• ベストアンサー
※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文: とある中学生(複数名)から以下のような問題提起がされました。)

日本国憲法の43・44条から考える全国区選挙の要請

climber(@politeness)の回答

回答No.9

 NO5です。回答へのお礼ありがとうございました。まず私の回答に関して補足させていただきます。法(憲法)解釈には様々なメソッドが存在することは十分承知していますが、43条に関してはこれらの手法のうち、説明上都合の良い原意的アプローチを試みたものにすぎず(この手法そのものは一般に否定されていません)、各種選択肢を排除するニュアンスとしての原意主義を正当化する意図はありませんでした。  また、文は通常主語を伴うものであり、主語が文の構造に大きな影響を与えることが少なくないことも承知しています。43条の「両議院は」という文言は無視できない位置づけにあると考えますが、この主語が存在することを当然の前提としつつ、ここで一番問題になっている「全国民の代表」という文言をあえて抽出させていただきました。  ところで質問者様は別の回答のお礼で、「市民革命から全国民の利益(一般意思)が大前提であったとは言い難いと思われます」と述べておられますが、この点について主に言及させていただきます。  市民政府二論を著したロック(イギリス)は、人間は本来自由であり、自分の生命を他人からみだりに危険にさらされたり、自由や財産を支配されることは決してありえず、それは人間が生まれながらに持っている当然の権利(自然権)であると主張しました。そしてロックは市民(国民)は互いに自然権の保障を契約し、そのための手段として国家をつくるという考えを提唱しました。したがって、ロックの説によると、国家が自然権を侵害すれば、国民には政府を代える権利(革命権・抵抗権)があるということになります。国家は目的のための手段にすぎないからです。このようにしてロックは国民国家という概念を形成し、この思想は名誉革命を正当化する基盤となりました。  さらにルソー(フランス)は社会契約論(民約論)を主張しましたが、これは、社会(国家)は、自由で平等な個人の契約によって成り立ち、国の政治のありかたを最終的に決める権利(主権)は人民にあるという考え方です。ルソーはこの中で、一部の利益を代弁する意思と対置する人民全体の一致した意見(一般意思)が政治によって代弁されるべきことを強調し、政治の担い手は人民自身(国民全体)であるという人民主権の考え方を示しました。この思想が後のフランス革命に影響を及ぼしました。  要するに、一般意思概念はイギリスで萌芽し、フランスでさらに強固なものへと発展しました。そしてこの概念を基礎として「全国民の代表」概念が形成されたものと理解しています。  なお、質問者様は「一般意思であれば全会一致の原則から功利主義への流れへの説明の課題もあります」と指摘しておられますが、この点私も首肯できます。ただし、市民革命と功利主義を二律背反として対置するのではなく、両者を必然的関係(発展的関係)として位置づけるのが妥当であるとも考えます。  参考文献は多数存在しますが、私が利用している文献を記しておきます。    総合的研究社会(旺文社) P462-463「啓蒙思想家と社会契約説」

bismarks05
質問者

お礼

 回答ありがとうございます。 正直なところ、私の43条解釈(全国民の代表は、全国区でしか図れない)が幼稚すぎるとの批判が適切だと自認するものですが、憲法典として国民に分かるような条文が求められると考える上では、そのような幼稚な発想に適切に回答するためのロジック・セオリーが必要だと思っています。最終的には、持論の妥当性は44条に求められることになりますが、それについて、本稿では割愛させていだきます。  さて、社会契約論における説明としての「全国民の代表」については指摘する部分は理解します。問題は市民革命と国民国家の形成の関係です。  確かに、ロックの自然法・自然権概念・立憲主義から国民国家の概念を取り出すことは可能ですが、そこにある『国民』の実像が極めて排他的と言えるでしょう。  一般意思の主体として想定されるのは、ルソーであっても成年男子のみ。ロックの時代であればいわゆるシビリアン(文民・市民)ではなく、ブルジョワの市民まででしょう。  「主権者」と「国民」が(ほぼ)一致する時代は第二次世界大戦後ですし、二重基準の国があることは言うまでもありません。  仮に市民革命が”女子選挙権を排斥しない”完全普通選挙制度を実現しているならば、選挙区に関わらず「全国民の代表」と考える余地はありますが、完全普通選挙の実施は1919年ドイツであり、市民革命の時代は終焉しています。  市民革命当時において女性は”主権者ではないにしても国民であった”と考えられるわけです。ちなみに、国民国家概念の実質的発現は、ナポレオン帝政であって、市民革命は単なる「市民国家」(市民階層による政治主導の国家体制)樹立と捉える歴史認識です。  当時の国民観を精査し、現代社会の主権・国民の現状を考える限りは、主権・国民の二重基準を無視した「国民国家」=「全国民の代表」、市民革命の経緯は国民国家の狭量な認識としか思えません。(オリエンタリズム的な国民国家理解とも)  これに関しては別のお礼でも指摘させて貰っておりますので参照していただきたく思います。  さて、「市民革命と功利主義を二律背反として対置するのではなく、両者を必然的関係(発展的関係)として位置づけるのが妥当」との見解に関しては、指摘を受けて再考しました結果、正論と考えます。 これに関しては、”発展的関係”との指摘が歴史過程としてもっとも妥当で説得力があると思うので、私の言説が適切ではなかったように思います。  指導上では功利主義・市民革命の二律相反の視点で説明することはありませんが、個人的にはちょっと恣意的なものを見出している偏見があると自覚しておりますので、今後注意します。  本論とは異なる枝葉の問題ですが、市民革命の歴史指導については私も意識するものでありますので、お礼させていただきました。 なお、本件に関しては、選挙観・主権観に資する問題で、本論との関連性が深いものと考えていますので、質問の埒外とは考えておりません。(私個人は) 丁寧な回答ありがとうございました。

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