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啄木の歌 「あれ」と「なむ」

tatsuohの回答

  • tatsuoh
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回答No.2

あなたのお尋ねの歌は、啄木が函館の弥生小学校時代の同僚、橘智恵子に対するプラトニックな恋情を綴った連作である。 しみじみと 物うち語る友もあれ 君のことなど語り出でなむ 死ぬまでに一度會はむと 言ひやらば 君もかすかにうなづくらむか 時として 君を思へば 安かりし心にはかに騒ぐかなしさ わかれ來て年を重ねて 年ごとに戀しくなれる 君にしあるかな と続いている。怠惰な代用教員の啄木に、心をわって語り合える友がいるはずもない。したがって、願望の形で、「しみじみと物うち語る友もあれ」と表現しているのである。これは、命令形の放任用法と言って、さまざまなニュアンスを添えるが、命令は、基本的に願望の表れである。 秋の夜の 鋼鐵の色の大空に 火を噴く山もあれなど思ふ などと同じ用法と考えてよい。したがって、ここでは命令形と考えられる。ただ、【ときしもあれ】【ともあれ】というような表現は已然形で、【時もあろうに、その時に】【そのようなこともあろうが】というように、逆接に働くものもある。 そういう友がいてほしい。そうして、智恵子を君のことを語りたいというのだから、「な」は強意の助動詞と「む」は意志(推量)の助動詞と考えるのが妥当である。 こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ これも、いい仕事があってほしい、それなし遂げて死にたいというのだから、前述の歌と同じ表現スタイルである。

sasa8787
質問者

お礼

十分納得のいくご回答、まことにありがとうございました。 ・命令形の「放任用法」ということについては耳にしたような気がするのですが、これに触れている文法書、学習参考書等あれば教えてください。 ・形容詞の已然形では係り結びなどと関係なく、「哀しけれ」「嬉しけれ」などと、連体止めと同じように詠嘆的に使う場合があるように思いますが、ここでも(動詞ですが)已然形の詠嘆的用法ということは考えられないでしょうか。 以上、ご教示いただければありがたく思います。  

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