解散要請の正当性に関して

このQ&Aのポイント
  • 最高裁の判決によると、21年衆議院選挙において一部選挙区の投票価値の較差が2倍以上であり、違憲状態であるとされています。
  • 判決では、投票格差の是正を求めるための立法的措置が必要であり、1人別枠方式の廃止や選挙区区割りの改正が必要と示唆されています。
  • 立法側が解散を要請することの正当性は疑問視されており、本判決が指摘する是正措置を講じないまま解散を要請することは背任行為とも解釈される可能性があります。
回答を見る
  • ベストアンサー

解散要請の正当性に関して

お邪魔します。今回は、立法側の解散要請の正当性について質問させてもらいます。    二年前、最高裁において以下のような判決が提示されています 判決:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110325091055.pdf  21年衆議院選挙において一部選挙区間の投票価値の較差が2倍以上を超えており、憲法14条「法の下の平等」を著しく損なう状況(通俗的には『一票の格差』)であり、違憲状態である そして、以下のように指摘されています。<上記URL PDF12p(5)より原文抜粋>  事柄の性質上必要とされる是正(=投票格差『二倍較差』の解消)のための合理的期間内に,できるだけ速やかに本件区割基準中の1人別枠方式を廃止し,区画審設置法3条1項の趣旨に沿って本件区割規定を改正するなど,投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要があるところである。 極端に要約すれば、  本判決は、平成21年衆議院投票価値較差訴訟は、選挙区区画を決定する立法(国会)の不作為を糾弾し、 具体的に(1)1人別枠方式を廃止・(2)区画審設置法3条1項の趣旨(較差2倍以内)に選挙区区割りを是正する義務を立法府に示唆している、とも読めます。 これについて以下の質問があります。 (1)上記のような判決の読み下しに「明確な」間違いがあれば指摘してください。 なお、訴訟そのものは原告敗訴なのは、違憲状態であるにしても、「違憲ではない」という論理であることは理解しておりますので、そこらは説明不要です。 (事情判決などの知識もありますので、ある程度は専門用語交えての説明も多分理解できる程度と思ってください) (2)本判決から考えるに、立法側が内閣に解散を要請することの正当性がどこにあるのか? もっと言えば本判決が指摘する是正措置を講じずに解散を要請することは、司法判断の無視であり、民主政治の上での致命的な不作為であり、背任行為とも解する余地もありえると思いますが、如何でしょうか? (3)解散権そのものは内閣権限ですが、議院内閣制度である日本国においては、内閣は立法との連帯責任を負うことが日本国憲法66条2項で要請されうると思います。  したがって、本判決は、実質的には内閣の解散権を掣肘しないにしても、政治原理(議院内閣制)的には解散権を掣肘するものと解釈することは不当でしょうか? 仮に、不当であるならば、憲法66条3項の連帯責任の意味をどう解釈するべきでしょうか? (4)現在、内閣及び立法・もしくはマスコミなどで指摘されている定数削減の意見において、本判決が指摘するような投票価値較差を念頭・もしくは片隅にでも思慮しているものがあれば紹介してもらえるとありがたいです。 (私が知る限りは、投票価値較差を踏まえて定数削減を計画している事例は見受けられませんでしたので)

  • 政治
  • 回答数1
  • ありがとう数1

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • wiz0621
  • ベストアンサー率42% (182/430)
回答No.1

(1)結論は確かに、制度是正を示唆しているんですが、 それでも間違ってはいけないのは、裁判官が判断しているのは 適法であるか否かです。 適法であるか否かの判断の為の原理は3にあるように 民主主義は広範の裁量権を国会に認めているという点。 逆に言えば、適法な裁量権を逸脱しているか否かを 判断するわけです。 (2)判決文では、制度自体はもはや合理的ではないが、制度を 継続するのには選挙の時点でどちらも相応の理由があったので 裁量権の範囲内だ(違憲ではない)という判断になっています。 違法な状態下なのになぜ?という疑問もあるかと思われますが 裁判所側の確認した理由としては、時間的制約や実務的限界、 あるいは過去の判決が与えた"誤解"や、選挙制度における 歴史的経緯を挙げてますね。 つまり、他に緊急の重大事や能力的な限界、合理的な理由が あるのであれば、それは民主主義における国会の裁量権の範囲 として認められうるわけです。 では、今般の国会が情勢が過去に比べても緊急性や合理的理由を 有しているか?あったとしてそれは裁量権を逸脱していないか? ・・・は国民一人ひとりでまた意見の違うところではあるかと 思いますので、選挙して、その後に裁判してみないとわからんのです。 個人的な意見ですが、裁量権の範疇は制度不良というよりは、 人間の能力の限界に類するものではないかと思います。 (もちろん、1人別枠方式の制度不良に関しては判決からも明らかですが) (3)ここで再度注意しなければならない点があります。 これまでの裁判所の判断は、あくまで政府がかつて行った 判断に対する適法性の有無なんです。 もちろん裁判所の判断は"結論"に対しては一定の拘束力を持つのですが、 質問サイトで質問もなしの返答や意見発信はやらないように、 裁判所は国会で『議論中』の問題へコメンタリや意見としての 拘束力を持たせることが出来ません。 裁判所も、終わった選挙に対しては適法性(つまり裁量の範囲内か)の 判断ができますが、国会の議論への意見提出は司法権の 逸脱を問われかねないですよね。 というわけで裁判所の意図通りではないものも、"裁量権の範囲内で" 登場する可能性はあるかと思います。 (4)適当に検索したらこんなん出てきました。(国会図書館政治議会課の資料です。) まさにこの件の話ではあるので、補足資料としては読みやすいかなと思います。 http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0714.pdf

