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フェルミー準位

Umadaの回答

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  • Umada
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回答No.2

まず ・固体中の電子の有するエネルギーはどんな値でも自由にとれるわけでなく、いくつかのエネルギー準位に限られる。 ・電子は上記の式に従ってエネルギー準位の低い方から入っていく。ただし下の準位から全部詰めて入っていくわけでなく、上記の式に従って分布する。(従って低い準位でも若干の空きがあり、一方で高い準位にも少しは入っている) ということを思い出して下さい。これが分からないとFermi準位については分かりませんから、統計力学か電子論、固体物性の教科書をもう一度復習して下さい。 Fermi準位の理解には「大学の大部屋の講義」を思い浮かべて頂くと分かりやすいと思います。 まず座席は、前の列から後ろの列までたくさんあるとします。とりあえず30列くらいあるとしましょうか。 そこへ学生が入ってきます。学生はあまり前の方に座りたがりませんから、席は大体後ろから詰まっていきます。もちろん後ろの1列が完全に埋まってから次の1列が埋まり始めるわけでなく、後ろから2列目や3列目も早い段階から埋まり始めることでしょう。人数は少ないながらも、前の方にも何人かは熱心な学生が座っていることでしょう。図に描くと下のようになります。 座席の埋まっている数 ↑ │          │         ■ │         ■   │       ■■■ │  ■ ■ ■■■■ └─────────→教授との距離  前        * 後 もう見当が付いたことと思いますが、 座席の場所(教授からの距離):エネルギー準位 横一列の中で、埋まっている座席の割合:占有確率 に対応するわけです。「前の席ほどエネルギー準位が高い」ということですね。 Fermi準位とは、「だいたいどの辺の準位まで埋まっているか」「(電子は)平均としてどの辺の準位にいるか」を表す指標です。(厳密に言うならFermi-Dirac統計で「占有確率が1/2になるエネルギー準位」) 上の図では部屋の総収容数に比べて学生が少ないですから、後ろの方に学生が少しだけ座っておしまいです。ですから「Fermi準位は低い」ということになります。だいたい*を付けた付近がFermi準位でしょう。 さて期末試験が近付いて、学生の数が増えたとしましょう。後ろは埋まってしまって、あふれた学生は必然的に前の方にも座ることになります。従って分布は下の図のようになるでしょう。 座席の埋まっている数 ↑       ■■■ │      ■■■■ │     ■■■■■ │    ■■■■■■   │   ■■■■■■■ │ ■■■■■■■■■ └─────────→教授との距離  前    *    後 この場合は学生はやむなく前に座るわけで、Fermi準位も上がります。大体*の辺りでしょうか。「学生の平均の位置」あるいは「座席はどの辺まで埋まっているか」は、前寄りになるわけですね。 最初の n(x)=n(0)exp{-(E(x)-Ef)/kT} に立ち返れば、これは n(0)exp(Ef/kT)exp{-E(x)/kT} と書き直せますから、Fermiエネルギーは一種の規格化因子とも言えます。 エネルギー準位の数(正確には状態密度)×占有確率を前エネルギーに亘って積分すれば、それは系の全電子数に等しくなければなりません。そこで規格化因子exp(Ef/kT)が入るわけです。 私自身、多少いいかげんな理解をしている部分がありますので、上記の回答の信頼性は適当に割引いてお読みください。

tera242
質問者

お礼

凄くわかりやすい説明で感動しました。 これで、テストでフェルミー準位について説明するとききっちりと書けます。 本当にどうもありがとうございました。

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