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退職届け受理後の覚書とは?署名の拒否は可能か?
- 退職届けを提出し、受理された後に本社からの覚書に署名するよう指示がありました。しかし、就業規則にそのような文言は存在しないため、署名を拒否することは可能ですか?退職金や退職出来なくなる可能性はあるのでしょうか?法的な観点から解説します。
- 退職届けが受理された後に本社からの覚書に対して署名するよう指示がありました。しかし、就業規則にはそのような文言が存在しないため、署名を拒否することはできますか?退職金や退職出来なくなる可能性はあるのでしょうか?法的な観点から説明します。
- 退職届けが受理された後に本社からの覚書に署名するよう指示がありますが、就業規則にはそのような文言がありません。したがって、署名を拒否することは可能です。しかし、署名を拒否した場合、退職金や退職できないなどの不利益を受ける可能性があります。この問題について、法的な観点から解説します。
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問 署名は拒否できるでしょうか?また、拒否することによって、退職出来ない、或いは退職金を出さない等の不利益を受ける可能性はあるのでしょうか? 答 署名を拒否することにより,退職できないなどということはありえません。退職届けを出せば,就業規則等で定められている期間経過後に退職はできるでしょう。なぜなら,国民は,職業選択の自由があり(憲法22条1項),それを「退職させない」という形で制限するような労働契約は,公序良俗に違反して無効(民法90条)と考えられるからです。 そして,退職金についても,貴社の退職金規程の要件を満たすことにより規定の額が支払われるのであり,本件署名拒否を理由とする不払いや減額は許されないでしょう。 一般に退職金は,賃金の後払いと功労報償の性格を有するといわれており,そのような退職金の性格を考えると,職務上の犯罪を犯した場合等ならともかく,署名拒否を理由として支払拒否することは,やはり公序良俗に違反する処分といえましょう。 本件覚書の主な目的と効果は,質問者様に対して,退社後に会社に不利益な行為をとらないよう心理的な圧力を加えることであるといえるでしょう。 ただし,法的に意味がない文書ということではありません。 というのは,転職にあたり会社の顧客やノウハウを奪うことは,目的・内容・程度によっては,会社に対する不法行為(民法709条)となりうるからです。 質問者様のような雇用関係にある方ではなく,取締役の事例ですが,在職中に会社の取引先の商権の奪取を企て,退職後に競業会社を設立して,もと在籍していた会社の取引先を競業会社の取引先としたことが,会社に対する不法行為となるとした判例もあります(大阪地裁平成14年1月31日判決)。 そして,本件文書は,退職者の行為により損害を被ったと主張する会社が裁判で損害賠償請求をする場合に,退職者の行為に故意・過失があり,また悪質であることを証明する証拠となると考えられます。 裁判で,「被告の元部長は,このように覚書に署名し,弊社に損害を与えることを十分に認識していたにもかかわらず,故意に顧客とノウハウを奪い,個人情報を流用した」等主張するのです。 覚書に署名していなくとも,会社に損害を与えることを認識しながら,あえて多くの顧客を転職先に紹介したり,ノウハウを流用すれば,それは,会社に対する不法行為(709条)となるでしょう。 逆に覚書に署名していたとしても,顧客のほうから転職者を慕って転職先の顧客となった場合などは,不法行為の要件である行為者の故意・過失が認められず,不法行為とはならないでしょう。 【日本国憲法】 第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。 【民法】 (公序良俗) 第90条 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。 (不法行為による損害賠償) 第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
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問 「(不法行為による損害賠償)第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」←これは退職後にも当てはまるのでしょうか? 答 退職後にも適用されます。不法行為(民法709条)は,債務不履行とは異なり,加害者と被害者との間に雇用関係等の契約関係がない場合にも適用されます。 退職した使用人は,在職時に得た顧客との関係やノウハウを活用して退職した会社の利益を侵害する可能性を有していることから,退職した会社の利益を害しない信義則(民法1条2項)上の不作為義務を負っていると考えられます。 退職後にも負うその不作為義務違反が,不法行為となりうるのです。 あるいは,退職した会社との雇用関係が,その性質上,「在職中に得た顧客との関係・ノウハウ等との知識によって,退職後にも会社の利益を侵害しない」という契約を含んでいるとも解釈できます。そう考えると,退職後にも契約違反として債務不履行責任(民法415条)を追及されることになるのです。 【民法】 (債務不履行による損害賠償) 第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
お礼
大変参考になるご意見ありがとうございます。再度絞り込んで質問のせてみますので、もしよろしければ、ご教示お願い致します。
補足
度々恐縮です。ご丁寧なご回答ありがとうございます。 答 退職後にも適用されます。不法行為(民法709条)は,債務不履行とは異なり,加害者と被害者との間に雇用関係等の契約関係がない場合にも適用されます。 退職した使用人は,在職時に得た顧客との関係やノウハウを活用して退職した会社の利益を侵害する可能性を有していることから,退職した会社の利益を害しない信義則(民法1条2項)上の不作為義務を負っていると考えられます。 退職後にも負うその不作為義務違反が,不法行為となりうるのです。 ※退職後、顧客に僕からアプローチは致しませんが、顧客側から呼出しを受け、従前の仕事を依頼したいと言って来た場合、上記ご回答や、他に問題はあるのでしょうか?教えてください。
お礼
早々のご回答誠にありがとうございます。故意ではなく、顧客要請であれば問題無いと言うことが解れば安心できます。ただ覚書を書けと言う会社の姿勢と、転職先、顧客に迷惑掛けたくなかったので・・・。(不法行為による損害賠償)第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。←これは退職後にも当てはまるのでしょうか?