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能格動詞あれば中動態あり、ですか?
- 能格動詞が普通に(=一般に=充分多数)見られる言語では、意味論的「中動態(中間構文)」と見なせるものは有り得ますか?
- 後者の定義としては、普遍(言語の種類に非依存の)文法=普遍意味論に於いて、表層意味(意味形態)はおおかた(大概)能動態の意味どもしか含まれていないが、深層意味(意味内容)は必ず受動態の意義素構成素構造が含まれている構文法ども、とします。
- 能格動詞あれば中動態あり、ですか?
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再度の「補足コメント」を拝見しました。 >有り体に、質問の意図である疑問を申しますと、ウナギ文、コンニャク文は、言語普遍だろうか、ということです。或るハンガリー人の linguist (単なる語学通?)に、どの言語にも能格動詞は有る、と教えて貰いましたので、能格動詞が有る全言語が、中動態も有る言語でもあるのか、と思ったのです。日本語特殊説は偽では?と。 ⇒なるほど、ご質問の主旨はそこにあったのですね。つまり、能格的意味表現や、ウナギ文、コンニャク文などの方法による、いわば「省エネ的表現」は全言語共通か、とも言い換えてもよい発問というところでしょうか。 3000語とも5000語とも言われる(方言の解釈の仕方などで変わってくる)地球上の言語も、たった4つの類型(分析語・膠着語・孤立語・包摂語)に収斂すると言われる我々人類のコトバ、それこそ「省エネ的表現」ないし「伝達方法の経済化」はあらゆるタイプの言語におしなべて見られる現象と言えるでしょう。 ある局面では「短縮」であったり、「省略」であったり、別の局面では「状況や身体との協同」であったり、「非論理的構文」や「推測・言い換え」であったりするでしょう…。とにかく方法の如何にかかわらず、全ての言語に何らかの省エネ的表現の手段が存在するに違いありません。おっしゃるように、日本語だけが特殊なはずもないと思います。 そして、例えば、「構文上の主語の削除」、「主語・目的語の入れ替え」、「主題の主語化」…など、「状況意義素」のようなものを幾つか深層の変形規則に組み込むだけで、This car drives easily.でも、Esta bañera se sale.でも、「コンニャクは太らない」でも、「ボクはウナギだ」でも…すべての省エネ的表現が導出可能になるかもしれない、と考える次第です。
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- Nakay702
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「補足コメント」を拝見しました。(前便の我田引水、失礼しました。) >御結論は如何なものに成りますでしょうか。能格動詞があれば、意味上の中動態が有りそうでしょうか。 ⇒この種の動詞 (Ergative verb) は、英語では600語くらいあるそうですが、「理屈の上では同数の意味上の中動態がある」はずですよね。ただし、Colorless green ideas sleep furiously.を非文としない、というのと同じような広義のSemantic featureを許容しての話ですが…。 しかし、実際はどうでしょう。残念ながら英語を母語とする人のNative's intuitionも全然持ち合わせませんので、皆目見当がつきません。新聞・小説・論文の英文を読む限りでは、それほど多くの意味上の中動態があるとは思えません。 もし、それほどたくさんの意味用例があるなら、例えばFillmoreのように「特殊な基底構造」を設定せずとも、もっと汎用性のある、Lyonsか誰かの「使役変形」(や、不肖私の「主題化変形」)などで十分に変形導出できそうに思います。 結論として、現実には、能格動詞の意味上の中動態は、「600の半分もない」というのが私の個人的実感です。(だだし、すみませんが、根拠はありません。)
お礼
またまた誠に有難う御座います!
補足
有り体に、質問の意図である疑問を申しますと、ウナギ文、コンニャク文は、言語普遍だろうか、ということです。或るハンガリー人の linguist (単なる語学通?)に、どの言語にも能格動詞は有る、と教えて貰いましたので、能格動詞が有る全言語が、中動態も有る言語でもあるのか、と思ったのです。日本語特殊説は偽では?と。
- Nakay702
- ベストアンサー率79% (10024/12548)
ご期待に添えないかもしれませんが、以下のとおりお答えします。 スペイン語では、Se cala el tejado.「屋根が漏る」という表現があり、人によってはこれを「非論理的構文」などと呼ぶこともあるようです。 私は、今これを次のように分析したいと思います。まず、深層構造として、主語のほかに「主題」(~について言えば)とも呼ぶべきもの*があって、それが変形の過程で、というか、表層に躍り出てくる過程で「主語を排除する」と考えています。 深層構造における主語は、例えば、お示しのThis cloth feels soft.などのように、多くの場合「人」ですが、上文の場合は「雨水」です。英語でもThe roof leaks.と言いますので、よく似ていますのでこれで考えれば、納得していただけるかもしれません。 *浅学のため寡聞にしてこれを何と呼ぶべきか存じません。それで、私はこれを勝手に「主題格」などと呼んでいます。主格・具格・奪格のすべてを兼ねたような面がありますが、このどれでもないようにも思いますので、あえて勝手な命名をさせていただきます。(「主題化」Topicalizationというのとはちょっと違う概念のように思います。) 変形の過程で、つまり、主題が主語の座を奪って、形式的な主語として表層に躍り出てくる場合には本来の主語を排除するかというと、必ずしもそうとは限らないようです。例えば、日本語の「ゾウは鼻が長い」(解釈はいろいろで、ゾウを大主語、鼻を小主語と呼ぶ人もいます)では、両方とも表層に出た例だと考えます。 この特殊表現の解釈をめぐる深層構造を上のように考えれば、「意味論的中動態」や「表層の能動態、深層の受動態」という込み入った解析をしなくても済むと思いますが、いかがでしょうか。
お礼
誠に有難う御座います!
補足
まず申し上げたいのは、syntacticsは間違いだということです。Colorless green ideas sleep furiously. も、Do ideas sleep, Dad? - Yes, 同上文, son. という会話では、Dadのウソという有意味文です。『デカルト派言語学』そのものにも同様の偽言性に関する告白がしてあります。問いでも、深層・表層の「意味」と申し上げました。 ヒト祖語(Mozeson著"The Origin of Speeches" によれば原ヘブライ語。)は、絶対格ー能格動詞ー絶対格ー言語だったに違いありません。古語でも、「風、戸、開く。」は、風が=風で、だったのでしょう。それで、calarse にも、(靴などが)水を染みさせる・染み通らせる、などの意味も有るのでしょう。そのせいで、仰る例文と並行に、La lluvia se cala por el tejado. もアリなのでしょう。それに、話題化も、左方転移も、意味上の主格の主語=主題(topic-term 動詞を含む主題名辞)と他格の主語=主題との兼格の現象だ、というのも御説の通りでしょう。意味上の主格や他格や条件節主格の主語は、しばしば兼格します。但し繰り返しますが、具現・非具現の主語・述語は、意味上は常在・不可欠で、「深層統語構造」内のものでは御座いません。 ところで、御結論は如何なものに成りますでしょうか。能格動詞があれば、意味上の中動態が有りそうでしょうか。
お礼
厳密な御証明ではないものの、説得力のある、納得のゆく御回答を誠に有難う御座いました。