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ラプラスの悪魔
「ラプラスの悪魔」の意味がわかりません。教えて下さい。
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- cyototu
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#1さんの前半は正しいのですが、後半の文章、 >ただ現在は量子力学の発展により原子の位置と運動量を同時に知ることは不確定性原理から不可能であるからラプラスの悪魔であっても未来を完全に知ることは出来ない、とされている。 には、皆さん誤解があるようです。 ラプラスの悪魔の問題は、この世の中の未来が既に全て決まってしまっている決定論的な世界なのか、それとも、未来はまだ与えられておらず、我々の努力で何か新しいことが生まれて来ることができる確率論的な非決定論的な世界であるのか、どちらなのかを論じている問題です。 古典力学では現在の「状態」が解ると全未来の「状態」は完全に決定されてしまうので、この世の中の未来の出来事は原理的には完全に決定されてしまうことになります。その原理的なことを、「ラプラスの悪魔」は主張しています。 実は、量子力学もこの世界の「状態」を「状態関数」と呼ばれる量で表現します。状態関数のことを「波動関数」と呼ぶこともあります。そして、量子力学の主張は、現在の「状態関数」が解ると全未来の「状態関数」は完全に決定されてしまいます。それを決定する基本方程式が、シュレーディンガー方程式やそれと等価なハイゼンベルグ方程式と呼ばれる数学で言う決定論的な方程式です。これは、古典力学のニュートン方程式に対応する方程式です。ですから、古典力学も量子力学も共に、この世界は決定論的な運動方程式に従うことが主張されております。だから、量子力学にも一見「ラプラスの悪魔」は居ることになります。 ところで、不確定性原理は、この決定論的なシュレーディンガー方程式やハイゼンベルグ方程式から演繹、すなわち導出される定理に過ぎません。だから不確定性原理によって「ラプラスの悪魔」が否定されたと言うのは間違いです。この誤解は、多分単なる定理に過ぎないものに、「原理」などう言う仰々しい名前がついてしまっていることから起こるのだと思います。 量子力学では、はたしてラプラスの悪魔が存在しているのかいないのかの問題は、不確定性原理には関係が無く、それよりも、この状態関数からどのように情報を引き出すかと言うことに関する、所謂「観測の理論」の問題に関係があります。 この観測の理論は、数学者で有名なフォン・ノイマンと言う人が提唱した理論です。そこで主張されている原理は、量子力学の基本原理であるシュレーディンガー方程式とは完全に独立した原理です。しかし、物理学者は数学者とは違って、この世に幾つもの独立した原理が存在すると言う「多元論」は受け入れることが出来ません。そこで、この観測の理論も何とかシュレーディンガー方程式などの量子力学の基本原理から導き出せないかと、現在でもこれを未解決の問題として必死に研究を続けられております。 また、古典力学系でもブラウン運動を記述するランジュバン方程式などの確率微分方程式は数学で言う決定論的な方程式ではありませんので、そのような確率微分方程式によって記述できる系ではラプラスの悪魔の存在は否定されてしまいます。そして、それらの非決定論的な確率微分方程式を、どのようにして決定論的なニュートン方程式から導き出すのかと言う問題は古典力学の大問題の一つです。 ですから、ラプラスの悪魔がいるかどうかの問題は、古典力学でも量子力学でも共に、現在活発に研究されている物理学の大問題の一つなのです。
- tsudagumi
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全宇宙の全ての物質の原子の位置と状態、運動量を知り、解析できる知性が存在するとしたら、古典物理学(量子力学以前の物理で、ニュートン力学やマクスウェルの方程式、相対性理論など)を用いてその原子が時間とともにどう動くのかがわかるだろうから、つまりその知性にはその先の未来がどうなっているかを知ることが出来るという現在の状態によって未来が決定されると想定する決定論のなんか。 それをラプラスの悪魔(最初にこれを提唱したピエール=シモン・ラプラスから)と呼ぶ。 ただ現在は量子力学の発展により原子の位置と運動量を同時に知ることは不確定性原理から不可能であるからラプラスの悪魔であっても未来を完全に知ることは出来ない、とされている。