• ベストアンサー

薄肉リングの剛性について

薄肉リングの外周のある1点に,集中荷重をリング半径方向に(中心に向かって)掛けたとき,(薄肉厚さおよびヤング率を変えなければ)リング径が大きいほど荷重点の径方向変形量が大きくなると思います.これは,リング径が大きいほど径方向に対する剛性が低いからだと思いますが,この剛性はどのようにして計算できるのでしょうか? リング径が大きいほど剛性が小さくなることを数式で証明したいです. (材料力学の専門書を見たのですが分かりませんでした.) どうぞよろしくお願い致します.

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • veryyoung
  • ベストアンサー率75% (65/86)
回答No.1

変形は、ほぼ曲げモーメント由来のものですから、リング径の効果は、集中荷重梁のたわみ式と同じく、長さの「3次」である事が推測されます。モーメントは腕の長さに比例、各部変位曲率はそれに比例、偏角は曲率に長さを乗じたものとして生じ、たわみは、さらに腕の長さを乗じたものとなるからです。つまり極端な変形量でない限り、荷重 P に対し変位寸法δは、 δ = k R^3 P 、あるいは、もう少し係数を分離して、 δ = k' R^3 /( E I ) P   ここで E:ヤング率、I:薄板の断面二次モーメント という具合になります。k' が形状由来の固有係数である事に注目して下さい。一つ前のご質問に触れておきましょう。このような考察によって式の形を推測、k や k' を実験的に求めれば、実験式の位置づけになります。一方後述のように式の形を含めて導出すれば、精度に拘わらず、理論式扱いでしょう。 例題など導出過程は私も探し出せませんでしたが、  https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1393746303 から、前記 k' = 0.149 であることが判明しました。答あわせができる事は、理論値導出の励みになりますね。 「便宜上、以下の記述ではδは直径 2R に対してではなく、半径 R に対してのものとし、またリング径の減少方向を正にとっています。ご質問の設定では「外周のある1点に集中荷重」となっていますが、一点では静止させられませんから、添付図のように、集中荷重 P は対称二点に作用させます。便宜上θは垂直軸起点に時計回りに取ります。薄板に垂直なせん断力成分、すなわち径方向せん断力成分は明快、積分値としての各部曲げモーメントも容易に表現できるのですが、この問題が単純梁に比べ厄介なのは、開放端が存在せず、積分定数が自明でない事です。積分定数決定の工夫として、荷重点変位に基づく外部仕事と内部歪エネルギの等式を併用しました(唯一の方法ではありません)。 せん断力の径方向成分:τ(θ) = - P /2 cosθ (図の第一象限にのみ適用) よって曲げモーメント:M(θ) = ∫ τ(θ) R dθ = - P R /2 sinθ + Mo Mo は積分定数で集中荷重点における曲げモーメント。両辺 EI で除し、変位曲率として表現すれば、 φ(θ) = - PR/(2EI) sinθ + φo  (図の第一象限にのみ適用)  ---- (1) 内周が伸び外周が縮む状態が φ(θ) の正方向、また積分定数 φo は集中荷重点における変位曲率、式はリングが横長ににつぶれる様子を示しています。 荷重Pに対する応答変位量δが線形とみなせる場合、外部仕事は Pδ/2 で、内部歪φ(θ)のエネルギとの関係式は、図の第一象限分において、 Pδ/4 = ∫[0,π/2] EI φ(θ)^2 /2 R dθ 、整理して、 δ = 2 EI R /P ∫[0,π/2] φ(θ)^2 dθ  ---- (2) 一方、 変位δを各部変位曲率φ(θ)の累積として幾何学的に求めます。上下対称軸上(x 軸)では 水平方向変位はあっても 垂直方向変位は無い事に着目、各部偏角 φ(θ)R dθ は腕の長さ R sinθ をもって垂直方向変位に寄与するので、 δ = - R^2 ∫[0,π/2] sinθ φ(θ) dθ  ---- (3) 式2と式3のδを等しいと置けば、以下のようにφo を求める事ができます。式2に式1のφ(θ)を代入すると、 δ = ∫[0,π/2] P R^3 /(2EI) (sinθ)^2 - 2R^2 φo sinθ + 2EI R /P φo^2 dθ ---- (2a) 式3に式1のφ(θ)を代入すると、 δ = ∫[0,π/2] P R^3 /(2EI) (sinθ)^2 - R^2 φo sinθ dθ ---- (3a) 式2'から式3'を積分前に差し引くと、かなりの部分相殺されて、 ∫[0,π/2] 2EI /P φo - R sinθ dθ = 0 積分後、 φo = P R /(π EI )  ---- (4) が求まります。式3a の積分は、 δ = πP R^3 /(8EI) - R^2 φo   ---- (3b) で、これに式4のφoを代入すれば、 δ = (π/8 - 1/π) P R^3 /(EI) が、得られます。 直径あたり、2δ = 2 (π/8 - 1/π) P R^3 /(EI) です。2(π/8 - 1/π) = 0.1488 で、前述URLに見られた数値と一致します。 ところで、 http://www.geocities.jp/moridesignoffice/ring.html には任意点での直径変化が記載されています。これも導出してみましょう。計算式3の理屈を以下の手順で任意点に一般化すれば良いのです。ここでは、下方変位、左方変位、半径の減少変位を正符号としています。 θ部位の垂直移動:δy(θ) = -R^2 ∫[θ,π/2] (sinα - sinθ) φ(α) dα θ部位の水平移動:δx(θ) = -R^2 ∫[0, θ] (cosα - cosθ) φ(α) dα そうして、 θ部位の半径減少:δr(θ) = δy(θ) cosθ + δx(θ) sinθ   = P R^3 /(EI) ( (1/4) sinθ + (π - 2θ)/8 cosθ - 1 /π ) と計算できます。URL内容との一致が確認できました。 例題が見つからなかったとの事ですが、確かにそうですね。やってみて感じましたが、試験や演習問題に不向きなのかもしれません。立式に困難は無く、計算も単調ですが、しかし途中経過で式の項数が膨らみます。ミスなく一度で計算を終えられる人は稀かも。あるいは、スマートな解法を見逃しているだけかも。

