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幕政改革の失敗
江戸幕府の三大改革などが悉く頓挫するのは、土地や米を大事にする石高制が貨幣経済に追いつけなかったから、という説明を教育テレビでしていました。 貨幣経済が発達するとなぜ石高制では太刀打ちできなくなるのですか? 「利息」が付くからですか? 端的に分かり易く、例を挙げて分かり易く、どちらでもよいのでお願いします。
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私の読んだ本では、新田開発が奨励され、コメの収量が増加して、米価が相対的に下がった。(供給が増えて需要がそのままなら価格は下がる)そのため、給与はデフレ傾向(米を売って貨幣を得るため)、物価は(ぜいたく品が増えたため)インフレ傾向となり、武士が困窮という図式のようです。(まだ、全部を読み終わったわけではないので、理解が追い付いてないところもありますが) その本では、改革自体が失敗とは言い切れない(幕府から見た場合)事例もあるとのことです。(一時的に幕府の財政が健全化の方向に向かったとか)
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- spock4
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No.2です。補足が入りましたので、回答します。 私が読んでいるのは、上念司「経済で読み解く日本史・江戸時代編」です。最近、とかく問題と言われている同氏ですが、別視点での日本史としては面白いかと。
お礼
上念さんは法律家なのに独学で経済学を学んで独自の見解をガンガン言っている人のようですね。そういう人の説をどこまで信じるべきか一抹の不安が出てきました。 一番整合性があって分かり易いだけに、本当はどうなんだろうという気がします。 書名を教えていただき有難うございます。図書館で借りてまずは齧ってみようと思います。 ありがとうございました。
- oska2
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>土地や米を大事にする石高制が貨幣経済に追いつけなかったから その通りで、米を基本とした経済活動は時代に合っていませんよね。 >貨幣経済が発達するとなぜ石高制では太刀打ちできなくなるのですか? 米を基本とした経済「重農主義」は、商業の発達で矛盾が大きくなりました。 幕府が発行する貨幣は、米の価格を基本としていますよね。 例えば、「1両=コメ1石」なのです。 米は、気象条件などで豊作不作が起きます。 つまり、米価格は大きく変動するのですね。 米価格が変動する事は、1両の価値も変動するのです。 極端に言うと、物価の変動が気象条件によって起きる。 これだと、商業経済は成り立ちません。 そこで、重農主義から重商主義への変更を考えたのが「田沼意次」なのです。 価値の変動が少ない「貨幣制度」を重視したのですね。 経済活性化=商人への権利付託。 米の値段を物価の基本とするのでなく、あくまで貨幣価値を基準にする。 「1両=米1石」でなく、1両は1両。 米の豊作不作に関係なく、1両の価値は1両なのです。 流石に、今まで誰も経験した事がない改革ですから「旧体制派」は猛攻撃! 特に武士は、米を俸禄として貰っていますからね。 何だかんだと攻撃して、老中を追い落とします。 「全ては、権現様の通りに」を合言葉に、1600年代の経済体制に戻したのです。 松平定信なんか、「吉宗の改革を手本」にして大失敗していますよね。 貨幣よりもお米。お米が貨幣。 この考えでは、どんな改革も失敗します。
お礼
> 物価の変動が気象条件によって起きる。 > これだと、商業経済は成り立ちません。 なるほど! 田沼の改革は先見性があったのに、賄賂部分だけを攻撃されて、追い落とされたわけですか。惜しい。 >「全ては、権現様の通りに」を合言葉に、1600年 代の経済体制に戻したのです。 >貨幣よりもお米。お米が貨幣。この考えでは、どんな 改革も失敗します。 なるほど。 他の説とは別に説得力がありますが、「増産によるコメの値打ちの低下や、商業経済による贅沢化=支出増加の説」も捨てがたく、結局どうなんだろうというところです。 回答をありがとうございます。
- eroero4649
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貨幣経済が発達するということは、インフレが起きるということです。日本でもアメリカでも世界中どこでも、経済が発展するとインフレが起きますね。 本来、インフレが起きると(悪いインフレではない限り)所得も上昇する「はず」です。世の中の経済不安の多くは、世間のモノの値段が上がるのに自分の所得が増えないことで発生します。かつての高度経済成長期の日本のように、物価の上昇より給料の上昇のほうが上回っていれば社会不安になることはありません。 けれど江戸時代の武士階級というのは、その給与は固定制です。江戸時代を通じて米の生産性は上がっていって、沢山のお米がとれるようになりました。それに加えて、農民たちはいわゆる「隠し田」を作ってきてもいたわけです。 武士への給与は「米」で支払われていました。武士はその米の中から自分たちが食べる分を確保し、その余りの分をお金に交換して生活に必要なものを購入していました。これを私は「コメ本位制」と呼んでいます。 