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日本で広く信じられている、外国についての間違った情報

asterの回答

  • aster
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回答No.15

  やはり、宗教的なことで誤解があるのではないかと思います。 例えば、キリスト教については、大きく分けて、西方教会、東方教会があり、前者は、カトリック、プロテスタント諸派、イギリス教会に分かれているということが分かっていない人が多いのではないかと思います。 それらの区別があることを知っている人でも、カトリックとプロテスタント諸派のあいだの非常に大きな亀裂を意識している人は少ないと思います。プロテスタント諸派は、カトリック教会からは、「異端」になるのだということを、一般に知らないように思います。 「異端」とかいうと、中世西欧の異端審問などを思い起こし、現代に「異端」とは、そういうのがあるのか、という考えが日本人の通念だと思いますが、「異端」はあるのであり、プロテスタント諸派は、エホバの証人やモルモン教と同様、カトリックからは、異端なのです。 キリストの真の教えを継承している「正統教会」はカトリック教会だけなのです。東方教会、例えば、ロシア正教会も異端になります。日本で考えている、カトリックとプロテスタント諸派の「温度差」は、とりわけカトリック諸国の聖職者になると、全然違うものになります。 世界史などでは、腐敗したカトリックをルターが糾弾して、新教を起こし、キリスト教「宗教改革」を行ったと学びますが、これはカトリックの側から考えると、宗教犯罪者が、聖なる秩序を侵犯して悪行を成したのであり、彼らの一派は、徒党を組んで、数を恃んで、いまだに聖庁(ヴァティカン)に帰順し、罪を認めない居直り罰当たり集団だとなります。 ルターやカルヴァン、イングランド王ヘンリー8世などは、地獄に落ちているはずなのです。……少なくともカトリックの視点からは。日本人は、そこまで宗教対立が厳しいとは考えていないようです。罰当たりのアメリカなどもあるので、余計に、カトリックの立場がないともいえます。 またイスラム教をめぐっても誤解があるようです。例えば、イラン、イラク、サウディアラビアはどう違うのか、かなり違うのですが、みなイスラム教国だということで、一緒になっている可能性があります。 イラク、サウディアラビアは、人種的にはアラブ族で、言語的にもアラビア語を使います。イランは、元々ペルシアというのがその名で、人種的にはアラブ族とは少し違います。言語的には、印欧語族のペルシア語を使います。 サウディアラビアは、イスラム教が起こった土地で、イスラムの聖地、メッカとヤスリブ(メディーナ)をその領土に持っています。しかし、イラクは、イスラムの盛期において世界の中心であった文明の都市バグダッドを首都にしており、イラクの領土は、5000年前から偉大な帝国が興亡を繰り返した土地で、古代の偉大な文明の継承者の意識があります。 サウディアラビアは、所詮、砂漠の泥棒のような非文明人が作った国に過ぎないのです。他方、イランは、偉大なペルシア帝国の故地で、ペルシア文明の継承者であると自認しています。 イスラム教は、大きく二つの分派に分かれます。多数派は、スンニー派で、それに対し複数の少数派が存在します。少数派のなかの最大のイスラム教派は、イランに本拠があるシーア派です。 イスラム教では、ムハンマドが最後の預言者で、封緘とされますが、シーア派には、アヤトラとかイジュティハードと言った、聖職者の位階があります。イスラムの法律は、宗教法で、世俗法と宗教法が分離していません。これをシャリーアと言いますが、シャリーアは、コーランやハディースを元に解釈されて来ましたが、「正統な解釈法学」は、イスラム正統4法学派と呼ばれ、スンニー派では、コーランの解釈はできなくなっています。正統4法学派の解釈を解釈するのです。 しかし、シーア派のイジュティハードは、ムハンマドと同じ資格で、コーラン解釈ができ、シャリーア解釈もできるとされます。 