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バンド理論で、E(k)=E(k+G)?

gontarohkの回答

  • gontarohk
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回答No.2

結晶運動量について誤解されているのではないでしょうか。結晶運動量と自由空間の運動量は似て非なるものです。どこまで理解されているのかよく分からないので、最初から書きましょう。以下、ブロッホ関数の量子数であるkを「結晶波数」と呼び(これにh/2piを掛けたものが結晶運動量です)、自由空間の平面波の「波数」と厳密に区別しましょう。 ブロッホ関数はご存知の通り、周期的な関数U(r)と平面波exp(ikr)の積で表されます。U(r)は周期関数ですので、フーリエ級数展開ができます。(フーリエ変換とは一応区別してください。)フーリエ級数展開は物理的に言えば、U(r)を平面波で展開することになります。このとき現れる平面波の「波数」は,nG(nは整数)です。ブロッホ関数はこれにexp(ikr)を掛けますから、現れる平面波の「波数」はk+nGとなります。 nについてはマイナス無限大から無限大まで和をとるのですから、例えばk+G+(n-1)Gとして{n-1)について和をとっても同じことです。 「結晶波数」はブロッホ関数を上のようにフーリエ級数展開したときに現れる「波数」を示すもので、この「波数」の数は無限にあるわけですが、第一ブリルアンゾーンの中の波数を一つ指定すれば、あとは自然に決まってしまうのは明らかです。だから第一ブリルアンゾーンの中の波数で、無限にある平面波の「波数」を代表させてしまったのが「結晶波数」です。 注意しなければならないのは、「結晶波数」はフーリエ級数展開に現れる平面波の「波数」を表しているだけで、展開の係数までは表していないことです。平面波は「波数」さえ指定すれば規格化定数を除いて一意的に決まってしまうのと違って、ブロッホ関数は「結晶波数」だけでは決まりません。展開の係数の取り方によって、同じ「結晶波数」を持ちながら、互いに直交するブロッホ関数をつくることができ、これらのブロッホ関数のエネルギーは一般には異なります。(もちろん縮退することもありますが。) ご質問のなかのE(k)=E(k+G)という式は、いろいろ誤解を招きやすいと思います。左辺と右辺のkとk+Gが同じブロッホ関数の量子数であれば、この式は成り立ちます。これは、ブロッホ関数の平面波展開に出てくる無限の「波数」を、第一ブリルアンゾーンの波数で代表するか、第二ブリルアンゾーンの波数で代表するかの違いでしかないからです。しかし、すでに書きましたように、同じ「結晶波数」でも異なるブロッホ関数のものであれば、エネルギーは異なります。 以上、土曜日の朝のつれずれなるままに、長々と書きましたが、お分かりになっていただけましたでしょうか。

kyongsok
質問者

お礼

すみません、もう一つ質問させてください。No1の補足でも言ったんですが、方程式に出てくる物理量がすべてGだけの周期性をもつ、という導出は、どうやればいいのでしょうか?解説してある本の名前だけでも紹介していただければ嬉しいです。

kyongsok
質問者

補足

丁寧なご回答、まことにありがとうございます! そうですね、自由電子のkと結晶波数kの違いはぼんやりとわかっていたんですが、理解してなかったところはEへの影響の差でした。自由電子はE(k)∝k^2なのは知っていましたが、結晶波数kがどんな関数形でEに影響を及ぼしてるのかを知らないので、いつのまにかイメージをかぶらせてました。(bandgap付近のE(k)は教科書で理解したのですが、その他の部分がイメージがありません汗) 結晶波数kのEへの影響、すなわちE(k:結晶波数)の関数形がわかればしっかり区別できると思います…でもそれは対象とする電子によってぜんぜん変わってくるんですよね、自由電子近似とか強束縛近似とか汗 大変理解が深まりました、感謝です!

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