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ハーバーマスの理論
ハーバーマスについて調べています・・・が、 理想的発話状態や、コミュニケーション的行為など、いまいち理解できません。 彼の正当性に関する理論を分かりやすく教えてください。 また、比較の対象としてルーマンの正当性の考え方も 教えてもらえると助かります。
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- ghostbuster
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ハーバーマスの「コミュニケーション的行為」についてごくごく簡単に説明します。 >比較の対象としてルーマンの正当性 については触れていません(話が公共性とかになって、やたら広がっていくからです)。 まず簡単に結論を言ってしまえば、ハーバーマスのいう「コミュニケーション的行為」というのは「了解に達することを目指して言葉を使うこと」です。 ハーバーマスは人間の社会行為を二種類に分けます。 ・成功しようとする志向=戦略的行為 ・了解へ達しようとする志向=コミュニケーション的行為 わたしたちが話をするときは、一方が他方を論破する、あるいは権力を背景に相手を圧倒することで目的を達し、そうでない方は不承不承それに従うということ(戦略的行為)になりがちですが、ごくまれに、会話することで、双方とも話し始めとはちがう地点に到達した、つまりは当初の自分の希望とはちがっているにもかかわらず、双方が深い満足感を味わい、了解に達したことを実感できるような会話ができること(コミュニケーション的行為)がある。いったいどうしてこういうことが可能なのか。 それは話をしている双方が、無意識のうちに「理想的発話状況」というモデルを想定しながら話しているからだ、とハーバーマスは考えます。 現実にはそんなものはどこにも存在しない。 けれど、「分かり合える」「双方が了解に達することができる」という「画に描いた餅」を共通のモデルとし、それを先取りしつつ会話を積み重ねることによって、会話の中でその「画に描いた餅」を現実のものとすることができる、という。 では、その「理想的発話状況」を可能にする条件とは何なのか。 ハーバーマスはその条件を三つ挙げます。 1.真理性 2.正当性 3.誠実性 その前に、これはハーバーマスの三つの世界と対応しているので、それにも簡単にふれておきます。 ハーバーマスは世界を三つに分けます。 人間を取り巻く外的環境としての「客観的世界」、人間の意識や主観などの「内的体験世界」、そうして「社会的世界」、これは文化的に構成された社会的な領域で、さまざまな社会規範、わたしたちが無意識のうちに従っているようなものまで含むものです。 わたしたちはこの三つの世界にまたがって生きているわけです。 1の「真理性」とは、「客観的世界」に照らして、この発言が正当である、ということ。 2の「正当性」とは、「社会的世界」に照らして、この発言が正当である、ということ。 3の「誠実性」とは、「内的体験世界」に照らして、この発言が正当である、ということ。 ここから「すみませんが、水を一杯もってきてください」と先生から頼まれたとする例をハーバーマスはあげていきます。 1.真理性を欠く場合 「いいえ、一番近い水道でも授業が終わるまでに戻ってこられないほど離れています」 2.正当性を欠く場合 「いいえ、先生は私を先生の部下のように扱ってはなりません」 3.誠実性を欠く場合 「いいえ、先生は本当は、他のゼミナール参加者の前で私に嫌がらせをしようとしているだけなのです」 「すみませんが、水を一杯もってきてください」という問いかけに対して、聞き手はその問いかけが妥当なものかどうか、こうした観点から判断していきます。 つまり話し手は「真理性」「正当性」「誠実性」の三側面から批判可能な要求を掲げます。 そうして聞き手はその三つのいずれからでも「イエス」または「ノー」という態度を取ることができるのです。 ハーバーマスのコミュニケーションの目的は、あくまでも「欲望や目的を知らせる」ことにあります。 話すことによって目指すのは、欲望を満たし、目的を達成するためではなく、その気持ちを明らかにすること。 すると、それに対して、他の人々が応答してくれる(たぶん)。 彼らは判断したり反応したり、助けてくれたり邪魔をしたりするかもしれません。コミュニケーションをとる、というのは、つまりそういうことなのです。