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自衛権は自然権か?

WW-Bの回答

  • WW-B
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回答No.5

自然権とは、法を制定又は適用する際に法以前の (法より優先する) 普遍的権利として尊重される・されなければならない権利である、とする法律上の概念です。いわば「法の精神」に相当する部分です。 この自然権は人々・集団上に法によらずはじめから存在し、法によって侵すことのできない権利であるとして取り扱います。 この考え方は近代の先進各国により普遍的に採用されてます。国際社会の常識です。 法のないところには自然権もありません。自然権は法の精神として尊重されているのみであり、無法の地にはこの種の自然権もありえません。 安全保障の面での「自然権」といえばまずは「自衛権」ですが、人々・集団が自身を侵すものに対して反撃して自身の安全・地位を防護することは、法によらずして自然に有している天然の権利であると、法の精神上で考えます。 これは戦争の違法化を実現し、戦争放棄の概念を広めた1928年の「パリ不戦条約」のあたりから国際的に広く「法的」認知された自然権です。 この「パリ不戦条約」が日本の憲法9条のモトになってます。文言も非常に近しく、憲法9条はパリ不戦条約の精神を継承していると考えられてます。 よってそれを傍証としても、憲法9条は自衛権を自然権として取り扱っているとの思想が普遍的意義を持つようになってます。 つまり、日本は現行憲法で自衛権を否定はしてませんし、否定するのは法的に不可能であり、それが現在の法曹界の常識です。 否定されているのは「戦争」であり、「侵略」です。 過去の大戦が日本の侵略によるものであったとしたら、日本は犯罪を犯したことになります。逆にそれが自衛のためのものであったとしたら、合法的な行為であったとして許容されます。 なので日本は「侵略戦争」をしたのか「自衛目的」だったのかの要人の認識が社会的に問題視されるわけです。 以上を具体的に言えば、 某国が「戦争」をしたが、それが合法か違法かを国際社会が判断する際に、その戦争がその国にとって「自衛」のためであったのなら、合法として許容され、それ以上に「崇高で尊い」戦いとして称賛されます。 自衛行為は人々・集団・国が有する自然権であり、それは戦争放棄を定めたパリ不戦条約あたりから国際認知された平和原理だからです。国際「法」的に認められ、それ以上に平和を守るための崇高な戦争なのです。 そのような自然権を否定することは不可能、という考え方が近代国際社会の通念になってます。 自衛権には後年、集団的自衛権なる言葉が国連憲章上に追加され、もとよりの自衛権は個別的自衛権と集団的自衛権に弁別されて理解されるようになりましたが、 集団的自衛権は「国々」が有する自然権として考えられてます。 この集団的自衛権も国の集団が自身を防衛するための権利であるとするわけですね。 しかし集団的自衛権を行使する際は、パリ不戦条約や日本国憲法9条で明記されている「国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する」という部分に引っかかるケースが多々あるため、更に日本の場合には引っかかるケースが殆どであろうと予想されるため、非常に微妙な部分ではあります。 A国がC国から攻撃・侵略を受けた際にA国と同盟関係にあるB国がA国を助けに行った場合、AとCとの間の「国際紛争」にBが飛び込む訳ですから、「国際紛争を解決する手段としては永久に放棄する」という部分に引っかかる可能性が高い。 或は逆に、AとBは一心同体の同盟国であるから、Aへの攻撃はBへの攻撃と同等とみなしてB国の自衛権を発動して戦争に飛び込めば、それは集団的自衛権の発動となり合法化します。 日本にはそのような密接な国が米国以外に存在せず、しかも超大国であるその米国は日本の助けなどは殆ど不要な状況が長年継続してきましたから、日本が集団的自衛権を行使する場面は皆無でした。 日本がそれをやれば「国際紛争を解決する手段」としての戦争介入、つまり禁止された戦争の遂行となり、憲法違反であるとともにパリ不戦条約を犯し、近代の国際社会の法的常識を侵す結果になった。 日本が集団的自衛権を行使しても合法(合憲)なケースは、それが日本の個別的自衛権を超えない範囲に限られている、と判断されます。 米国を防衛するのではなく、日本を守っている米国軍を防衛するのは、ひいては日本防衛に寄与する、という考え方ですね。 それは集団的自衛権の行使ではなく、日本の個別的自衛権の行使である、と。 名前だけ「集団的自衛権の行使」であるだけで実質的には「個別的自衛権の行使」にすぎません。 それを集団的自衛権の行使であると強弁するのなら、それは憲法違反になります。 なお、 > 仮に憲法で自衛権を放棄したとして、その場合その放棄は無効だ、ということなのでしょうか? 現行憲法下では自然権である自衛権(個別的自衛権)は放棄できません。上記のように法の精神に反するからです。 ただし、現代の国際社会の法的通念を全く無視した異質な憲法を新たに制定すれば、国際社会のつまはじきものとしてではありますが、自衛権の放棄は可能でしょうね。

kobatetu01
質問者

お礼

大変詳しい説明を有難うございました。 大変勉強になりました。 有難うございます。

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