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荘子の読み方(音)について
哲学の内容ではではありません。 「荘子」と書いて、荘周の人物名をさす場合と、その書いた(とされる)書物を指す場合があるように思います。 そして、人物名は「そうし」と「子」を清音で、書物は「そうじ」と濁音でふりがなされます。 どういう風に理解したら言いのでしょうか? 孔子や孟子、韓非子、孫子は全て清音の「し」とされているようですが、こちらとの関係はどうなのでしょうか? 整理をつけておきたいので、よろしくお願いします。
- tinosannpo0811
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質問者が選んだベストアンサー
大学で漢文を教えております。 古い先生方は、人名の場合「そうし」、書名の場合「そうじ」と区別しておられます。諸橋先生の『大漢和辞典』(大修館)も、見出しをそのように区別しています。 さて、日本語には「連濁」と呼ばれる現象があります。『広辞苑』を引くと、「二語が複合する際に、下に来る語の初めの清音が濁音に変ること。『みかづき』の『づき(月)』、『じびき』の『びき(引)』の類」と書いてあります。この現象が、漢語でも起きることがあります。 この後は、学生時分に師匠から聞いたことの受け売りなのですが、漢語で連濁が起きるのは、「前の音が中国音で『ン』で終わる場合が多く、それも音読みの呉音の場合に多い」のだそうです。 例えば、『三国志』。国は「こく」ですが、「さんごくし」と濁って読みます。『漢書』は「かんしょ」ではなく「かんじょ」、『春秋』も「しゅんしゅう」ではなく「しゅんじゅう」。「三」も「漢」も「春」も「ン」で終わりますからね(中国音も「ン」で終わります)。 ただ、「中国音が『ン』で終わる場合」は、実はこれだけではない。「ng」で終わる漢字があります。例えば、「東」。日本語の音読みでは「とう」であって「ン」で終わりませんが、現代中国語ではdong1、マージャンでも「トン」と呼ぶように、「ン」で終わります。そこで、昔の先生には「東方」を「とうぼう」と読まれる方があったらしい。京都大の吉川幸次郎先生などは、所属学会を「とうぼうがっかい」だと譲られなかったそうです。 同様に、「中」はzhong1、「チュン」。そこで「中風」と書いて「ちゅうぶ」と濁る、「風」の「ふう」が「ぶ」と短くなるのは呉音の特徴、とは、師匠のおっしゃったことです。もちろん、言葉のことですから、ずいぶん例外も多いことではあります。 例えばご質問の「韓非子」は「非」が「ン」で終わりませんので濁らないのは当然として、「孫」は「そん」で「ン」で終わるのに「そんじ」とは濁らないし、「孔 kong3 子」「孟 meng4 子」いずれも濁りません(なお「老子」は、「老」が lao3 ですので濁りません)。「荘 zhuang1 子」も「曾 zeng1 子」も濁らない。この辺りは慣用に従うしかないのでしょうね。 初めに戻って、「そうじ」と濁ることがあるのは、もともと「荘」が zhuang1 で、後ろを濁音にしたがる音だったので、濁音にしても不自然ではなかったからでしょう。そうして、読み方が二種類あるならば、意味の区別に対応させると便利ですから、人名を清音、書名を濁音にしたのでしょう。ただそうすると、「儒家の曾子と区別するため」という、『広辞苑』等の説明はどうなるのか問題になります。人名の場合、「曾子」も「荘子」も「そうし」になってしまうからです。『曾子』という名の書物はありませんから、書名だけ濁音にしても意味がない。「儒家の陰謀」説は成立しないと思います。 漢語の連濁は、新しい言葉では消えていくようです。若い人は、というか、最早や初老の域にさしかかった私のような年寄りでさえ、「東方学会」は「とうほう」学会です。ホントに若い人の中には、「三階」を「さんかい」と清んで読む人もあるとのこと。「そうじ」と濁る読みは、早晩消えてしまう運命かも知れません。
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- 莽翁寒岩 一笠一蓑一杖(@krya1998)
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私も知ったかぶりで“そうじ”とよんでいました。 でも、両方でますね、“そうじ”も“そうし”も。漢字変換では。 よく、“清音”のものを、“濁音”にして読んでいる場合がありますので、ご回答の方の、儒家の陰謀であるとは知りませんでした。 確かに儒家からは老荘の方を、老荘の方からは儒家は、互いにあまり、いい理解が為されていないかのようですが。 今日本では、“そうじ”という方が通るみたいですね。 陰謀とは思いもしないで、悪く言っているとも思いもしないで。
お礼
ありがとうございました。 実際には「そうし」と発音する人も「そうじ」と発音する人もあります。 人物名を「そうし」、著作物を「そうじ」と使い分けしているかのような書き方もありました。 お分かりでしたら教えて下さい。
- chie65535
- ベストアンサー率43% (8526/19383)
http://www4.tokai.or.jp/kyuguan/mutoku/16_05souji.html に「日本で書物『荘子』のことを「そうじ」と読ませるのは儒家の陰謀です。」と書いてあります。
お礼
早速ご教示頂きましてありがとうございます。 儒家が曹子と区別する為に濁音の「そうじ」を広めたわけですか。 それは人物名にも書物名にも当てはまるのでしょうか? もしお分かりでしたら教えて下さい。
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