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ベンゾフェノンの求核付加反応について
有機化学の問題ついての質問です。 ベンゾフェノンのフェニル基に電子吸引基(-NO2)がオルト・メタ・パラそれぞれの位置に置換したとき、カルボニル炭素への求核付加反応への影響と強さの違いを答えよ。 また、電子供与基(-OH)の場合でも考えよ。 と言う問題です。 ニトロ基をつけて共鳴構造式を書いたとき、オルトとパラのとき求核付加反応が起こりやすくなると考えた(ケトンと結合している炭素の電子密度が下がるのがオルトとパラに置換した場合のため)のですが、オルトとパラではどちらで求核付加反応が起こりやすいのかが分かりません。 また、水酸基をつけた場合ではメタについたときが一番求核付加反応が起こりやすいと考えました。 同じく共鳴構造を書いた結果、ケトンと結合している炭素に電子が1番集まりにくいのがメタについた時だと考えたからです。 しかし、オルトとパラではどちらの方が反応しにくいか分かりません。 どちらの場合でも酸性度や塩基性度が影響するのかなと思いましたが、持っている書籍では答えを見つけられませんでした。 どなたか説明していただけないでしょうか。 よろしくお願いします。
- sysnsysn
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- lupin__X
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まず、説明のため、直鎖のカルボン酸で見てみましょう。 炭素数4の酪酸(ブタン酸)に塩素Clを置換した場合、 酸解離定数 pKa は、次のようになります。 CH3-CH2-CHCl-COOH 2.86 CH3-CHCl-CH2-COOH 4.05 CH2Cl-CH2-CH2-COOH 4.52 CH3-CH2-CH2-COOH 4.83 当たり前ですが、Cl が COOH に近い方が酸が強くなります。 ベンゼン環では、メタは共鳴構造が違いますから差は大きいですが、 オルトとパラは、共鳴構造の差は小さく、距離が影響します。 パラより、オルトの方が強く影響します。 ベンゼン環に OH の付いたフェノールで見てみましょう。 下に電子吸引性のフルオロ置換体・ニトロ置換体・シアノ置換体、 電子供与性のアミノ置換体と水酸基2置換体およびメチル置換体の 酸解離定数 pKa です。 (無) H-C6H4-OH 9.95 o- O2N-C6H4-OH 7.23 m- O2N-C6H4-OH 8.39 p- O2N-C6H4-OH 7.14 o- F-C6H4-OH 8.81 m- F-C6H4-OH 9.28 p- F-C6H4-OH 9.81 o- N≡C-C6H4-OH 6.86 m- N≡C-C6H4-OH 8.61 p- N≡C-C6H4-OH 7.97 o- H2N-C6H4-OH 9.97 m- H2N-C6H4-OH 9.87 p- H2N-C6H4-OH 10.30 o- HO-C6H4-OH 9.48 m- HO-C6H4-OH 9.32 p- HO-C6H4-OH 9.96 o- H3C-C6H4-OH 10.26 m- H3C-C6H4-OH 10.09 p- H3C-C6H4-OH 10.26 フルオロ置換体・シアノ置換体では、パラ体よりオルト体の方が 近い効果で酸が強くなってます。しかし、ニトロ置換体では、 オルトの方がパラより少し弱くなってます。これは、ニトロ基と 水素結合で酸解離しにくくなっているためです。フルオロ体では、 パラよりメタの方が強く距離の近さの影響が強く出てます。 電子供与性で酸解離してもオルトで水素結合を作れるものは、パラ より酸が弱くなりません。メチル基のようにオルトパラでまったく 差がないものもあります。 2-ヒドロキシベンゾフェノンは、オルトのヒドロキシがカルボニルの 求核反応を特にしにくくします。距離の問題と水素結合でカルボニル 酸素の吸引力を分散させます。強力な塩基性条件下では、-OH→-O(-) となり、電子供与性がさらに強くなります。 「どちらの場合でも酸性度や塩基性度が影響する」 ↑この表現は、わかってないと思われます。 ニトロベンゾフェノンは、酸性度や塩基性度を議論する部分が ありません。(どこが酸解離します?) 私もフェノール類の酸解離度で説明したのは、条件が比較しやすい からです。反応の場合、同じ条件にならないからです。
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