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経済学の「限界費用」について

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回答No.6

表がありますので、ウィンドウを適当な幅に広げて等幅フォントで見てもらえるとありがたいです。 2.完全競争市場について さて次に、完全競争市場での利潤最大化について考えてみましょう。 完全競争市場では、個々の企業は市場全体への影響力はほぼ無いという状況です。感覚的には、私達一人一人がスーパーで買い物をするときのような感じでしょうか。野菜を買いに行って、そのときに「私がこのたまねぎを買うとたまねぎの需要が増加するからたまねぎの価格が上がるだろう」とは一般庶民は思いませんよね。それは、自分の買い物の規模が市場全体に比べると余りに小さくて、自分の買い物が市場の実勢に影響を与えることはほぼないと無意識にせよ感じているからですね。それと同じように、完全競争市場では企業は自分の生産量の変動が市場価格を変化させることはないと考えているのです。 (余談ですが、こういう、個別に見れば、企業や人の行動が全体に与える影響は無視できるけれども、しかし全体としては大きな現象が起きているという状況(社会現象)を分析することにこそ、経済学などの社会科学の醍醐味があると思いますね。) したがって、完全競争市場では、企業の(もう一つ売ったときの)限界収入は、そのときの価格にほかなりません。つまり、完全競争市場では、企業は、 ● 「限界費用 = 価格」 となるように生産量を決めればいいというわけです。 ここで卵焼き業者の例に戻りましょう。今、市場価格は100円ですから、最も大きくもうけるには、限界費用が100円になるように生産量を決めればいいわけです。 ここで、確認していただきたいことは、限界費用=価格だからと言って、利潤総額がゼロだとは言えないということです。これは次のような例で確認できます。(限界費用についての仮定を変えています。)   個数|  1|  2|  3|  4|  5|   6|   価格|100|100|100|100|100| 100| 限界費用| 10| 30| 60|100|160| 220| 限界利潤| 90| 70| 40|  0|-60|-120| ある卵焼き業者の生産費用がこのようになっているとすると、生産個数が4個の時、ちょうど価格=限界費用となって、限界利潤(経済学では「利益」より「利潤」を使います)はゼロになっています。しかしこのとき、この業者の利潤は、 1個目では90円を儲けて、2個目では70円を儲けて、… というわけで、200円になっています。5個目、6個目では逆に儲けが減っていくので、4個生産したときの200円が最大の利潤になっています。(個数が小さすぎて限界費用の変化がピンと来ない時は、単位を千や万に読み替えてください。) え?4つ生産するってのは4つまとめてでしょ、だったら1つ目でいくら儲けて、2つめでいくら儲けてって順繰りに考えるのはおかしいんじゃない?と思われるかもしれませんね。 実は、そこには平均費用と限界費用の違いがあるのです。簡単のために固定費はゼロで総費用を考えてみましょう。 1個生産のとき → 総費用は 10円 2個生産のとき → 総費用は2つめ生産に +30円かかって 40円 3個生産のとき → 総費用は3つめ生産に +60円かかって 100円 4個生産のとき → 総費用は4つめ生産に+100円かかって 200円 というふうに増えていきますから、平均費用は、   個数|  1|  2|  3|  4|… 平均費用| 10| 20| 33| 50|… となっていきます。つまり、4個生産時には、平均費用は1個50円なので、1個あたりの平均的な儲け(限界利潤ではないですよ)は50円であり、総利潤は200円なのです。 4個目を作るときの限界費用は100円だけど、平均費用は50円。ピンと来ませんか? この表の場合、だんだんと限界費用が増えていますね。これは、生産量が増えると次第に効率が悪くなっていっている様子を表しているのですが、この場合の限界費用と平均費用の関係は、こんなふうに考えてみるといかがでしょうか。 3個生産の平均費用は33.3円ですね。4個目を追加するには100円の費用がかかります。 この100円は、33.3円の平均費用に能率悪化分の66.7円が加わったものだ、と見るわけです。この66.7円の負担は、生産個数全体である4個全体にかかってきて、1個あたりの単価を 16.7円ずつ押し上げます。その結果、単価が50円になるというわけです。 ともあれ、このケースだと、卵焼き業者の利潤はゼロではありませんよね。というわけで、 ●完全競争市場であっても、総利潤はゼロとは限らない ということになります。 ではなぜ、完全競争市場では利潤がゼロになるということが言われるのか。 それは、単純に言うと、 利潤が正→市場参入者>退出者→企業数増→供給増→価格低下→企業利潤減少 利潤が負→市場参入者<退出者→企業数減→供給減→価格上昇→企業利潤増加 という市場全体の調整メカニズムを想定しているからです。 つまり、「完全競争市場→企業利潤ゼロ」というのは、利潤最大化と限界費用の話とはまた違った筋になります。 それから一言追加すると、この市場メカニズムからわかるように、「利潤がゼロ」というのは、「全く儲けがない」ということを意味しているわけではありません。市場への参入(退出)は、その市場で活動すれば他の市場よりも利潤を多く(少なく)獲得できるという判断に基づいています。ですから、「利潤がゼロ」というのは、あくまで他で得られる利潤と同じ水準、言い換えると「他に比べて特に旨みがあるとも損する市場だとも言えない」という意味なのです。 長々とご説明しましたが、いかがでしょうか。的はずれでしたらごめんなさい。その場合は後学のために、的はずれの点をお教えいただけるとありがたいです。

keng-chang
質問者

お礼

お返事遅くなってすいません、、、。 ホームページのトップページにして、 何度か読んでる内に仕事が忙しくなり、中々読めずにいました。 本当に長く詳しく書いていただき感謝しています。 ありがとうございます。 ここまで書いていただいたのなら理解できると思いますので、ゆっくり読んで、理解していきたいとおもいます。

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