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なぜ科学技術が発展しているのに、労働時間は減らないの?

omegerの回答

  • omeger
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回答No.26

蛇足になりますが。 a)景気循環と時短の関連性 b)そうはいっても、高所得なのに? c)幸福感というもの ------------------------------ a)景気循環と時短の関連性 ------------------------------ >景気が悪いことと、労働時間の伸びはあまり関係ないのではないでしょうか? >景気が良くなれば労働時間は減りますか? >バブル期は別に労働時間短くないですよね? >この問題の本質はもっと深いところにあると思います。 仰るように、経済状況はすべては説明しません。 反面、(細かい点を突っ突くようですが)何も説明しないわけでもありません。 社会学者には社会学者なりの説明があり、 経済学者には経済学者なりの説明があるのですが、 どちらが正しいかといった判断は容易ではありません。 長期には成長率が高い方が労働時間は短縮される一方で、 短期では好況より不況の方が労働時間の短縮は行われる傾向もあるようです。 日本では、石油ショック後に深刻な景気悪化を迎えた1973~75年に 労働時間の大きい減少が起こっています。 他方、80年代後半のバブル景気の時期から労働時間は大きい減少を始めます。 これは不況期に入るまで続きます。 http://labor.tank.jp/toukei/jikan_kokusaihikaku.html 短期では景気拡張局面の方が、有効需要が拡大していれば、 企業は労働時間を減らすよりも実質賃金を増やす方を選好するかもしれません。 経済運営としても有効需要が拡大しているのに供給を大きく縮小すれば、 インフレ率が高まる危険性があります。 景気後退局面には、労働組合は賃金よりも雇用を削減されるのを恐れます。 ワークシェアリングの意図は、雇用者の労働時間を減らすことで 労働需要を喚起して、失業者の雇用を救済する事にありました。 もっともこれは必ずしも成功しているとは限らないのですが・・・。 長期の視点であれば、経済が成長している方が労働時間は減ります。 1970年代に技術進歩率が落ちて生産性の伸びが鈍化すると、 「気前のよい」福祉国家の思想は瓦解してしまい、 サッチャー・レーガン的な考え方が優勢な時代に変わりました。 「労働時間と賃金のどちらを選ぶか?」 といった質問でも、経済面の影響は決して取り除かれてはいません。 ・低所得層ほど長時間労働でも賃金増大を望むアメリカ http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa198601/img/fb2.2.39.gif (ちなみに1970年代からアメリカの低所得層の所得はほとんど成長していない) ・時短よりも賃金を望むサッチャー時代のイギリス 対 依然時短の願望の強いオランダ http://wwwhakusyo.mhlw.go.jp/wpdocs/hpaa198601/img/xax.157.gif ------------------------------ b)そうはいっても、高所得なのに? ------------------------------ とはいえ、今日の日本人の財布は、 昔よりも遥かに豊かな状況にはなりました。 物価だけでなく企業の取り分や税金まで考慮したとしても、 一時期前の個人に政府・企業の取り分を足した規模に達していますし、 超長期で見れば政府・企業の取り分を足したものの何倍にもなっています。 日本でパートタイムで年間1000時間位しか働かなくても、 中国の年間3000時間超の民工(出稼ぎ労働者)よりも高い実質賃金を得ています。 オランダやフランスなどでは、 最低賃金が日本の2倍位あって社会福祉も充実しているため、 短時間労働でも選択可能な効用は一層幅広いかもしれません。 それでも年間の労働時間の平均減少幅が1%に達しないのは何故か、 短時間労働で余暇を選好する方に人口が殺到しないのは何故か、 という疑問であれば、社会学や心理学の範疇かと思います。 「高品質」の消費に心理的に適応しているからか、 周囲の「高品質」の消費に合わせなければ劣等感が生じるからか、 短時間の労働者がフルタイムの労働者よりも格下に置かれるからか、 周囲の労働者との共同作業があるからなのか、何なのかは分かりません。 ただ、ここでも政治経済面からのアプローチの 必要性がなくなったわけではありません。 労働時間を選ぶ市場は充分に存在しないのではないかとか、 短時間の労働者の時間給が長時間の労働者を格段に下回っているとか、 (実際、準固定費があるため、短時間の労働者は、 時間当たり賃金を大幅に落とさなければ採算が取れない) 短時間労働の雇用・社会保障が不安定であるからとか、 色々と説明のしようはあるかもしれません。 ここの回答は誰も労働経済学の観点から説明していないようですが、 労働経済学のテキストを読んでみるのも手助けにはなるかと思います。 ------------------------------ c)幸福感というもの ------------------------------ >現状、総幸福感の向上を伴わない経済膨張が進み、 >いつか人類は地球環境とともに滅びてしまうのではないかという この点なのですが、「総幸福感」というのは、 その計測・計算・個人間比較に絶対的な基準を打ち出すことができないため、 (ブータンのような例外を除いては)単一の目標にはなっていません。 古来功利主義の哲学者は多くの基準を打ち出してきましたが、 未だに見解の一致は見ていません。 自己申告の生活満足度などの主観的幸福や、 生理学的な客観的幸福の計測もありますが、 いずれも多くの限界を抱えています。 長時間働いて高賃金を得るのと短時間働いて余暇を得るのは、 どちらが「良い」か「悪い」かは、おそらく経済学で本質的な分析にはなりません。 その2つの効用に対する選好を前提として、利益を追及する過程が対象になります。 幸福に意味がないというのではなく、分析ツールとしての混乱を避けるため、 この種の価値判断を取っていないということです。 他方で、経済学者は必ずしも市場の成功だけを絶対視しているわけではありません。 私は経済学者ではないから経済学自体を語ることはできませんが、 今日、市場がどのようにして失敗するかを研究して、 それへの対処策を見出そうとしている経済学者は少なくありません。 環境破壊・地球温暖化への対処も、 経済学者が真剣に議論しているトピックの1つです。 環境経済学という分野もあります。 差別や階層の問題には社会学者が大いに議論を行っていますが、 所得面の不平等に関しては経済学者が大いに議論を行っています。 多くの開発途上国の環境問題や不平等は深刻を極めるため、 開発経済学者はこれらの難題に取り組んでいます。 経済学ではなく現代思想では、ハンナ・アレントのように 労働の「価値の無さ」を主張した人もいます。 ガルブレイスの依存効果(巨大企業の広告等が消費者の欲望を創出する効果)も、 主流派経済学よりも現代思想でポピュラーな議論のように思います。 福祉の思想家には、最低限の生活に必要な労働は倫理的に「強制的」な労働であり、 「自発的」な労働と分けられるとする人もいますが、 こういった主張をめぐっては大いに意見が分かれます。 ロールズ、ノージックからアマルティア・セン、ピーター・シンガーのように、 倫理学の観点から政治経済にアプローチする議論も盛んになされています。

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