シニアのための第二外国語効率的習得法
前回の質問を別のangleから、もっとpointを絞って、しかも汎用性のあるものにして再度伺います。
仮にここで既知、既習の外国語をk 語(Known Foreign languageの頭文字kを取ったもの)、未知、未習の外国語をu 語(Unknown Foreign languageの頭文字uを取ったもの)と略するものとします。今の私にとってはk 語=英語、u 語=仏語であり、将来、仏語を手がかりに伊語,西語を学習する場合は、k 語=仏語、u 語=西語,伊語となります。
u 語を学習する際、入門クラスは日本語で学ぶものとして、その上のレベルでは、k 語を手がかりとしながらu語を学習する方が効率的なのか、それともu 語はどれほどk 語と近似していようとk 語とは全く別の言語であるから、u 語はu 語で学習する方が効率的である、という考え方のいずれが正しいかということになります。これについては既に本カテゴリーにおいて過去多くの議論が交わされており、両者の意見が提示されているため、私の頭の中は大変錯綜しています。
ここで非常に興味深いご意見をある方から頂戴しましたのでご紹介します。この方は独語に通暁されているの方なので、仮にD氏(Herr Deutsche の略)と呼ぶことにします。D氏は下記のことを教えて下さいました。
1. “conception”は英語で「概念」だが仏語で「妊娠・~観・見解」である。同じ単語(signifiant)を使いながらその意味(signifie´)が異なる。(但しこれはD氏がたまたま英語にも「妊娠」という意味があることをご存知なかっただけのことですが、他にもこうした例はあると思われましたので掲載しました。)
2. 仏語学習後に伊語を学習すると、いわゆる「il病」が発生する。“il”が仏語で彼であるのに対し伊語では男性冠詞を意味する。
3. “jurisprudence”は仏語で判例を意味するが、“Jurisprudenz”は独語で法律学を意味する。
4. 日本語と中国語の間にも同じ漢字を使いながら意味が違う場合がある。手紙は中国語ではトイレットペーパーを指す。
以上のことから、D氏は言語の特殊性をその言語の完結性の中で理解することが重要であるとして、u 語はu 語で学習する方が効率的と結論付けています。
このご意見を伺い、以前、ある方がこれを並列干渉という現象であると指摘されていたのを思い出しましたが、Googleでこの語を検索しても一般的に定着した用語ではないようなので使用しません。しかし、「干渉」という現象は実際に存在します。また、干渉はk 語を手がかりとしながらu 語を学習する際発生するのみならず、母語からもあることも分かりました。
下記サイトの鎌田修氏のご指摘や、
http://koho.miyakyo-u.ac.jp/IUERC/kennkyu-3.htm
中国語母語者の日本語学習時における干渉を詳細に記述した下記サイト
http://hda1.lib.hit-u.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_bookview.cgi/AZ00011519/Front/link/ryugaku0000900030.pdf
が、この現象を理解する上で大変役立ちました。
また、鎌田修氏の別のご指摘に、「S. Krashenは、自意識などから来る緊張感が少ない子供は言語習得が早く、逆にそうでない大人は習得が遅くなると言う。これが、いわゆる『情意フィルター仮説』というものである」「S. Krashenは、大人の言語習得は習得(無意識な学習行為)と学習(意識的学習行為)の二面からなり、第二言語習得にとって大切なのは前者であり、後者は単にモニターの役目しかなさないという仮説を唱えた。理解可能なインプットを耳にしたときに言語習得が起こり、その積み重ねが言語能力の向上になるという」とある様に、やはり外国語は若い柔軟な頭の持ち主の方がはるかにadvantageがあるように思われます。余程強い動機と意志を持たぬ限り、厚い「情意フィルター」に覆われてしまって「無意識な学習行為」を苦手とする一般シニア層にとって第二外国語の習得は非常に困難と言えそうです。表題で「シニアの」と銘打ってあるのは、大学1,2年生が第二外国語を学ぶケースと我らシニア層が学ぶケースとを峻別するためで、前者は若い柔軟な頭の持ち主なので、年代によって学習方法が異なってくるのは当然と思われたためです。
そこで私が思い付いたのが、3段階でu 語を習得するという方法です。
第1段階:日本語で学ぶ(入門)
第2段階:k 語を手がかりとしながらu 語を学習する(初~中級)
第3段階:u 語でu 語を学習する(中~上級)
本質問の趣旨は、この方法が果たして効率的なのかどうかということと、干渉の問題はどこにでも顔を出してくるので、如何にして干渉を防ぐか、ということです。
例えば先日、英語で“probreme”というスペルミスを犯してしまいました。これはまず仏語の“proble`me”からの干渉(最後のe)と、日本語ではrとlを区別せず、ラ行はローマ字では全てrで表記するので、これは母語からの干渉ではないかと思いました。
お礼
お手数かけました。大変よくわかりました。 『ニューエクスプレストルコ語』に、Hos geldin.に対してHos bulduk.と返す会話例が載っていて、そのまま定型として覚えていましたが、日本人側はていねいめに返すように設定されていたのですね。 そのわりに、Nasilsin?にはIyiyim.で返すようになっていました。 (点のないiを出せないので、よろしくお汲み取りください) 疑問はすっかり解けました。ありがとうございました。