憲法が改正できない理由
安倍総理が参院選に臨むにあたって、憲法96条の改正を争点の柱にしたいと言ってました。
憲法第96条は憲法改正の手続きを下記のように定めています。
第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
この中にある「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」で発議することが定められています。
安倍総理はこの三分の二の要件が高すぎるので、過半数に緩和すると掲げています。
しかし、本当に日本で憲法が改正できなかったのは、この要件のせいでしょうか?
先進各国は似たような条項があっても、何度か改正しています。
例えば戦後の憲法改正では
・アメリカ
「連邦議会の両院の3分の2の賛成による修正の発議」と「全州の4分の3の州議会の賛成」 改正回数6回
・ドイツ
「連邦議会の3分の2以上の同意」かつ「連邦参議院の3分の2以上の同意」 改正回数 57回(西ドイツ時代35回)
・フランス
「首相の提案を受けた大統領及び国会議員に競合して属しており、発議された改正案は、両議院によって同一の文言で可決された後に、国民投票で承認されて確定される。」
もしくは、「大統領による法律案の国民投票への付託される。」 改正回数 24回(第五共和国憲法)
・イタリア
「3か月以上の間隔を置いた連続する2回の審議における各議院の可決」
ただし、国会によるこの手続の後に、一議院の議員の5分の150万人の有権者又は5つの州議会の要求がある場合は、憲法改正は国民投票に付され、有効投票の過半数が承認しない限り改正は成立しない。国会の各議院の2回目の表決で、3分の2の特別多数で憲法改正が可決された場合は国民投票は行わない。改正回数15回
・中国
「全人代常務委員会又は全人代代表の5分の1以上による提議」かつ「全人代の全代表の3分の2以上の賛成」 改正回数2回
・韓国
「国会議員の過半数又は大統領の発議による提案」もしくは提案された憲法改正案の大統領による20日間以上の公告」の後「全国会議員の3分の2以上の特別多数による議決(公告日から60
日以内)」かつ、「国民投票における有権者の過半数の投票と投票者過半数の賛成(国会での議決から30日以内) 改正回数 8回(内全面改正6回)
参考http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/pdf/0687.pdf
上記各国の手続きと較べて、日本国憲法の「両議院の3分の2」と「特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」というのは、高すぎるという印象を持たなかったのですが、皆さんはどう思われますか?
高すぎるわけではないと言うことになると、日本で憲法改正ができなかったのは別の理由によるのではと思うのですが、その場合、何が原因だと思われますか?