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欧米の違憲審査制度が盛んな理由
日本の最高裁判所は、違憲立法審査権を持っているにも拘らず、 現在までに数えるほどしか違憲判断を下していませんよね? 事情判決とか統治行為論で逃げることも多いですし・・・ その点例えばアメリカなどでは、バンバン違憲判決を下しています。 日本もアメリカも、 ・行政の長に最高裁の人事権を握られている ・裁判官は民選で選ばれていない など、条件は同じだと思われるのですが この違いは何処から生じるのでしょうか?
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私自身は、日本の最高裁が、米国連邦最高裁に比べて、憲法判断を回避する傾向が強いというようなことは無いと思います。 日本で違憲判断が少ないのは、憲法判断をしなければならないような状況自体が、米国に比べて圧倒的に少ないというのが、大きな原因だと思います。 まず、一つ目の理由として、日本では違憲の法律がほとんどないということです。日本では、官僚が法律を作りますので、違憲か合憲か怪しいような法律案が国会に提出されたり、成立すること自体、まれです。 これに対し、米国の場合、政治家が主体となって法律が作られますので、違憲の疑いがあっても、政治的な意図が働いて、そもまま成立してしまうということがあります。 例えば、96年の「通信品位法」は、議会で審議されている段階から、学者はこぞって違憲であると主張し、成立からわずか半年で違憲判決が出ることになりました。日本では、このような、グレーな法律が成立するということは考えられません。 2つめの点として、米国では共和党と民主党の政権交代があるという点も大きいです。 政権交代に伴って、連邦最高裁の裁判官の構成も(裁判官に定年は無いため比較的緩やかですが)、変化します。 すると、例えば民主党が政権をとってしばらくすると、民主党派の裁判官が多数になり、共和党政権時代に成立した法律について違憲判断を出すというようなことがおこります。(当然、逆もあります) 日本の場合、戦後ほとんどの期間、自民党が政権を担当し、裁判官も任命しているので、自民党の価値観と、最高裁裁判官の価値観に乖離が生じる可能性は低いです。 なお、以下、蛇足ですが、 >事情判決とか統治行為論で逃げることも多いですし・・・ まず、最高裁が「統治行為論」を明確に打ち出しているのは、日米安保条約合憲性裁判のみです。それから、「事情判決」も、国会議員の定数配分規定違憲裁判という限定されたシチュエーションの話です。それ以前に、事情判決は、違憲判決であって、憲法判断を回避しているわけではありません。 一般的に言って、日本の最高裁が「事情判決とか統治行為論で逃げることも多い」ということは無いと思います。
お礼
ありがとうございます。そうだったんですね! 深く納得いたしました。政権交代なんて思いつきもしませんでした。 このようなことは具体的審査制を採っている独仏にも言えることでしょうか?