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禁輸物は窃盗罪や強盗罪の客体になりうるのに、横領罪や詐欺罪や盗品関与罪の客体にはなりえないのはなぜですか???

禁輸物は窃盗罪や強盗罪の客体になりうるのに、横領罪や詐欺罪や盗品関与罪の客体にはなりえないのはなぜですか??? 禁輸物を盗んだ犯人は処罰されるのに、盗品斡旋したものは免れるなんてちょっとおかしいですよね?? 同じ財産犯ですよ?

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  • verve215
  • ベストアンサー率55% (10/18)
回答No.1

法禁物のことをおっしゃっているなら、どの犯罪も成立する場合もしない場合もあります。 ●財産犯のうち、窃盗罪、強盗罪は奪取罪といわれる類型です。  奪取罪は、人が管理可能な物を事実上支配している状態そのもの(占有といわれます)を保護するための犯罪類型であると(通説的には)解釈されています。  これは、人が自分のために保持、保管しているものを、実力によって奪う行為は、たとえ正当な理由(ほんとは自分の物だとか)があっても、実力行使が横行してしまうので、法治国家においては定型的に禁止されるべき行為だという考えに基づいています。(実際に罪に問われるかは、別問題ですが)  とすれば、法禁物についての占有についての実力行使が横行してよい理由はありませんから、それ侵害した者は窃盗罪、強盗罪に問われうるのです。 ●詐欺は交付罪といわれ、個々の財物を人を錯誤させて交付させる犯罪です。したがって、被害者などの人が財物を(だまされたとはいえ)任意に与える行為が予定されています。とすると、詐欺罪が保護しているのは詐欺に遭った人が財物の返還を求める権利ともいえると思われます。  しかし、詐欺を受けたことによったとしても、法的に所持や譲渡が禁止される物(法禁物)を任意に売った人が、騙されたといって詐欺をした人に対し返還を求めることを、国家が法的に保護するわけにはいきません。(民法上の不法原因給付708条と同じ趣旨です)  したがって、法禁物を詐欺によって取得した者は、法的に保護される権利を侵害したとはいえないので、詐欺罪に問われない、といわれるのです。  もっとも、このように考えると、詐欺を受けた人が、それが禁輸物だと知らずに詐欺者に渡した場合は、不法な譲渡とはいえないので、詐欺が成立する余地があります。 ●他方、横領罪は、物についての所有権そのもの、または所有者の物の利用可能性(+委託信任関係)を保護する犯罪類型です。  この点、法禁物であっても、その所有権が認められないわけではありません。(刑法は没収手続を定めているのはそのためです)  とすると、法禁物の所持を委託した人を国家が保護するべきでないとも思えますが、この場合、所有者は委託しただけであって、法律上、所有権も占有も有していますし、委託することによって不法な利益を得ようとすることが明らかであるとは必ずしもいえません。(不法原因「給付」といえるためには終局的な利益の移転が必要だといわれます。)  よって、法禁物を委託信任関係に基づき占有する者についてはなお横領罪が成立する、と解するのが有力な見解です。  もっとも、盗品(法禁物も含む)の保管の委託を受けたような場合、委託者(窃盗犯など)には保護に値する権利がないので、横領罪は成立しません。 ●盗品等罪が保護している利益は、被害者が財物に関して有している追求権といわれています。  犯罪によって奪われた物を取り戻すことを、さらに困難にすることは、財産権に対する更なる侵害といえますし、対価を与えるなどの行為は財産犯を助長することから、これを罰すべきだという考え方が根拠とされています。  しかし、上記のように、詐欺、横領が犯罪とならない場合の根拠は、被害者などが財物の返還を請求することを国家が保護すべきでないということが理由なのですから、盗品等罪においてもそれは異なりません。  したがって、本犯にあたる犯罪が成立しない場合に盗品等罪が成立しない場合があるのです。 ●一般的に財産権を侵害する行為が財産犯だという場合、具体的に保護すべき財産的な権利を侵害しているか、が問題になるはずです。それを考えずに財産犯だから、ではあんまりです。

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