bismarks05
質問者

お礼

返答ありがとうございます (1)司法の判断があくまでも立法裁量範囲の適否・正否について14条から審査するに過ぎない(原告・被告の提示する争点だけ)ことは一応理解しております。  仮に、私の読み下しを行えるような”現実的な司法判断”を行うためには、付随的審査に過ぎない違憲立法審査ではなく、積極的審査が行なえ、憲法判断に対する立憲主義・憲法規定上に正当化しえる「憲法裁判所」のような形態が望ましい・適切であろう、などの見解です。 (2)「合理的期間」に関して判決そのものでは明確な見解は提示していません。思うに、一部の最高裁裁判官が個別意見で提示しているように、判決そのものに”合理的期間”について司法判断がくだされるのが望ましい、と私は考えますが、(1)でも指摘されているように司法権の現憲法上の権力限界(司法消極主義)の問題があるので、難しいとは認識しております。 ただ、過去の判例にあるように、事情判決が適用できない「選挙」案件で無理に”事情判決の法理”を持ち出して、司法判断として「民主基盤」を軽視するのでは、もはや民主政体の司法権としては自滅的行為と愚考しますし、そのような司法権であることを抑制的と評価するほど、司法権力への失望感はありません。 (3)本件に関しても正論だと思いますが、(1)で指摘したような司法権の限界を踏まえて本件や国籍確認訴訟・非嫡出子相続差別訴訟などの重要な大法廷判決を踏まえて、「わが国の司法権は他の二権力に対してどうあるべきか?」という問題提起を踏まえて、本件のような質問をしています。  個人的に思うに、英米法的憲法訴訟・憲法体系の我が国においては、英米諸国のように判例法に対する諸権力の緊張感・監視・監督関係について意識・リテラシーを高くするべきように思います。  私は、司法権の法創造的な判決・判決の読み下しを全肯定するつもりはありませんが、司法権の限界に対して、立法・行政も一定配慮、権力分立上の理知的対応を要請するべき部分の方を強く感じます。  本件は当方の設問(1)に対する回答ですが、可能でしたら、当方の他の設問も、私見で結構なので提示していただけると有難く思います。

関連するQ&A

  • 解散論の正義・正当性を問う

     仕事である出版社の座談会の打ち上げの際に,ちょっとした議論になった 2009年衆議院選挙の無効を求めた投票価値較差訴訟を受けての話である 周知の通り,同選挙において投票価値較差が現憲法14条における法の下の平等からして,「違憲状態」と最高裁判決が提示されている http://www.doyukai.or.jp/kakusa/New/syu_hanketsu110323b.pdf 判決の大意を整理すれば以下の通り 合理的期間内に選挙制度改革をし,投票価値較差の是正が必要である 選挙制度に関する立法裁量権の限度を認めるにしても,制度是正について具体的に一人区選挙に対する制度是正まで踏み込んで論説している 仔細は上記URL8p(3)を参照 本件は最高裁が明確に現選挙制度の違憲状態を論旨したものであることは間違いない 質問は以下の通り (1)解散を求める有権者は多いが,現段階で解散することは,再び違憲状態による選挙になる(総務省の国勢調査報告でも,較差は広がっている) 違憲状態の選挙を実施することは,最高裁判決が指摘するように[民主主義・民主制の根本を揺らがす問題]と言えるが,違憲状態を放置して行う選挙にどれだけの正当性・正義があるのだろうか? つまり,解散を求めるのは自由だが,その解散によって行われる選挙が違憲状態であることを踏まえれば,解散を求めるのは,民主政治の基盤と立憲主義・権力分立などの政治原則を無視・軽視するものになるが,そのような解散をどう正当化できるのか? (2)投票価値較差を受けて,総理権限である解散権の行使は制限しえるか? つまり,投票価値較差の存在を理由に解散権行使を否定する正当性はあるか? (3)最高裁判決が指摘するように,違憲状態を是正するのは立法の管轄である つまり,違憲状態解消は立法の責務だが,その違憲状態解消もせずに,解散を求めることに正当性・正義はあるか? (4)仮に,最高裁判決にも関わらず次回衆議院選挙において再び違憲状態の選挙が行われた場合において,その選挙は無効か?事情判決の法理で処断できるか?もしくは別の論旨で,無効判断を回避できうるか? (5)過去の投票価値較差に関する最高裁判断は,2倍・4倍などの較差について許容できると論旨するが,この論旨が合理的範囲の差別として認めうる根拠は存在しえるのか? つまり,等倍以外の投票価値較差が[違憲ではない]としえる根拠は何か?

