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鍾乳石(stalactite)はミルクと関係がない?

鍾乳石(stalactite)はギリシア語の stalazein 「滴下する」に由来すると読みました。 でも lact はラテン系の言語で「乳、ミルク」を連想させるので、鍾乳石の訳語がついたのでは?と考えてしまします。 本当に「乳」とは関係がないのでしょうか?

noname#33948
noname#33948

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noname#122289
noname#122289
回答No.3

結論を言うと元々のギリシャ語のstalazeinとラテン語のlact-は語源的に無関係です。 両者は元になった語根が異なります。「乳」は glak-に由来します。ラテン語では名詞の単数主格「乳は」は lac ですが、属格(乳の、という意味)では lactis という形です。ギリシャ語では「乳は」はgala、属格「乳の」は galaktos という形。 属格の方を見るとそれぞれ lactis、galactosです。-is、-osは属格の語尾ですので取ってしまうと残るのは lact-、galakt-です。ここから古くは【glakt-】という形が想像されます。ラテン語では語頭のg-が消えてしまい、ギリシャ語ではgとlの間に-a-が生じたのです。 stalazein「滴下する」は 【lag-】(glakではなくて)のまえに【sta-】(立つ)がついた形(sta-lag-)だったと考えられます(他にstag-という形を想定する説もあります)。lag-は広くインドヨーロッパ語族に認められ、「浸み込む、消える」といった意味があります。(現代英語のlack「欠ける」も同根語です) 「少し留まって消える」→「しずくになってから落ちる」というようなことを表しているのでしょう。 以上を見ると、stalactiteは「雫によってできた石」であってミルクとは本来無関係です。 以上の資料からは -lac-と「乳」は偶然の一致と見たほうが無難だと思います。 ただし、stalactitesが先にあってこの綴りのなかの-lac-を(語源とは関わりなく)「乳」と解釈して漢語に訳したという可能性は残りますね。 stalactitesが英語の文献に現れるのが1677年,その前に1654 Olaus Wormiusという人がラテン語で書いた書物で使っているそうです。ギリシャ語だとσταλακτιτη(stalaktite)は古代ギリシャ語の辞書には載っていませんが、今のギリシャ人は使うみたいです。検索すると出て来ます。 garamond様のお答えにあるように「鍾乳」という漢字表記が本草綱目に書かれているとすれば1500年代の中国。「鍾乳」のほうがわずかに早いですね。微妙なところです。でもどうやら中国語に翻訳借用されたというわけでもなさそうです。もちろん証拠となる文献が失われたという可能性も考えられますが。

noname#33948
質問者

お礼

ここでもいろいろな私自身の発見がありました。 lac が英語の lack と関係がある、とか sta が留まる、とか(英語の stay と関係?) ギリシア語から解説していただいて、とても面白かったですよ!

その他の回答 (2)

  • garamond
  • ベストアンサー率53% (1119/2111)
回答No.2

「乳汁」ではなく「乳房」ないし「乳頭」に関係があります。 まず、日本人の多くはは「鍾乳石」が正しく、「鐘乳石」は誤りだと思っていますが、そうではありません。 http://hk.search.yahoo.com/search/images?p=%C4%C1%A8%C5&yp_r=0&d=0&fr=FP-tab-img-t&tx=d&s=-ut&meta=rst=hk&fr2=tab-vid&ei=BIG5 『本草綱目』には「石鍾乳」とあるのは事実です。 この言葉の成り立ちは「石」+「鍾乳」です。 「鍾乳」の「鍾」は「鐘」の借字で、「鐘」は中国古代の楽器です。 (「鍾」は柄杓のような形の容積を量る器、また容積の単位) 「乳」はその鐘にある9×4=36個の突起 (日本の仏寺の梵鐘にもその名残があります) で、正式名称は「枚」です。 http://www.gg-art.com/include/viewDetail_b.php?columnid=50&colid=1245 (もっとにょきにょき林立しているものがあるのですが、画像で示せません。) これを乳房・乳頭になぞらえて俗に「鐘乳」と呼んだのです。 実際に文字に書かれて現存する用例が『周礼(しゅらい)』の注で「鍾乳」となっているために、それが踏襲されているのですが、 『周礼』の今に伝わるテキストは、「鐘鼓」を「鍾鼓」とするなど、「鐘」の字を全て借字の「鍾」に作っている本です。 本草家は、鐘乳洞の天井から垂れ下がっている様子が鐘乳に似ているので、青銅器ではなく「石」の「鍾乳」だとして「石鍾乳」と命名しました。 その表記としては、伝統に従い、『周礼』の注の文字の通りですが、本来なら「鐘」と書かれてしかるべきものです。 「石鍾乳」を略して「鍾乳」とも言いました。 近代になって西洋の学問が伝わった際、stalactiteを訳すのにこの言葉を使って、「大理石」「方解石」などのような鉱物名の一つとして「鐘乳石」としたのです。 わざわざ借字を使う必要はないので「鐘」と書きます。 旧版の『辞海』でも、「鍾乳」は古典に出る語なので、そのまま見出しにしていますが、“経伝では「鐘」を「鍾」と書くことがある”と注記しています。 「鐘乳石」の見出しはありますが、「鍾乳石」はありません。 なお、簡体字で「鐘」「鍾」が同じになってしまったので、またちょっと説明がしにくくなりました。 http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=949f 結論を言えば、「鍾」と書いた伝統はあるので、日本で「鍾乳石」「鍾乳洞」と書くのはそれでいいのですが、「鐘乳石」を誤りのように言うのは的外れなのです。

noname#33948
質問者

お礼

「鐘」「鍾」でもどっちでもいいっちゃ! ありがとちゃん!

noname#20142
noname#20142
回答No.1

ラテン語 stalactite は ギリシャ語の stalaktos (dropping, dripping)に由来、となっています。 「鍾乳石」の訳語は視覚的な有様から来ているのではないでしょうか。 STALACTITE 1677, Anglicized from Mod.L. stalactites (used 1654 by Olaus Wormius), from Gk. stalaktos "dripping," from stalassein "to trickle," from PIE base *stag- "to seep, drip, drop" (cf. Ger. stallen, Lith. telziu "to urinate"). http://www.etymonline.com/index.php?l=s&p=39 STALACTITE icicle-like deposit of carbonate of lime pendent from a cave-roof. XVI. — modL. stalactites , f. Gr. stalaktos dropping, dripping, f. stalak- , base ... http://www.highbeam.com/doc/1O27:stalactite/stalactite+.html?refid=ency_botnm

noname#33948
質問者

お礼

www.etymonline.com これいいですよね、語源辞典で一番ですよね! julioさんの優しさに触れた瞬間!

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