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言語はどのように生まれたのですか?

yajiro-bayの回答

回答No.5

(1)言語は、ヒトと他の動物を区別する最大の特徴とされている。言語の起源を論ずるのは不毛であるとかつて考えられていたが、少しずつ断絶は埋められてきた。言語の起源を探る方法としては、野生霊長類の音声研究、飼育下の類人猿の言語研究、脳の電気生理学的研究、現生霊長類の発声器官の解剖学的研究、化石人類の頭骨の研究、考古学的研究などがある。 (『人間性はどこから来たのか』 西田利貞) (2)「ヴィトゲンシュタインはかって「私的言語は不可能である」と結論した。・・・言語や行為は、そもそも、ある単独の身体だけに属するものだとは考えられない。なぜなら行為も言葉も、身体の挙動にほかならないのであって、それは他者(他の身体)から観察でき、他者(他の身体)に受けとめられ、理解されることによって、はじめてその効力を生み出すものだからだ。・・・(反例として、内言があるというかもしれない。・・・すなわち内言は、ふつうの言語があるからこそ可能な、派生的な現象であって、言葉を口に出して言うということがそもそもなければ、内言は不可能である・・・)以上の議論を敷衍するなら、言語に限らず行為についても「私的行為は不可能である」と言うことができる。」 (橋爪大三郎『社会学論集』) 最初の引用に関して、ご説明の必要はないでしょう。 橋爪さんの引用は、少々難解です、釈迦に説法かもしれませんが解説を試みて見ます。 「私的言語は不可能である」つまり、自分と他者の区別がつくことが前提としてありますね、赤ん坊は最初のうちには、自分とか他人とかの区別はできません、ただひたすら泣くだけです。その後両親や家族に何度も何度も話しかけられ、あやされるうちに、赤ちゃん語のようなものを覚えだします、以下引用 (3)「乳幼児が「マンマ」「ミルク」の言い分けを覚えて口にした場合、それは食糧をよこせという要請の効力を現すシグナルであると同時に、その記号によって同時に外的現実の一部に言及している。すなわち、ここで単に効力のみならず、外界の世界にに存在する対象をも合わせて示差する原初的記号が出現することになり、異化さけた外的世界内の対象の存在が一部その姿を垣間見せる。効力と対象を合わせもったシグナルにとどまる場合と、それらを切り離したシグナル体系をもつ場合とを比べれば、前者の方がコミュニケーション効率は格段に落ちる。乳児は、ここで物理的同一性・類似性の認識という概念的な側面での発達を基礎として、効力記号と対象記号を分化させることを会得していく。」 (橋本芳明 『交換と所有』) つまり、言語の発達のためには対象の認識は不可欠であり、「ミルク」という音が、空腹状態のときに自分に何か満足を与える対象と認識する事が重要でそれを「おっぱい」という音で表わすかは関係なく、空腹を癒す快概念の認識が重要なようです。(すこし回りくどい表現ですが、ソシュールに関わるとこの点が重要になります)(3)の引用ではこの点を物理的同一性・類似性の認識という固い表現を使っていますし、効力記号と対象記号この表現も微妙ですが、ここは触れません。 (2)の引用に戻ります 先ほど、家族に話しかけられ、と書いたように、子供の言語発達は周囲の人々が不可欠ですが、より一般的に言語の発生そのものにこの事情が当てはまるのか、おそらく当てはまるという意味で「私的言語は不可能である」という言い回しになるのではないでしょうか。 この一般化を他者の存在として捉えているわけですが、個人的にはもう少し突っ込むと 以下個人的妄想 一般的人間社会の言語の始まりとしては社会的対象の認識として分業の始まりが有るような気がします。言葉の始まりと分業を関連させるのは、余り聞きませんし、分業というと経済学の概念のような気がして、違和感があるでしょうが、他者という一般概念より、分業による個別のコミュニケーションの必要性を強調したい所です。性差による分業や集団による採取や狩猟、さらには飼育・育成と社会の進歩に併せて、分業はますます複雑になり、協力者との会話や指示、説明・説得・命令の必要性はますます増大した事でしょう。こう考えると、言葉だけを取り上げて、言葉の起源を推測するより、言語の必要性がどのように現れ出したかと問いかけたほうが、解決に繋がりそうな気がします。以上個人的妄想終わり。 (2)の「私的行為は不可能である」についても 「始原的な協約によって特定商品が交換手段として使用されるなったという学説がまちがっているということはまさに、言語もしくは法律の発端における始原的協約への古い信仰と同様に明白である。」 (「一般理論経済学・遺稿による『経済学原理』第2版」メンガー・八木紀一郎訳) 例えば、タクシーを止めようとして、手お上げる。この件を考えると面白いですね、確かに、「手お上げる」→「タクシーが停まる」よく例外はありますが、約束事のように見えますが、誰かが決めたのではなく、いつの間にかそのような習慣が通用する、合理的で単純だから皆が従う、そういう結果を見損なうことは多いですね。 随分長くなりましたが、文法の件は私には手が出ません。 ところで言語とは何か! 「ミルク」という音が言語でしょうか、「ミルク」と書かれた文字も言語と言えます。この二つが同じになるのは「脳のなかのラングだ」そして「ラング」こそが言語学の対象である。と言うのがソシュールの考えの一つだと理解しています(自信なし。 つまり日本語の「ミルク」と英語の「milk」(スペルあってますか)が指示する概念は同じものだ。 何が申したいのかといえば、言葉の発生という場合 概念なのか、音声なのか、文字なのかがあいまいだという事ですね。 もちろん、妄想には拘らず、最初に引用した、個別諸科学の精密な成果の上での、整合性の取れた説明が必要なのは言うまでもありませんが。 最後に、参考URLを貼っておきます。 私には難しくて、説明はできませんのであしからず。 一番下の、第一回シンポの、四論文をお奨めします。 http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/evo_anth/sympo.html 本日、肉体的な疲労と精神的なそれが、バランス悪く、釣り合いを取るためひたすら長い回答を試みてしまいました、責任はひとえに回答者にあります、失礼しました。

mof
質問者

お礼

こんにちは。 シンポの四論文を含め、全て読ませて頂きました。 あまりにも普段使わない脳ミソ使ったので、大変でシタ! 特に「ヴィトゲンシュタイン」的な「整合性のある」論理的思考には、なじみがないので、わかったような、わからないような… おそらく「慣れ」も必要なんだろうなと思いながら読みました。 (宇宙人の思考実験も苦労したです…w) 「効力記号と対象記号」のようなことを意識的に考えたことがなかったので 、こういった事を考える方の思考の鍛錬は私より遥か先を行ってるのだろうと思いました。やはり学者さんにはかないませんね…。 でもすごく勉強になりました。 色々教えて頂きありがとうございました。

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