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(朝鮮史) 「常奴」とは如何なる立場の人でしたか。
(朝鮮史) 「常奴」とは如何なる立場の人でしたか。 手元の書物に「妓生は四賎(僧侶、常奴、奴婢)の一つであり」とあります。 字面から言って、「妓生」と「僧侶」は生業が賤の源だと推測できます。 http://nihonjustice.hp.infoseek.co.jp/3.htm 此処の上から1/4辺りに首に枷を嵌められた3人の女性の画像があります。これから判断して「奴婢」は文字通り家畜同様であることが賤の源なのだと推測します。 「常奴」については字面からも資料からも何も推測できていません。 「常奴」とは如何なる立場の人々でしたか。賤とされる理由は何でしたか。 よろしくお願いします。
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「四賤」というのは、韓国語ではあまりちゃんと確立されたことば・用語ではないようです。 手持ちのいくつかの韓国語の辞書に「四賤」ということばは載ってません。でも辞書に無いから無いことばとも言えませんね。インターネットの韓国漢字語(漢字のことば)辞典とインターネット百貨辞典には載っていました。でも、インターネット韓国語辞書にはやはりありません。 インターネット百科事典とインターネット漢字語辞典の「四賤」には、類義語として「私賤」が載っており、また反対語として「公賤」という単語が紹介されています。「私賤」は国語辞典(韓国語)にも載っているのでこちらはちゃんとしたことば・用語として存在するようです。 「四賤」と「私賤」は発音及びハングルのつづり(スペリング)が全く同じです。 以上のことから、本来は「私賤」のことを一部で「四賤」とも書いたり使ったりすることもあるようです。 漢字語辞典から「四賤」: 私家で使われたり売買されたりしていた僕(しもべ)。 婢僕・白丁・巫○・俳優・娼女などだが、奴隷の一種で李朝中葉には成人男子5人と牛1頭、若い女1人が銀貨1万5千両で売買された。 国語辞典から「私賤」: 個人によって売買され使役されていた僕(しもべ)。 婢僕・巫○・俳優・娼女などがいた。 国語辞典から「公賤」: 罪を犯し僕になったり、官庁に属すようになった僕。 「など」と書いてあることから、四という数字には四と呼ばなければならない特定の意味は無いようです。 一方、「七賤」ということばが国語辞典・百科事典両方に載っていて、これは確立されたちゃんとしたことばとしてあるようです。が、この七という数字も七としなければならないということもないようです。 国語辞典から「七賤」: 七般賤人 の略 国語辞典から「七般賤人」: 李朝時代の7つの賤しい人。主に、○(上が 白、 下が 十)隷(王が下賜した官奴婢)・羅将(罪人に拷問を加えたり罪人を移送したりする下級役人)・日守(?)・水軍・峰軍・駅卒を指し、この他に奴婢・芸者・○○・○○・僧侶を指しもした。 更に「賤人」について、 百科事典から「賤人」: 一般的に奴婢を指すが、他にも社会的に賤視されていた白丁(主な職業が屠殺業)・広大(芸能人・歌踊り音楽サーカスのような芸を見せる人)・社堂(寺院)・巫女(祈祷師・占い師・シャーマン)・芸者・楽工などを称することば。賤人は個人または国家に隷属して、人間としての待遇を受けられなかった。・・・・ 「常民」「常人」: 賤人より上の身分階層であった一般民衆。両班(貴族)階級からの支配を受けた。平民・黎民・庶民などとも呼ばれた。 御所持の本の「四賤(僧侶・常奴・奴婢)」という表現は用語の使い方としてはあまり正確でないのではないかという気がします。 賤しい人間をののしることばとして「常のヤツ」と言いますが、他の回答者様がご指摘のようにそれに漢字を当てて「常奴」としているようです。しかし制度上のことばとしては常民(常人)は賤人とは違います。 両班と中人からしたら、常民(常人)も賤人も賤しい人間ですし、両班からしたら自分より下の身分である中人も賤しい存在です。 賤しい人間をののしることば「常のヤツ」を、賤人とゴチャゴチャにして使ってるように感じます。 七賤のところの、○○の職業については不明なのでもう少し調べてみたいと思います。よろしかったらしばらくお待ちください。
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- nogul2n
