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菌交代現象
菌交代現象ってなんですか?
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人間の体には無菌でなければいけないところと(血液や心臓や皆さんが知っているところほとんどがココに入ります)、無菌にするのが難しいがために悪い細菌が増えるくらいなら自分でコントロールできる細菌で埋めてしまえ!(笑)と細菌を(言い方は悪いですが)飼っているところがあります。場合によっては細菌の能力を活用していたりなどもしています。こういったところは~細菌叢と呼ばれていて腸内細菌叢が有名です。他にも口の中や女性の膣の中あるいは皮膚表面などにあるのが知られています。 さて我々は体に感染がおこった時(ノドを大きく腫らしたり、切り傷が深かったり)には抗生物質や抗菌剤を服用します。その量や期間が長いとこれら細菌叢の細菌が薬でやられてしまい死んでしまいます。これを細菌叢が乱れるといいます。こうして新たに細菌が住む場所(ニッチといいます)ができるとこれまで大人しくしていた悪玉の細菌(薬に耐性があったりする)や抗生剤には全く関係のない真菌(カンジダなどのカビ)が異常増殖したりします。これを「菌交代現象」と言います。 菌交代現象が医原病といわれる所以はココにあります。菌交代が起こるとこれまで封じられてきた悪玉細菌や真菌による病気が表面化します。とくに長い間抗生剤を投与されている(つまりはそれだけ病気が重く、体力が低下している)患者にはこの作用が大きく現れ問題となるのです。これは日常の化膿性病変の中でも起こっていることで、医師には慎重な抗生物質選択と投与が求められているわけです。以上が人間にまつわる菌交代です。 続いて動物、とくに家畜に見られる菌交代について付記します。我々が日常口にしている獣肉は、野生のものはほとんどなく多くは養殖されたものです。養殖場は高度に過密化されており、そうしたストレスから家畜には感染症が流行しやすい環境にあります。また特定の抗生剤はエサに混じることによって家畜の摂食量を増やす作用が知られているため、欧米を中心に広く抗生剤が養殖に用いられてきました。ところがその抗生剤投与によって家畜(とくに鶏)の腸内細菌での菌交代がおこり「薬剤耐性の腸球菌の出現」という問題がクローズアップされたのでした。 今では抗生剤の使用は厳しく制限されるようになっています。抗生剤は20世紀の大発見でしたが、科学の進歩が諸刃の剣であるよい例示となってしまいました。
以下の参考URLサイトは参考になりますでしょうか? 「菌交代現象」 ◎http://tag.ahs.kitasato-u.ac.jp/dic/txt/bac/t0036.htm (Microbial substitution) ご参考まで。
- hosota
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ある感染症(肺炎、胆嚢炎、腎盂腎炎など)に感染してとき、普通は抗生物質を 用いて治療していきます。この時抗生物質によって原因の菌を減少、消失させるの ですが、逆に同じ部位もしくはその他の部位に薬剤耐性のある菌が異常に増殖して 別の感染症を発症することがあります。このことを菌交代現象と言い、起こった病気 のことを菌交代症と呼びます。 通常はスペクトルの広い(色々な菌に対して治療効果のある)抗生物質を長期間 に使用することによって起きます。 具体的には、 肺炎球菌による肺炎を発症して抗生物質を使用していたがなかなか治らず。痰の 培養検査にてMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)が認められた。 胆嚢炎のため抗生物質を使用していたが、途中より著明な下痢が出現。便の培養 検査にてクロストリジウム・ディフィシルと言う菌が出た。(抗生剤投与による偽膜性腸炎) などがあります。