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小説「闇の奥」の斃猫という単語について
コンラッドの小説「闇の奥」の中の104ページ一行目に「あらゆる文明の斃猫」という文がでてくるのですが、斃猫(へいびょう)とはどのようないみなのでしょうか、斃は死ぬと言うことなので死んだ猫という意味なのかもしれませんが、だとしたらなぜここでそのような表現をつかったのか、どうしてもわかりません。文学の解釈に詳しい方おしえてくだい。
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コンラッド研究や文学理論については無知な、たんなる読者としての回答です。 Project Gutenberg のテキスト (どの版にあたるのかもわかりません) で調べると、「あらゆる文明の斃猫」 の 「斃猫」 は、いかにも 「死んだ猫」 (all the dead cats of civilization) です。 さらにこの作品中にあらわれる 「猫」 (cat) を検索してみると、5ヶ所ありました。 (1) ブリュッセルの貿易会社の採用面接で編物をしながら受付をしていた2人の女性のうち、年とった方のひざの上にいた 「猫」。 (2) 霧の中で船の見張りをしたマーロウ自身についてのたとえ。「猫」 がネズミを見張るように。 (3) 黒んぼ (niggers) が川岸から射かけてきた矢についてのたとえ。毒が塗ってあったのかもしれないが、 「猫」 も殺せそうにはみえなかった。 (4) 文明社会のあらゆる無価値なもののたとえ。ご質問の箇所。 (5) 船から姿を消したクルツを捜索するために上陸したときに浮かんだ、へんてこりんな連想。 (1) の 「猫」 をひざにのせた老婦人。そこからさらに、森にとけこもうとするおかしな空想がふくらむ。 こうしてならべてみると、「猫」 にこめられた象徴的な意味をみとめることもできそうな気がします。文明=ごみため=死んだ猫、というつながりは、かならずしもとっぴな比喩ではなく、一貫性があるようにも思われてくるのです。
お礼
ありがとうございました。とても分かりやすく意味が飲み込めました。