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「時制の一致」と「連歌」
日比野 暉彦(@bragelonne)の回答
- 日比野 暉彦(@bragelonne)
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こんにちは。 東洋思想と言っても 言語としてサンスクリットを初めとする一般にインドヨーロッパ語族と言われる諸言語が話されるインドあたりでは 事情が違うはずです。つまり 動詞の活用組織に時制にかんするものも きちんとつくられおさめられているようですから。 それでもそのほかの諸言語のもとでは 時制の一致という文法形式は見られないということで それはどうしてか? 《アイデンティティを巡った》見方において どうなのか? と考えてみよということでしょうか? とてもその範囲を隈なく捉える余裕はない者ですが ひとつ思ったことを述べます。 文の構造が違うという話ですが それを 違った角度から捉えることができればと思います。 日本語について考えるかたちで きわめて煮詰めた見方として: ( a ) 和文は 話者が その思想(このばあい意志表示)を主題の一つひとつの提示によって示し進み 最後に述語部でその意志のあり方(=法活用)をととのえ語り終える。 ( a-1 ) この《・・・終える》という動詞の法活用は 存続法であり(一般に終止形と言われる) 話者の意志のあり方は たとえば断定という相であり 一般的な幅広い現在時もしくは非限定の時制(アオリスト)を示します。 ( a-2 ) おそらくその基本の述語部(=《終える》)における時制が そのままほかの動詞の時制に対して 支配的な位置にあり統括することになると考えられます。時制の一致をそれとして目指してはいないでしょう。 ( b ) これに対して 時制組織をもつ言語(いま欧米語として)では 主題をすでにひとつの文の全体として表現していると思われます。一文づつ言い出して行く思想(意志表示)の一つひとつの文の全体が 主題としてまとまったかたちで 言い出されるのだと。 ( b-1 ) ( a )の文についてみて和文の表現形式は: ○ 和文‐ハ(=第一主題) 話者‐ガ(=第二主題) ・・・語り終える(=最終主題=論述)。 というように文の要素が それぞれ主題を成す。 それに対して 欧米語では その一文の全体がひとつのまとまった主題と成っている。 話者の言う一文づつが主題。すなわち: ○ 《人が(=主格)和文を(=対格)・・・語り終える(述格)》。 という文型である。つまり 主格(S)‐述格(V)‐対格(O).としての論理的な連絡の形式がすでに つねに 決まっている。それゆえそのひとつの文が すでにひとつの主題として扱われている。 ( b-2 ) 一文が一主題を成すとき その文の中身は たとえば時制にかんして ( a )の文例として言えば 基本としての述格の《語り終える》の時制と 中ほどの《思想を示し進み》という《〔S‐〕O‐V 》の副次的な述格の帯びる時制とに関して 互いのあいだの時制の論理的な仕分けが 必要となる。 かんたんにこういう説明になるかと考えます。 和文では 一つひとつ繰り出す語句が そのままひとつの主題を成す。聞き手は この語句だけとしての主題を 一つひとつ受け止めながら 文の流れに従っていけばよい。 ところが 欧文では一つの文がそれとして一つの主題をかたちづくる。ゆえにその一主題であり一文である表現の単位体の中では 要素ごとに互いの関連具合いをきちんとしっかりと明確にする必要が生じたのではないか? という見方です。 語句ごとの連絡関係は 一般に《 S-V-O 》という主述対の関係です。それを基礎とします。つまりつねにこの論理連絡を 文ごとに表わさなくてはならない。 和文では 語句をひとつの主題として一つの文をその主題ごとに切り分けて表わしてもよい。 ここで《アイデンティティ》は 片や文表現ごとにあたかも一対一に対応した《わたし》として捉えられがちになる。片や 語句ごとに一つの主題が繰り出され受けとめられるゆえに それぞれの《わたし》は 表現文とのあいだでその言葉との対応がゆるやかである。 後者では 表現というコトにかんして 奥行きが広く深い。前者では 表現内容が明確である。 或る程度においてこのような言語の表現形式からの影響を受けて それぞれの《自己の同一性》のあり方はかたちづくられるところがあるのかも知れない。 すみません。《連歌》は分かりません。
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