  • 17日最高裁で参議院一票の格差訴訟判決が出ます

    2011年11月16日の”裁判員制度の違憲審査”から、11ヶ月ぶりに最高裁大法廷が開廷します 2010年7月11日参議院議員通常選挙の”一票の格差”が5倍に至ったことに関して、原告が選挙無効を訴えた形の恒例の憲法訴訟です  ただし、直近の衆議院選挙に関して『違憲状態』とする判示が出てたように、参議院でも『違憲状態』と判示される可能性は高いと言われています  質問カテゴリーとして法律を選択しましたが、本件に関して、回答者諸氏個人の思う部分を回答していただきたく思います  出来れば、裁判官になったつもりで、 ”多数意見はこうなるだろうけど、個別意見として言いたいこと”などを記載してもらいたいと思います あくまでも個人として回答事例としては提示すれば以下のとおり 多数意見  合理的較差是正期間の不足(震災復興や経済不振などによって較差是正措置のための審議時間が不足していた等)を鑑みて(”事情判決の法理”をもって)選挙無効の訴えは退けて 次回参議院選挙までに4倍以上の選挙区が存在しないように公職選挙法改正・選挙区区画の設定・定数是正などの措置を立法が講じるなければならない 『違憲状態』 個別意見  多数意見と同じく”事情判決の法理”から選挙無効とは出来ない。『違憲状態』ではあるが、本判決を受けて相応な期間内に投票価値較差是正措置を立法に勧告する  しかし、投票価値較差は、等倍のみが「違憲ではない」のであって4倍以内であれば「違憲ではない」というものではない。憲法43条は、議員身分を全国民の代表としているものであって、選挙区の代表ではないのは当然であるから全国区選挙の妥当性が指摘できる。同時に全国区選挙であれば投票価値較差が生じることもなく、等倍でありえる。したがって、衆参問わず、等倍だけが「違憲ではない」選挙であって、それを実現する手法としては全国区選挙がありえるのであって、唯一の選択である ただし、憲法による選挙制度の規程によって確定される選挙制度である限りは、投票価値較差を審査する必然性がない  なお、次回選挙までに両院とも較差是正措置を講じられない場合は、無効とする可能性もありえる

  •  とある中学生(複数名)から以下のような問題提起がされました。

     とある中学生(複数名)から以下のような問題提起がされました。 日本国憲法43・44条から考えるに、全国区選挙が要請されるのでは? 現選挙(小選挙区)制度の憲法上の妥当性は公職選挙法と立法裁量権だけでは?  確かに、43条1項では「全国民を代表する選挙された議員」と明記し、特定地域から選出される当選人はその地域の代表者でしかない状況とも言えます。事実、政治献金などで訴追される議員などは「地域の代表として」と地域的支持を議員辞職固辞の正当化に悪用する節もあります。  更に、44条1項(14条)からも投票価値の平等・選挙区割りによる差別的状況(投票時間・立候補者)が発生していることは違憲性が指摘され、それらを全面的に解決する集団としては、唯一全国区選挙しか想定できません。  昨今、「一票の格差(投票較差)」を通じて選挙制度の妥当性への嫌疑が提示されていますが、現選挙制度を法理論的に妥当と説明する手法が見つかりません。  仮に説明するとしても、立法裁量権の限界射程についての説明を考えるとやはり、主権に関する政治決定で立法の不作為・無作為が続く状況は好ましくないなどの批判は尽きません。 (それを中学生が指摘するような水準です) 彼らにある程度の法理論的妥当を持って、現選挙制度を肯定させるような良い知恵はないでしょうか? (現実問題として、私個人も中学生と同じ意見なのですが、日本国憲法99条を尊重する立場としては、むしろ、彼らの方が妥当に思えてなりません。)  なお、このような問題に関して、政治的意見を述べれば日教組などと言われるので、持論を述べられません。