octopass
質問者

お礼

丁寧なご解説をありがとうございます!! 私が知りたかったことの本質をずばりでご回答いただけました! 材料力学の専門家の方でしょうか?ただただ凄いですね. 本当にありがとうございました.

関連するQ&A

  • 片持ち梁の剛性について

    片持ち梁の先端に集中荷重がかかっているとき、その梁が荷重に耐えられるかどうかはどのように判断するのですか?たわみの量と材料の剛性は関係ないのですか? ※OKWAVEより補足:「技術の森(材料・素材)」についての質問です。

  • 薄肉リング加工

    外径φ235f6 内径φ220(0~+0.1)長さ44の薄肉リング形状品の旋盤加工を 検討しています。 素材はSTKM13Aφ241.8×t18×L220程度から5個取り(突切り)を考えてますが 類似品加工の実績上、扇状形状の爪を製作しパイプの変形がないよう チャッキング(三ツ爪外張り)しても切り離し後の製品は真円とならず ±0.2程度はひずんでしまいf6公差は無理なのではないかと予想します。 パイプ素材の残留応力等の影響もあるのではないかと考えておりますが 焼鈍すればよくなるのか? 材料取り、チャッキング等に問題あるのか? 同様な製品の旋盤加工している方アドバイスありましたら宜しくお願いいた します。 ちなみに旋盤は8inchのNC旋盤、20個程度の単発生産で予算が決まっている のであまりコストはかけられません。

  • 材料力学 片持ちはりの必要な厚み

    材料力学で 片持はりの問題なんですが 材料に必要な厚みを求めたいのです。 先端に一点荷重がかかるとして データが 長さ155mm 横幅75mm 厚みをXmm 曲げ強さ98Kg/mm2 ヤング率6000Kg/mm2 荷重 70Kg の場合 つまり、バキンと折れないためには 最低限どれくらいの厚みが必要なのか 求めたいのですが どんな数式にあてはめて考えればよいのでしょうか

  • 材料力学の問題で,梁の三点曲げについてです.