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法制度上の区分である「常民(常人)」と「賎人」の境界が曖昧な人々がいたようです。 「身良役賎」と言って、身分区分上は「良人」(両班から支配を受けた階層で、賎人以外のすべての人)だが役(職業・仕事)が賎しいとして賎視された人々のことを指して言ったそうです。 くりかえしますと、法制度上は賎人ではないのに職業が賎しいとされ事実上賎人の扱いを受けた人々ということです。 朝鮮初期に農業以外の特定の職業の人々に世襲を命じ、常民(常人)でありながら仕官の権利を認めず差別扱いしたそうです。 先期の「七般賎人(七般賎役)」はこの「身良役賎」なので本来は「七般賎人」の人は賎人ではないのに、事実上社会的に賎人として扱われていたようです。 「七般賎人」のところをもう一度( 抜けていた項目もありましたので ): 主に、 王が下賜した官奴婢・ 羅将(罪人を扱う人)・ 日守(地方官庁で雑務をした人・ 漕軍(漕卒・水夫・船軍とも言う、税糧などを運ぶ船の水夫・漕ぎ手、船の改修もした)・ 水軍(水軍の兵)(※朝鮮では、水軍の兵士は水上生活が大変なことを理由に賎しい人間がするものと考えられた)・ 烽軍(烽卒とも言う、のろしを上げる人)・ 駅保(駅吏とも言う、駅に属し馬の世話・飼育など雑務をした人)・ を指す。 この他に、 奴婢・ 芸者・ 喪輿者(棺をかついで墓まで運ぶ人)・ 靴匠(皮靴を作ることを職業とした人)・ 巫女(祈祷師・占い師・シャーマン)・ 白丁(主な職業が屠殺業)・ また、 奴婢・ 伶人(音楽を演奏する楽工(楽士)と広大(芸能人)を合わせて言ったことば)・ 芸者・ 靴匠・ 司令(官庁で雑用をした人)・ 僧侶 を指しもする。 本来の身分区分上の賎人と、常民だけど賎人扱いされていた人々は人々の意識の中では一緒クタで、みな賎人ととらえていたようです。
お礼
「身良役賎」、この言葉によって事態が、ますます明確になりました。制度上の賎人ではないにも拘わらず、また、職業に貴賎はないというものの、どこまでいっても差別意識をもちがちなのは哀しいことです。 NO.3、NO.4を併せて、朝鮮に於ける「賎民」のまとめとして決定版の役割をしそうです。お忙しい折柄、詳細なご回答を頂き有り難うございました。 明朝までにNO.5以下がなければ締め切ろうと思います。
- SPS700
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1。字源 「賤」の語源は下記にあり、予想される、財産を示す「貝」に音符の「戔」がついています。にんべんのない「價」(あたい)すくなし、という意味です。 http://www.chineseetymology.org/CharacterASP/CharacterEtymology.aspx?characterInput=%E8%B3%A4。 2。起源の憶測 「戔」の語源には、賊也從二戈周書曰戔戔巧言徐?曰兵多則殘也故從二戈という説があって、井上秀雄『古代朝鮮』の239ページに、838年の春夏の旱魃と、秋の大雨で「収穫の皆無になった農民たちは盗賊とならざるをえなかった。」と関係があるかもしれません。すなわち単なる音符ではないかもしれないと思います。いわば 不運の農民>盗賊>賤、という経路です。 もう一つの史書も、農民と奴隷の関係を述べています。それは『古代朝鮮』の242に引いてある『唐書』の記事で「新羅の中央貴族は(中略)この時期(9世紀)になると、有力な貴族には奴婢が三千人もおり。(中略)彼らは穀物を農民に貸してその利息を取っており,その利息の支払いが遅れると奴婢とした」とあります。 ここでも、支払いが滞った農民>奴婢 という経路が見られます。 3、位置 陶工は、常奴(サンノム)よりも低かった(下記) http://www.mindan.org/shinbun/news_bk_view.php?page=1&subpage=1831&corner=6 下記では、李氏朝鮮の両班が、常奴や白丁を扶養しなかった、とあります。 http://fetia.blog34.fc2.com/?mode=m&no=540 4。現況 韓国では今も、大学の若い研究者でもサンノムを差別していると下記にあります。 http://www.ch-sakura.jp/oldbbs/thread.html?id=3619&genre=sougouhistory od Korea 2010年の1月に、アメリカのプリンストン大学で発表された論文で、Joy S. Kim は、朝鮮史で奴婢は確立していた、と述べています。 http://aha.confex.com/aha/2010/webprogram/Paper4232.html 5。まとめ 纏めますと、常人(サンイン)は、高麗・李朝朝鮮の四階級身分制度の第三階級で、「常奴(sangnom)(サンノム)」はその蔑称、通常、読み書きは出来なかった、ようです。骨品制度による身分制度の犠牲者ですね。
