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需要の価格弾力性についての質問
- 需要の価格弾力性について質問があります。質問は2つあります。
- 一つ目の質問は、ある点における需要の価格弾力性が2なら、需要曲線がどんな曲線であろうとも、価格の変化に対して需要はその価格変化の2倍の変化をするということでしょうか。
- 二つ目の質問は、直線における需要の価格弾力性が1よりも小さい場合、価格の上昇は支出額を増加させると教科書に書かれていますが、具体的な理由がよく分かりません。
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あなたの2つ目の質問に移りましょう。回答1で言及したURLはこの問題によりふさわしいので、あのブックレビューをもう一度参照してください。 >また、直線における需要の価格弾力性が1よりも小さい場合、価格の上昇は支出額を増加させると教科書に書いてあるのですが、どうしてそうなるのかよく分かりません。 回答1で示したように、需要曲線が直線(需要関数が1次関数)のときは、価格変化が大きい場合でも、需要量の変化は価格変化率×需要の(価格)弾力性が成り立つことに注意してください。(ただし、くどいようですが、より一般的な非線形の需要関数のもとではこの結果は価格変化が小さい時に成り立つだけである。)以下では需要曲線は直線であるとして話を進めます。このとき、価格が1パーセント上昇しても、弾力性が1より小さいならば需要量は1パーセント未満しか減少しないので、価格×需要量である支出額は、価格上昇の効果のほうが需要量減少効果より大きいので、増加するというのが直感的説明です。 数学的に検討してみましょう。いま価格がx×100パーセント上昇すると、弾力性がεだとすると、需要量はεx×100パーセント減少するので、支出額(=価格×需要量)は[(1+x)(1-εx)-1]×100パーセントだけ変化する(この値が正なら増加、負なら減少)。 (1+x)(1-εx) - 1 = x(1-ε) - εx^2 価格の上昇xが小さいときは、x^2は小さく、無視できるので、上の式の左辺のプラス・マイナスの符号は1>εか、1<εかに依存する。すなわち、需要が非弾力的(弾力性が1より小さい)なら符号はプラスであり、価格上昇は支出を増加させることになる。もちろん、反対に需要が弾力的なら(弾力性が1より大きい)なら、符号はマイナス、価格上昇は支出を減少させることはいうまでもない。 では、価格の上昇が大きいときはどうだろうか?このときは、上の式の右辺の第2項をもはや無視できない!あなたの例あるいは上のURLで示された例が示しているように、たとえ需要が非弾力的であっても、価格上昇は支出額を減少させることはありうるのである。たとえば、価格上昇が30パーセント、弾力性が0.8なら、x = 0.3、ε= 0.8を上の式に代入し、-0.012、すなわち、支出額は1.2パーセント減少するのである。価格変化の大きさにかかわらず、価格上昇が支出額上昇に導く必要かつ十分な条件は、上の式から 1-ε > εx ということになる。これより、弾力性が小さいこと、すなわち、ε< 1は必要条件だが、十分条件ではないことが分かるのだ。あるいは、εが1より小さい値であたえられたとき、xは十分小さく x < (1- ε)/ε を満たすことが価格上昇が支出増加に導くために必要十分である。
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- statecollege
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あなたの質問はもっともな質問であり、有名な教科書でもこの点に関して不正確であるか、間違っていることがしばしばあります。ある有名なミクロ経済学の教科書へのブック・レビュー(「この本は初学者向きか」というレビューを参照)を読んでください(↓)。あなたと同じ疑問が提出されています。 http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4000266551/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1 >一つ目に、ある点における需要の価格弾力性が2なら、需要曲線がどんな曲線であろうとも、価格の変化に対して需要はその価格変化の2倍の変化をするということでよろしいのでしょうか。 需要の価格弾力性εは正確にはある需要曲線上の点―価格と需要量の組(p,D)―において ε = -(dD/dp)(p/D) と定義される。ただし、Dは需要量、pは価格です。dD/dpは需要(関数)のpについての微分(係数)を表わしている。言葉でいうと、価格がほんの少し変化したとき、価格1パーセントの変化に対して需要量が何パーセント変化するか示す値である、ということになる。需要曲線とは独立に定義されているので、どのような需要曲線にもあてはまる概念だが、いま需要曲線上のある点(その点における弾力性は2だとしよう)において価格が微小量下落(上昇)したととしよう。このとき、需要曲線上に沿って需要量は増加(減少)するが、需要量は近似的に価格変化の2倍(より一般的にはε倍)だけ変化することになる。「近似的」と書いたのは、弾力性の定義で「微分」概念が使われていることからわかるように、この概念は価格変化が「小さい」ときに当てはまるが、価格変化が大きいときにはかならずしも当てはまらないからである。例外は、需要関数が線形(1次式)のときで、このときは需要曲線の傾きは一定で、dD/dpの値は価格が変わっても変わらないので、需要曲線が直線(需要関数が線形)のときは、ある点における弾力性が2であるとするなら、価格の変化が10パーセントのような大きな値をとるときも、、需要量の変化は20パーセントと計算できる。例をあげよう。線形の需要曲線p = 90 - Qを考えると、この需要曲線のもとで、価格がp = 60、D = 30のときε= 2となるが、いま価格がp' = 50へ100/6%下落するなら、需要量もD' = 40へと100/3%へ価格変化率の2倍増加する。しかし、需要曲線がp = 90/Dのような非線形の場合、価格変化が大きいときはこの結果は成り立たない。この需要関数のもとでは、弾力性はつねに1であるが、価格変化が小さい時は需要量の変化は価格変化率とほぼ同じ大きさであるが、価格変化が大きいときは需要量の変化は価格変化率の1倍とはならないことを確かめてください。 長くなってしまったので2番目の問題については後で答えましょう!
お礼
つっかえてたものが取れました!とても詳しく説明してくださってありがとうございます。