スンニーからは、シーアが「異端」なのですが、シーアからは、スンニーこそ、数を恃んで、聖地を占有している「異端」であるとなります。この場合のどちらが異端かというのは、キリスト教のカトリックとプロテスタント諸派の争いよりも複雑です。 歴史的経緯では、ウマイア朝カリフが、力でイスラムの最高指導者の地位を奪ったのであって、更にそれをアッバス朝が奪い、本来のムハンマドの正統後継者は、シーア派の流れになります。日本の南北朝のような話ですが、違うのは、南朝に当たるペルシアのシーア派が、現代まで、領土も含めて、存続しているということです。 イランとイラクでなぜ戦争したのか、といえば、イランは偉大なペルシア帝国の継承者で、イラクは偉大なイスラム帝国の継承者で、更に、古代の大帝国の文明の継承者を任じていることがひとつの理由です。イランとイラクと同じイスラム教国ですが、背景に雄大な歴史を持っていて、相互に異端・正統関係にあるのです。従って、イラン・イラク戦争は、「宗教戦争」だったともいえるのです。同じイスラム教国で宗教戦争とは奇妙かも知れませんが、ヨーロッパで、新教と旧教のあいだで、同じキリスト教国同士で宗教戦争をした例もあります。 また、イスラム教は、好戦的で野蛮だという印象を、最近の日本人は持っているかも知れませんが、イスラムは、「平和」の宗教で、キリスト教よりもずっと「寛容」で、民族差別などもあまりありません。 「コーランか剣か」というのは、イスラムの厳しさと純粋さ、素朴さを示すのですが、この言葉通りではないのです。中間の道があり、イスラム支配者に税金を払い、シャリーアにおいて、非イスラム教徒が行うべき行為規範を守っていれば、別に、自己の宗教をそのまま持っていても、イスラム教国はこれを殺したりはしないのです。 イスラムは、事実、平和の宗教で、民族的にも寛容で、矛盾や悲惨なこともありましたが、民族的平等は実行した宗教なので、あれだけ広く広まり、また現代も信者が増大しつつあるのです。 キリスト教国は、人の魂を救うとか言いながら、アフリカの黒人を大量に奴隷売買したり、インディオや北米インディアンを虐殺したり、世界中で、キリストの名において、殺人、略奪、暴行、拷問、強姦、内乱扇動、とあらゆる悪を一手に引き受けて、イスラムと比べると、「反平和宗教」です。 キリスト教とイスラム教なら、歴史的にそのなして来たところからは、キリスト教が野蛮人の戦争宗教で、イスラム教が文明人の平和宗教だったのですが、反対だと思っている人が多いということです。これは欧米の自己合理化・正当化と、日本の拝欧米思想のようなものが関係しているのでしょう。 また話題が違って、イギリスの王室は、古く、伝統があるという認識があります。確かに古いですが、その古さは、たかだか300年で、日本の天皇家は、1400年はあります。 現在のイギリスの王家は、1714年に、スチュアート王家のアン女王が死んで、適当な後継者がいなかったので、ドイツの遠縁のハノーファー選帝侯ゲオルクを王に迎え、ジョージ1世としたときから始まったので、最初は、ハノーヴァー王家、次にサックス・コーバーグ・ゴータ王家、そして第二次世界大戦のとき、敵国ドイツの家名が王家の名であるのはおかしいというので、ウィンザー王家に名前を変えたので、イギリスの王家は、ドイツ起源で、三世紀弱の歴史しかありません。 古くて由緒があるのは、イングランドやスコットランドという「王国」であって、例えば、ロンドン塔は、古くから、重要人物を幽閉したり、処刑したりした伝統の場所ですが、現王家のウィンザー王家は、あまりロンドン塔に縁があるとはいえません。臣下公爵家としてイギリスで一番古いノーフォークは、16世紀にすでに公家でしたから、ウィンザー王家よりも、ずっと古い家柄です。  

mide
質問者

お礼

お礼が遅くなりましてすみません。 宗教的なことについては、誤解どころか知らないことが多すぎるようですね。 詳しい内容、ありがとうございました。

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