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平成6年2月18日大阪高裁判決の要旨を教えてください。
平成6年2月18日大阪高裁判決の要旨を教えてください。 金融商品取引法38条に違反する行為は、私法上の違法性があり、不法行為責任を負う というものらしいのですが、どうもはっきりしません。 ほんとうに「38条違反=違法性」と判断しているのでしょうか。 そこをはっきりさせたいのです。 ぜひお願いします。
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○ほんとうに「38条違反=違法性」と判断しているのでしょうか。 以下、判決文を、個人名は一部変えて引用します。 (1) 前記公正慣習規則第九号八条二項によると、協会員は、証券取引所が注意銘柄に指定した銘柄については信用取引の勧誘を自粛するものとされているところ、本州製紙株については、平成二年七月一〇日に東京証券取引所が注意銘柄に指定していたのに、Aは控訴人に対し、その本州製紙株について、信用取引で購入することを勧めたものである。 (2) 証券取引法五〇条一項六号、前記の証券会社の健全性の準則に関する省令一条三号によると、証券会社及びその役員、使用人は、特定の銘柄の有価証券について、実勢を反映しない作為的相場が形成されることとなることを知りながら一連の有価証券の売買等の受託をすることが禁止されているのに、Aは、本州製紙株の価格の暴騰が仕手戦によって形成されたものであり、仕手グループが売り抜けを図れば直ちに暴落することが予想される等既に本州製紙株の相場が作為的相場になっており、更に控訴人がこれを購入すれば、作為的相場の更なる形成に幾ばくかの寄与をする結果になることを知りながら、控訴人に対し、本州製紙株を購入することを強く勧めたものである。 (3) 証券取引法五〇条一項一号によれば、証券会社の従業員は、有価証券の取引に関し、その価格が騰貴し又は下落することの断定的判断を提供して勧誘する行為が禁止されているのに、Aは、控訴人に対し、本州製紙株が六○○○円までは確実に値上がりする旨断定的判断を提供して、その購入を勧めたものである。 (4) 被控訴人Yは、Aに対し、Aが(1)ないし(3)記載の各取引規制に違反する勧誘行為をすることが容易に予想できたのに、前認定のとおり、本州製紙株の購入を顧客に勧めるよう指示し、Aをして右各違反行為をなさしめたものである。 (五)以上によれば、控訴人に本州製紙株の購入を勧めたAの行為及びAをして右行為をなさしめた被控訴人Yの行為は、証券取引法、前記大蔵省令、前記公正慣習規則に違反するものであり、しかも○○グループの相場操縦に便乗して利益を上げようとした証券会社従業員としてあるまじき行為であって、全体として法秩序に違反し、不法行為の要件としての違法性を備えるものであったと認めるのが相当である。そして、A及び被控訴人Yの右行為が被控訴人Y2の業務の執行として行われたことは明らかであるから、被控訴人Yは民法七〇九条により、被控訴人Y2は同法七一五条により、右行為によって控訴人が被った損害を賠償する責任があるというべきである。 確かに法に反した行為であったことは認定していますが、法に反した行為はすべて不法行為になる、といっているわけではないでしょう。あくまで不法行為の枠組みの中で、不法行為に該当するような行為があったか否かという判断を行ったものです。
お礼
なるほど、 金融商品取引法38条違反=違法性とまで、明言していませんね。「全体として法秩序に違反」=違法性 としています。単なる法規違反=違法性(末川説)では、ダメで、法秩序に違反しないといけない。 そうなのかもしれません。あるいは、我妻説の「侵害行為の態様」の比重が大きくないといけないということ なのかもしれない。 ありがとうございました。