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フロイトとデュルケム。
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ごくごく簡単に。 デュルケムの社会学のポイントは、社会現象を〈社会的事実〉として、言葉を換えれば〈もの〉としてとらえる、という点にあります。 「自殺」という行為を取り上げてみましょう。 仮にフロイトであれば、その行為者が自覚できていない〈無意識〉の領域に目を向けるでしょう。行為者を「抑圧」しているものは何なのか、というふうに。 それに対してデュルケムは、自殺を「個人の行為」としてではなく、〈社会現象〉としてとらえます。おそらくデュルケムでもっとも有名なのは、『自殺論――社会学研究』だと思うのですが、デュルケムは個々の自殺者の心情に踏み込むのではなく、社会と個人の関係のありように着目して「自己本位的自殺」「集団本位的自殺」「アノミー的自殺」 の三つに類型化しています。 つまり、自殺という〈社会現象〉には、自殺に至った行為者の主観的意図には還元することのできない、独自の〈社会的事実〉がある、と考えるのです。この〈社会的事実〉が個人を拘束し強制する、と。そうしてこの〈社会的事実〉は、〈もの〉として、客観的に記述、考察されなければならない、と。 このように考えると、観察することも客観的に記述することもできない〈無意識〉や〈抑圧〉、あるいは〈死の欲動〉などが、デュルケム社会学の考察の対象とはなりえないことはおわかりかと思います。
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