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生サケのルイベはアイヌ料理か
「生の鮭にはアニサキスなどの寄生虫がいて生食するのは危険なので、 アイヌの人々は凍らせてルイベにして食べていた」 というのを聞いたり読んだりしたことがあります。 マンガ「○○しんぼ」にも確かそのようなことが。 生サケの危険性を減じるのにたしかにルイベは合理的な料理だと思うし、 アイヌの人々がその昔厳寒期に、厳寒期でもとれる獲れる魚や、あるいは塩漬けや燻製の魚をルイベにしていたのも、そうだと思いますが、 少なくとも鮭の遡上の時期と屋外に置いておいた魚がコチンコチンに凍ってしまうような厳寒期とはかなりずれていると思うので、 「アイヌの人々が(寄生虫の危険性を減じるために)生サケをルイベにしていた」 というのは誤りではないでしょうか。 ご回答あるいは参考になるwebページの情報などをお寄せ頂けると幸いです。
- jun1038
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- 科学
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No.4です。参考URLを見ると、雪が積もる前に採れた鮭は普通の干物に、氷が張るほど寒くなってから採れた鮭はルイベにする(と言うか、ルイベになる)ということらしいですね。両者の作り方に違いは無いようです。 場所にもよりますが、北海道で鮭の遡上が始まるのが9月中旬、ピークが9月下旬~10月初頭、落ち鮭(ほっちゃれ)が目立つようになるのが10月中旬。一方初雪は10月下旬~11月上旬、根雪になるのは11月中~下旬ですから、採れた鮭をすべてルイベにするのは不可能です。 またルイベは参考URLに書かれているように鮭を屋外に吊るして作るのが普通だと思うのですが、幕末に松浦武四郎が書いた「十勝日誌」には「所々にてルイベと云いて鮭の生を雪に漬置して切りてルサに盛り・・・」という記述があります。ですから寒中に晒すのではなく、雪中に埋めて保存するルイベもあるのかもしれません。
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No.4です。保存食として、燻製は作られていました(鮭トバの「トバ」はアイヌ語です)。 もちろん、産卵前の鮭を大量に採って燻製にすることも、やろうと思えば出来たと思われます。 しかし先述した萱野氏他の記述を読むと、アイヌの人々が、鮭に限らず自然の恵みを採り尽くさない様、細心の注意を払っていたことが窺えます。
お礼
再度のご回答本当にありがとうございます。 「生サケのルイベ」という本来の私の疑問に関しては、もうほとんど納得できているのですが、 いろいろ貴重な情報をお寄せ頂いているので、 もう少しあけておきます。 ただし、今日から事情により少しネットをはずれるので、お礼が遅くなるかも知れません。すみません。 で、サケの遡上なのですが、 今の時期(9・10月くらい)、 バンバン遡上してどんどん産卵して、 そして死んでいくサケはまだいないのでしょうか。 凍るほど寒くなくとも、 大量にサケの体が手に入れば、 それを利用しない手はないような気がするのですが。
ルイベはアイヌ語ですが、本来は刺身を指す言葉ではありません。No.1の方が参照されているページに書かれているように、寒風に晒され凍結と融解を繰り反すうちに、余分な水分が抜け干物状態になった魚のことです。 二風谷コタン出身の萱野茂氏は、「NHKスペシャル驚異の小宇宙・人体III-3 日本人のルーツを探れ」の中で以下の内容の事を書かれています。 「9月から10月に川を遡る産卵前の鮭は、その日に食べる分しか採らなかった。たくさん採っても、脂がのりすぎた鮭は保存が出来ない。大量に採るのは、11月に産卵が終わって死ぬばかりになった鮭で、これは脂気がなくなるために腐りにくい。またこの時期になると、外に干してもハエ一匹たかることはない。」 アイヌの人々が魚を凍らせたのは、寄生虫や味覚の問題以前に、獲物が少なくなる冬に向けて保存食を作るためでした。また生態系を乱さないための知恵も含まれていたようです。 精製塩は交易でしか手に入らない貴重品でしたから、基本的に塩は食事の味付けにしか用いられず、塩漬けを作ることはありませんでした。
お礼
ご回答ありがとうございます。 塩が貴重品というのは初めて聞きました。 勉強になりました。 11月の産卵後のサケを アイヌの人々が大量に収獲し、それを 「干物状態のルイベ」にしていたというのも 参考になりました。 ただ、やはり寄生虫対策というわけでは あまりなさそうですね。 保存のためですから。 秋口のあぶらの乗ったサケを 住居の天井近くに干して 燻製にすることはなかったのでしょうか。
- hokenyaboo
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No2です、 おっしゃる通り「ルイベが寄生虫・・・うんぬん」というのは後から付けた理屈でしょうね。 もとともルイベ自体が今の刺身風とは違っていたらしいので。
お礼
2度もご回答ありがとうございます。 No.4の方も書いておられますが、 ルイベ自体が凍った刺身ではなく、 屋外で凍結と融解を繰り返した魚 という意味のようですね。 サケの遡上の時期と合わせても、 「生サケの(凍った)ルイベで寄生虫対策」 というのは、あまり正確でない情報ですね。
- hokenyaboo
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人間の知恵と言うものは理屈では語れないところがあります。 河豚の調理法や猛毒の卵巣のぬか漬けにしても、蕨のあく抜きにしても、誰が最初に考えたのか?と、云う事が沢山あります。 ルイベにしても始めから寄生虫対策でした事ではないかもしれませんが、アイヌの生活の知恵と言うか、結果的に良い調理法が生み出されたことに変わりはありません。 どちらにしても「ルイベ」は魚(肉)を凍らせる(凍らせて切った料理)と言う意味のアイヌ語ですから出所は間違いありません。
お礼
ご回答ありがとうございます。 現代の「生サケのルイベ」が寄生虫対策になっていることや、 アイヌの人々が昔からルイベという食べ物の食べ方をしてきたことには異論はありません。 私の疑問は、サケが外洋から回帰・遡上してくる時期は、北海道でも9月10月11月くらいで、 生のサケでも全体が凍ってしまうくらいの厳寒期は1月2月だと思うので、 生サケなら1ヶ月も持たずに、腐ってしまうのではないか、ということです。 生のサケのルイベが全く無かったとは言いませんが、 サケのルイベのほとんどは、塩漬けあるいは燻製のサケのルイベではなかったかということです。 その意味で「寄生虫がいるので生サケをルイベにして食した」というのは言い過ぎで、 アイヌの人々は賢いので、(ルイベにできない)秋口の生のサケもきちんと焼いたり燻製にして食べていたのではないかということです。 いかがお考えですか。
- zorro
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お礼
ご回答ありがとうございます。 ご紹介いただいたページのなかにも、 >ちなみに管理人は、「襟裳」で食べました。 塩味がちょっときつかったですが美味しかったですよ。 というくだりがあり、 やはり生のサケのルイベではなく、 塩で保存性を高めたサケのルイベのようですね。
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補足
この場をお借りして、今までご回答いただいた皆さんに改めて感謝します。 ありがとうございました。 自分なりの結論は、 「アイヌの人々は寄生虫のこともわかっていたようで、厳寒期にルイベになったサケしか 身の刺身は食べなかった。 ただ、サケの食べ方としてルイベを主たるものとするのは、遡上の時期と厳寒期とがずれているので、 適当でないように思われる。」 というものです。