  • 衆議院解散について教えてください(69条解散、7条解散)

    高校の政経の授業とかで、解散は69条解散、7条解散があると、習いました(教科書にはなかったですが資料集とかにのっていましたがちょっと私には難しかったです。)そこで、苫米地事件などで、7条解散は違憲って、苫米地さんが言ったけど、判決では、そうではないっていう感じだったですよね。 実際ののところ日本では69条による解散と、7条によるどっちの解散がおおいんでしょうか?あんまり二つの違いもよく分かっていないのですが、たとえば大平首相が衆院を解散したときのはどちらの解散になるのでしょうか?(選挙中に亡くなったというのを先日テレビでやっていたので・・・)質問が煩雑になってしまってすみません。どれか一つでも答えていただけるとうれしいです。どうか宜しくお願いします。

  • 議員定数不均衡について、是正に必要な合理的期間の経過の有無とは

    議員定数不均衡について、是正に必要な合理的期間の経過の有無とは 衆議院議員定数不均衡について、最大判平成5年1月20日において、較差は違憲状態であるが、全体としては是正のための合理的期間が経過してないという理由で合憲と判断されたと学びました。 簡潔にいうと合理的期間とはなんでしょう? 是正するために選挙無効とすると今まで決まった法令などが取り消されるおそれがあるので事情判決とするというならわかるんですが、是正のための合理的期間が経過していないから合憲というのは違憲だということでもないんですよね? 是正というのは選挙前に較差是正しようとして、その期間がないということなんでしょうか? それとも選挙があってそのあとすぐに衆議院が解散したなどで是正するための期間がないよということなんでしょうか? 日本語がむずかしくて・・・わかりやすく教えていただけたら嬉しいです。

  • 首相は解散権を失った?

    公明党ともめて一年先送りになってしまった衆院の選挙制度改革ですが、ついでに、法律で定められた定数是正も先送りになってしまったということですよね? この場合、定数是正をやることが法律で決まってるだけに、仮にここ一年で小泉首相が衆院を解散して総選挙を行っても、裁判所は選挙無効判決を出すことにはならないでしょうか。 ということは、事実上、首相は解散権を失ったことになるのでしょうか? 識者の方、この辺りの事情、或いは今後への波紋などご教示ください。

  • 選挙無効はある?

    衆議院の1票の格差が今違憲状態にある、となっていますね。(しかし選挙は有効) なので、解散できる、できない(総理は解散権の制約は受けない、と言ってはいますが)という話もありますね。 そこで、過去 違憲状態と言われてそのまま選挙をして、選挙結果が 「無効」=区割りもしくは人数変更後やり直し、となったケースはあるのでしょうか? これがあるとすると、1票格差を変えない限り、実際解散総選挙はない、ということですね。 それとも「違憲」状態でもそのまま選挙やって、訴訟になってもまた「違憲だが有効」と判断されてそのまま、となっているのでしょうか?

  • 衆議院解散権と統治行為

     内閣総理大臣の専権事項である衆議院解散権が統治行為に関わる問題と言うのが、どうも理解できません。天皇は内閣の承認によって衆議院を解散すると憲法にあるのに、どうして改めて司法判断の是非が問われるのでしょうか?  立法府が行政府の長のコントロール下に置かれることについての疑義なのでしょうか?そして、現在の「政府」と「司法」は、国会には解散のない参議院もあるから、立法権の独立は保たれるという立場をとっているのでしょうか?  また、衆議院解散権については、今回の総選挙での争点のひとつになり得ないでしょうか?国民新党などが、これについての突っ込んだ議論をしてくれるといいのですが。  ご回答をお待ちしております。

  • 一票の格差 違憲判決

    選挙における一票の格差問題で違憲判決が下されましたが、 このあと、選挙制度を改正したあと、 この違憲判決を理由に比較的早く衆議院解散するような流れはありうるでしょうか? それともさほど影響無く、選挙制度は変わったとしても、やはり別の原因で解散するでしょうか?

  • 国民投票法案

    国民投票法案が可決されましたが、この立法行為自体、憲法96条に反する違憲立法じゃないのでしょうか?