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譲渡担保と二重譲渡の問題について
k98r1128の回答
- k98r1128
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お尋ねの件について、譲渡担保の担保権的構成を徹底すると、 この場合の担保権者は抵当権者と同視することができることとなります。 したがって、譲渡担保を設定したとしても、その時点では所有権は担保権者には移転されず、 私的実行を待って、担保権者に初めて所有権が移転することとなります。 (つまり、この見解は、判例の立場とは異なることになる点にご注意ください。) 担保権者が、登記があることを奇貨として、譲渡担保の目的不動産を第三者に売却したとしても、 目的不動産自体は設定者が占有しているので、所有権移転登記自体が第三者名義となっているにすぎず、 設定者は、当該第三者に対して、所有権に基づく妨害排除請求権としての 所有権移転登記の抹消を求めることができることになります。 設定者の目的不動産の占有権原と、担保権者の登記保持権原はともに正当なものであって、 お尋ねの設例だと、二重譲渡の問題ではありません。 二重譲渡の問題は、例えば、設定者が、後順位譲渡担保権者に対しても、目的物を譲渡した場合が考えられますが、 不動産に関しては、最高裁、下級審とも、判例はありません。 (不動産は、公示手段があることから、実際上問題になることはほとんどありません。) 動産に関しては、平成18年7月20日の第一小法廷判決(民集60巻6号2499ページ)で、 後順位譲渡担保権者の譲渡担保実行を否定したものがあります。 一方、設定者が、妨害排除請求としての所有権移転登記抹消請求をする場合には、 担保権者に代位して、民法423条の債権者代位権の転用により、 所有権移転登記を受けた第三者に対して請求することが考えられます。 以上から、お尋ねの件だと、民法94条2項の問題は生じることはなく、 また債務不履行が生じた場合には、私的実行により担保権者に所有権が当然に移転し(いわゆる丸取り)、 あとは、所有者となった(元)担保権者と登記名義人である第三者との関係に収斂される(お尋ねの通り)こととなります。 なお、譲渡担保の所有権的構成、または設定者留保権説(道垣内先生の見解)の場合には、 (一応)所有権が担保権者に移転するのですが、担保権者が目的不動産を第三者に売却したとしても、 担保権の随伴性によって、担保権者の地位も移転するので、これまた二重譲渡の問題とはなりません。 ご参考まで。。。
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