    材料力学の問題で,梁の三点曲げについてです. 図のような梁に中央集中荷重Pを作用させた時の梁に生じるせん断応力を求めてたいのですが。。。。。。 梁が奥行き方向に異種材料で重なっている状態です.両材料は離れないように,しっかりと接着されているものとします. 各梁のヤング率をE1,E2としたとき,各梁に生じるせん断応力に違いは生じるでしょうか?また公式などが有りましたら,ぜひご教授ください.よろしくお願いします.

  • 旋盤加工と材料力学

    旋盤加工でワーク形状とチャッキング圧は大きく関係いたします。即ち材料力学の世界です。 ワークに対しチャッキング圧が過大であると内外径の公差外れが生じ、アタリの数や位置によって厚み方向の公差に影響を及ぼします。 そこで、変形程度によって事前に変形量を予想したいのですが、材料力学の資料を見ても、円筒又は円盤を円周方向四か所から集中荷重を受けるケースでの径方向、厚み方向の撓み計算方法が見当たりません。 必要なのは円筒を輪切りにした断面形状を任意とした場合に円周方向または厚み方向から力を受ける場合の撓み計算方法です。 どなたか、解法又は、参考資料をご教示頂けませんでしょうか。

  • 円筒の変形について

    厚肉円筒の変形について色々と調べたのですが,以下のような場合がわかりmせん. 水平な面に置かれた円筒が,その中央上部1点に半径方向の垂直集中荷重を受けた場合,円筒内に生じる変形及び応力状態についてです. 考え方がわかる方,ご教授ください.

  • パイプ(リング)形状部材を縮径する圧縮応力計算方法

    パイプ(リング)形状部材に対して、360度全周から同時に荷重をかけ、所定の外径寸法に縮径することを考えています。 【イメージ図】   ↓  →○←   ※矢印は荷重を表す   ↑ 【寸法(仮)】 ・変形前部材の外径:Φ100 ・変形前部材の板厚:1mm ・変形前部材の幅 :10mm ・ヤング率    :206GPa←炭素鋼 ・縮径後部材の外径:Φ90 ※外径を縮めた分、幅方向か板圧が増加すると考えられるが、外形Φ90であれば良いものとする。 外径Φ100部材をΦ90に縮径するには、部材にどの程度の応力をかける必要があるかを計算から求めることができるのでしょうか? この場合おそらく塑性変形領域になるであろうということと、 単純圧縮ではなくパイプ形状のもののため、計算が非常に複雑になるのではないかと思っております。 値の算出が難しいのでしたら、計算の考え方だけでもかまいませんので、 ご存知の方おられましたら、 ご教示ください。

  • 荷重速度

    材料の塑性変形において材料に加わる荷重で 考慮していましたが、同じ荷重でも荷重発生 までの速度等で若干結果が変わることがあり ました。 材料力学では、公式でこのような配慮をして いるのか調査したいのですが 詳しい方 教 えて頂ければと思います。

  • 弾性体の大変形

    薄肉断面の円管等の完全断面圧縮時の歪エネルギーを理論的に求めるために、弾性力学の理論を適用する事は可能でしょうか? 材料力学におけるカスティリアノの定理を用いようと考えたのですが、微小変形のみに適用可能な定理ですので弾性力学でなにか大変形に適用できる理論はありますか? やはり有限要素法で実行しかないのでしょうか

  • 材料力学

    材料力学問題です。教えてください。。。   図のようなトラスの構造の荷重点Oにおける荷重方向の変位を求めよ。ただし2部材の断面積、縦弾性係数はともに、A,Eで与えられるとする。 お願いします!!