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どうやって、希望する組成式の金属化合物を作っているのですか。
論文等で複雑な組成式をもった金属化合物をよく見かけますが(例:Al_2(WO_3)_3)、こういった化合物は、はじめから、この組成式になるとわかっていて、作るのですか。それとも、アルミニウムとWを適当に混ぜて酸化させたら、Al_2(WO_3)_3が自然にできたのでしょうか。 また、そのような組成式のものができていると言うことはなぜ、わかるのでしょうか。
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まず、ご質問の例は複合酸化物で、金属元素のみからなる金属間化合物or合金とは区別します。一般的に、無機化合物に関する質問と考えて回答します。 1.組成式になるように作るのか、作った結果が組成式のようになっているのか? これは、物によります。既にそういう組成式の化合物が作られていることが報告されていて、同じ物を作ろうとするときは、そういう組成になるように原料を調整して作ります。逆に、別の目的などで合成をしていて偶然出来た未知の化合物をよく調べたら、そういう組成だったという場合もあります。 2.化合物の組成をどうやって知るか? 真面目にやると意外と大変なんですよ、これが。 比較的簡単に作れる化合物の場合、大雑把な確認法としては、回答1のように、X線回折を使って試料の結晶構造データを取り、目的化合物のデータと比較しておよそ合っていて余計な回折ピークが無ければOKとします。あと、蛍光X線を使った組成分析なんかも比較的手軽な確認法です。 しかし、厳密に言えば、X線回折法も非結晶or微結晶の存在は分かりませんし、測定結果がブロードなピークだったり、結晶配向していると同定は困難になります。また、化合物によってはX線回折法では区別しにくい複数の候補物質が存在したりもします。さらに、窒化物や炭化物などでは軽元素側の組成ずれは、あまり結晶構造に敏感には反映しないことが多いですし。 試料の組成分析にしても、2種類の化合物の混合だと、その平均値しか分かりませんし、一般的に軽元素の分析感度は悪く、蛍光X線ではH,Li,Beは分析出来ません。 また、薄膜試料や微粒子試料はX線回折も組成分析もけっこう難しくなります。 そこで、試料の物性や化学的性質を調べることで組成を推定することも良く行われます。 未知の試料になると、組成式の決定だけでも大仕事になるのが普通です。信頼のおける結果は、単結晶試料が作られて、その精密なX線回折測定による解析結果を待つことが多いです。 なお、回答1の中で紹介されている状態図ですが、現在ほぼ揃っているのは2元系(2種類の元素から出来ている化合物系)で、それもまだまだ改訂中で、良く分かった化合物しか参考にはなりません。質問者さんが例に挙げたような3元系(Al、W、O)になると、ごく一部しかできておらず、それでも膨大なデータになっています。実際の研究現場では、やはり検索して先駆者の論文を複数手に入れて、検討するのが普通です。
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- kappath
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状態図というのをご存知ですか?? これは、どのような量のものをどれぐらい混ぜたらどのようなものができるかが書いている図です。 どのぐらいの量を混ぜたら欲しいものができるかがわかっているので、 その量を自分で決定して試料を作成するんですね。 なぜ分かるかということですが、 一番簡単な方法はX線回折をとることです。 X線回折というのは、作成した化合物がどのような結晶構造を持つのかを調べるのにつかう手法です。 ただ、全ての化合物が化学量論比でできているとは限らないので、 定量分析を行い、しっかりとした組成でできているかをたしかめるんですね。
お礼
ありがとうございます。状態図といえば、水や単元素のものしか知りませんでしたが、参考URLみたいなのがあるのは知りませんでした。
お礼
ありがとうございます。こういう論文には載っていないことで、よく躓いてましたので、現場を知る人の話で大変参考になりました。