お礼
日本では律令国家が成立し中央集権が進むにつれて賤民が誕生したということみたいですから、何処も似たようなものかなと思います。 「両班」、「中人」、「常民」、「賤民」が言わば行政用語、法律用語として登場していて分かり易いのに対して、「常奴」は少しニュアンスが違って自然発生とでも言いますか、下働きをする人々への悪口に過ぎないため境界がはっきりせず、これが分かり難くしているのかなと思います。 多分、「妓生」、「僧侶」が「賤民」に属すのに対して、「両班」、「中人」、「常民」の下で下働きをする人々を賤しんで「常奴」と称しているのではあるまいかと推測します。 従って今日でも職業に貴賎があると考え、相手を蔑みたい人は「常奴」呼ばわりするのだろうと思います。「両班」、「中人」、「常民」が死語になっても「常奴」が生きているのは理屈に合っていると思います。依然として要領を得ませんが、こんな具合に考えました。 有り難うございました。
- akiko0828
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どうも常奴という言葉は常ノム(サンノム)のノムにあたる漢字を当てたものみたいですね。ノムは野郎とかいう意味。 [常―] サンノム 1. むかし, 身分みぶんの低ひくい男おとこに対たいする卑称ひしょう;下郎げろう;下衆げす。 時代劇とかで金持ちの家で雑用こなしてる”モスム”って出てきますよね、身分的にはそういう感じ。 奴婢というのは最近ドラマにもなったけど日本でいうえた、ひにん。
お礼
「妓生」、「僧侶」、「奴婢」は、そうであるか否か明確に識別できます。しかし、「常奴」は境界が曖昧で、「下衆野郎」程度の相手を罵倒する際の悪口みたいなものらしいと受け取りました。前3者とニュアンスが違う気がします。それに、「常奴」という言葉自体は存在しても、「朝鮮&身分制度」で検索したとき「常奴」は登場しないみたいです。どうやら質問文にある四賤という表現は適当なのか不適当なのか、ちょっと疑問です。 朝鮮の奴婢が日本では「えた」、「ひにん」に対応するにしても、実情は雲泥の差があるようです。江戸時代の「えた」の権利は中々のものです。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%A2%E5%A4%9A ここの「江戸時代には、斃牛馬(「屠殺」は)」以下を読むと、身分は賤しいとされているものの経済力は、また別のようです。ある書物によれば幕末の時点で28種の業務の独占権をもっていたそうです。あまり正確とはいえませんが私の記憶にあることを一つだけ紹介しておきます。 弾左衛門は幕府に納める灯芯を作るためのイグサの栽培用として、毎年三ヶ村の水田を自由に指定できた。あるとき、御三家の一つである水戸藩領の村を指定したところ、将軍を出す家柄が「えた」の命令を聞く訳にはいかないというので大問題になった。水戸藩も引かないし、弾左衛門も「権現様の言いつけ」を楯に一歩も引かない。 結局、表向き水戸藩が撥ね付けた形で収まったが、金銭なり米なりの見返りで帳尻合わせをしたのだろうということでした。 と言う訳で江戸時代の「えた」は家康以来の既得権に守られていて経済的には他の階級と遜色なかったようです。また、身柄が売買の対象となることもなく朝鮮の奴婢とは大違いのようです。 有り難うございました。
お礼
No.4も拝読済みですが時系列を追って、ここではNo.4がない時点でのお礼を記します。 拝読しました。あれこれ資料を総動員して調べて下さって恐縮しています。 事情はよく分かりました。 「私賤」をハングルで表すと発音もつづりも「四賤」と同じなので、「私賤」とすべきところを「四賤」で代用してしまうことがあるらしいことが分かりました。 質問文に登場する「妓生は四賎(僧侶、常奴、奴婢)の一つであり」は、今のままでも、また「妓生は私賎(僧侶、常奴、奴婢)の一つであり」と置き換えても制度上の単語と制度上の単語ではないものが交じり合っていて、やや不適当な表現なのかな、と思いました。 大体、輪郭がはっきりしましたので私としてはこれまでのご回答で十分です。暫く締め切らずにおきますが無理のない範囲で調べて下されば結構です。 有り難うございました。