられていたようですし、もちろん万有引力などは知られていなかったと思いますが、予測が当たったのは本当でしょうか?まぐれではとても当たらないと思います。
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日食・月食の予報に必要なものは、まずできるだけ精度の高い観測データを集めて、その中から規則性を見つけ出していくことです。 日食・月食が起きる理由については、すでに後漢の時代に張衡という学者が月食は月が地球の影に入って太陽の光に照らされないためだと説明しているなど、月・太陽・地球の相対的な位置関係に密接に関連していることは古代以来次第に知られて来ました。また規則性については18太陽年+10日8時間≒223朔望月というサロス周期は古代から知られていて、こうした周期性によるとみられる日食の予報は紀元前まで遡ります。(少なくとも「日食の予報をした」と伝えられる学者の名前が歴史に残っています) 中国でも別の周期が知られており、さらに月の位置がより正確に計算されるようになるにつれて、食の周期に頼らなくても予報ができるようになったといわれています。古代から中国の天文学者は特に日食の予報に熱中し、絶えずその改良に努めています。暦にない日食・月食が起れば、天文官が処罰されることがあったので頑張らざるを得ないでしょう。 この点で元の時代の中国の天体観測の精度は望遠鏡以前の時代としては優れていて、中でも郭守敬という学者がピンホールの原理を用いて精度を向上させた巨大な日時計を用いて観測した結果は同時期の西欧やイスラム圏と比較しても桁違いに精密で、冬至では0.005日(数分)の誤差で観測できているそうです。 日・月食の予報をするということはできるだけ精密な暦を作ることと同じですので、元の時代ほどの観測精度をもとに計算できればある程度正確な予報は可能です。もちろんこれは太陽や地球、月の軌道や運動の法則がすべて正しく理解されていたことを意味するわけではありません。運動の法則はわかっていなくても、運動法則の結果である位置を観測した精度がよく、見かけ上の位置変化の規則性が理解できていれば(これは法則を理解することとは異なります)、精密な暦を作ることができて日・月食の予報もある程度は可能であるということです。ここである程度といったのは、当時の精度では○月□日に日食が起きることは予報できても、現在のように細かく欠け始め・終わりの時刻や欠ける割合までは予報できなかったということです。
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- nananotanu
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日蝕月蝕の起きる周期にはある規則性が有りますから、過去のデータの蓄積と規則性に基づく周期を精確に算出するに足る高度な数学が有れば予測可能でしょうね。 だからこそ、より数学的に正しい暦を作ろうとしていたわけですし
お礼
ご回答ありがとうございます。 >日蝕月蝕の起きる周期にはある規則性が有ります それは理解しております。だから太陽系の様子がよく分かっている現代では科学、数学、物理学を用いて予想できるのだと思います。 >過去のデータの蓄積 これは古代から可能だったと思います。 >規則性に基づく周期を精確に算出する ための高度な数学自体があったことはそのとおりでしょう。でも 、この規則性というものが理論的にしっかりわかっていなければ数式を組み立てることは出来ないのではないか?というのがこの質問なのです。 太陽や地球、月の大きさや相互間の距離、そして何よりもそれらがどのような関係で相互に影響し合っているかということが正しく理解されていなければ、数式を立てることなど不可能ではないのかと思ったのですが、そうでもないのでしょうか?かなりアバウトでも予想は可能なのですか?そこが良く分からないのです。元朝の頃にはまだ地動説そのものも信じられていなかったはずですし。
お礼
明快に、詳しく私の疑問としたことにご回答いただき、まことにありがとうございました。 良く理解できました。 >見かけ上の位置変化の規則性が理解できていれば(これは法則を理解することとは異なります)、精密な暦を作ることができて日・月食の予報もある程度は可能であるということです。 精密な暦の作製と日食月食の予測は地球からの星星の見かけの動きの規則性を知るということで、同じ次元の中で可能だということですね。