市中のコメの総量は増えていけば、方向性としてはインフレになりますよね。供給量が増えるわけですから。そうすると武士が手持ちのコメを両替すると割に合わなくなるわけです。それに加えて生活必需品が経済成長を受けて値上がりするわけですから、武士にとっては世の中が経済成長すればするほど自分の生活は苦しくなることになります。 世帯収入が減少する武士の処世術は、主にふたつです。 ひとつが「アルバイト」です。これはまさに現代社会がそうですね。多くの企業が昭和の頃のように正社員に対して定期昇給の約束ができなくなったので、足りない分は副業をしてくれという方向になっています。 江戸時代の貧乏武士は、寺子屋の講師をやったり、ほおずきを作ったり、蛮社の獄で知られる渡辺崋山は絵を描いて生活の足しにしていたといいます。 もうひとつが、賄賂です。商人などから賄賂をもらうことで生活の足しにしていました。江戸時代の武士に対する賄賂というのは半ば公然と認められていたようなもので、これは賄賂というより「手数料」といったほうが近いです。 忠臣蔵では、浅野内匠頭が吉良上野介へ賄賂を贈らなかったからいじめられたってなっていますけど、あれは「しきたりを教える受講料」でもあるのです。確かに浅野内匠頭は経費削減で賄賂を削ったらしいですが、吉良側からすれば「その受講料でこっちはメシ食ってるのに、それを削るとは何事か」というのもあったのです。 だけど賄賂は賄賂ですので、段々タガは外れてゆきますよね。どっかの政権みたいに、官僚が高額な接待を受けたりとかね。 だからそこはちょいちょい「綱紀粛正」が入るわけです。 ここらへんで賛否両論分かれるのが、田沼時代と寛政の改革だったりしますね。 田沼意次の時代は賄賂が横行した腐敗した時代だったという批判があり、それもまあそうではあるのですが、その一方で経済成長時代でもあったわけです。様々な自由化が行われるとそれで莫大な利益を得る新興財閥が生まれて、当然その人たちは自由化を認めてくれた人にお礼の献金をします。GDPが上がったとしても、ごくごく一部の人が莫大な利益を享受していたらそりゃ一般庶民は面白くない。綱紀粛正を求める声が高まるのは当然のことでしょう。 しかし綱紀粛正の「バブル潰し」は、深刻な不況を招きかねません。その典型例が「平成のバブル潰し」ですね。それを主導したのは当時の日銀の三重野総裁で、バブルでブイブイいわしていた成金たちに成敗を与える姿は「平成の鬼平」と当時はとてももてはやされていました。 そうなんです。経済成長を優先させればそれはバブルを生みかねず、世の中の風紀も乱れます。日本のバブル時代もそうでしたね。しかし綱紀粛正と改革を行うと、不況になりかねません。 そこを行ったり来たりしながら行き詰まっていくのが「国家の終焉」のスタイルなのです。これは漢や元や明を始めとした中国王朝やローマ帝国やオスマントルコなどの大帝国でも概ね同じ道を辿ってゆきます。 徳川家康が作った徳川幕府の体制というのは、実に見事でほぼ完璧ともいっていい政治・社会体制でした。だからおおよそ200年に渡る治世で反乱がほとんど起きていません。大塩平八郎の乱はあくまで大塩平八郎の政治思想に基づくものです。 けれどもその完璧に思えた幕藩体制も、時代が進むにつれてズレが生じていったんですね。でもそれはもう国家というものが持つ宿命みたいなものではないかなと思います。ご清聴ありがとうございました。
お礼
詳しい回答をありがとうございました。 けれども、長くてよく理解できませんでした。 ごめんなさい。
- jkpawapuro
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>貨幣経済が発達するとなぜ石高制では太刀打ちできなくなるのですか? 「利息」が付くからですか? 利息が付くは要因の一つですが、武士の困窮を加速させる要因であり武士の困窮の引き金となる主因ではありませんね。 貨幣経済の浸透で消費経済が拡大するんです。 絹の着物を着て茶や煙草をたしなみ、蒔絵の化粧箱を使ったり銭湯をたしなんだり。 でも石高制というか米本位徴税だと税収はほとんど稲作からあがる米だけです。経済の拡大で商品は増えるけど米や年貢は増えないので経済全体における徴税率はどんどん下がるんです。 これが武士や幕府の収入面での相対的な減少。 支出面もどうようです。戦国直後の幕府ができたばかりの時代は木綿の服を着て米と庭の野菜だけ食べてた武士も、経済の浸透とともに絹を着ておかずを買い砂糖や菓子を食べまた盆暮れ正月お互いに付け届けの贈り物をするわけです。節句にはお頭付きでお祝いもします。ですが幕府から支給されるのは昔と一緒で米だけです。 この構図は下は下級武士から上は大奥まで一緒です。 社会は拡大するのに税収は増えない、支出は増大するのに収入は増えないこれでは当然に困窮します。
お礼
回答をありがとうございます。 商品が増えて贅沢な生活になっても米に換算される給料は一定なので相対的に貧困になる、ということでしょうか。 であれば、質素倹約のお達し等は、総体的に正しかったということになりますね。 それでも赤貧洗うがごとしというが如き惨状は、どうも首をかしげてしまいます。
お礼
なるほど。 給料の米の値打ちは増産で目減りし、 物価は贅沢品でのインフレ傾向で、 ダブルパンチ‼ これなら困窮するはずですね。 吉宗の享保の改革は成功の側面も多いようですが、 一番の大成功は何と言っても慶応の改革でしょう。
補足
お読みになった本の書名を尋ねるのを忘れていました。よろしければお教えください。