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鎌倉時代に新仏教が興った理由
ayumu-kの回答
- ayumu-k
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故・網野善彦氏が若かりし日に高校教員をしていたころ、学生からまさにepkakpeさんのような疑問を呈され、そのことを探求しようとしてできた著作が『無縁・公界・楽』(平凡社ライブラリー)なのだと、同書のまえがきに描かれていました。 この本では、新仏教を興したような僧侶たちが活躍する背景として、「無縁」の世界の幅広い存在を挙げています。ものすごく大雑把に言えば、これは封建社会に代表されるようなフォーマルな「縁」で形成される社会から途切れてしまった世界で、マージナルな場所であると同時に、それゆえに自由の空間が存在していたのだ…という議論です。ここに多くの新仏教を興した僧侶たちが活躍する余地もあったし、またこの「無縁」の場においては女性の活躍も目立っていたのだ、と指摘されています。またこの「無縁」は「楽」「公界」と似たような意味で使われていたようです。 しかし室町~戦国~江戸時代と経るにつれ、この「無縁」の世界は徐々に削られ、統治者たちによってコントロールされるようになっていきます。そのため、マージナルゆえの自由という余地は縮小していきます。今日、売春の世界を「苦界」と呼ぶのは、「公界」が自由を失ったなれの果てだからだ…とも言えます。 つまり、鎌倉期に新仏教が次々興ったのは、そうした活動ができる「無縁」なる場が存在していたから…ということが重要な背景のようです。 網野氏の研究は、「網野史学」と呼ばれるほどのインパクトを戦後の日本史研究に与えています。今日では彼の研究に刺激され、彼のテーゼを批判克服するような議論も生み出されているのでしょうが、当方は日本史研究者ではないのでこれ以上は把握できません。
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