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法人格否認の法理の実践方法

noname#1455の回答

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noname#1455
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回答No.4

 私も、結論的には、tk-kubotaさんのNo.3のご回答とほぼ同意見です。以下、ご質問の事案の原告がchakuroさんご自身であるという前提でご説明申し上げます。 1 被告がchakuroさんご主張の事実を争った場合の立証方法  No.1の回答で指摘させていただいた事実は、いずれも原告であるchakuroさんに立証責任があります。  以下、No.1の回答の2(2)でご説明申し上げた法人格無視の徴表事実を例にとって、立証方法をご提案します。 (1) 株主総会・取締役会が開催されていないこと  被告において株主総会や取締役会が開催されていたことを反証しようとしない限り、擬制自白(民事訴訟法159条1項本文)ないしは弁論の全趣旨(同法247条)によって、株主総会や取締役会が開催されていないことを裁判所に認定させることができます。  被告が支配株主であるとすれば、数回分程度の株主総会議事録や取締役会議事録を入手し(株主総会議事録・商法244条3項、4項、263条2項。取締役会議事録・同法260条の4第4項、非訟事件手続法126条1項、132条の8)、これらを書証とすることで、「株主総会・取締役会が開催されていない」とのchakuroさんのご主張に対して容易に反証をなし得るはずです。  そうすると、このような反証すらしないとすれば、被告はchakuroさんのご主張を争うことを明らかにしない(民事訴訟法159条1項本文)と評価されるでしょうし、そうでないとしても、容易なはずの反証をしないという意味で、弁論の全趣旨(同法247条)としてしん酌されると考えられます。 (2) 業務ないし財産が混同されていること  No.1の回答が舌足らずであったかもしれません。申し訳ありません。  これらの要件は、「混同」という法的評価概念を含んでいますから、実際には、「業務ないし財産が混同されているとの評価を基礎づける具体的事実」が主張立証の対象となります。  例えば、支配株主の自宅と会社の本店とが同じ電話番号であるとか、支配株主が社用車等の会社財産を日常的に利用しているとか、支配株主の会社に対する債権債務について取引関係書類が作成されていない(この事実の立証も、(1)と同様の方法によります。)といった具体的事実を主張立証することになります。 2 規範的要件の主張立証の構造  「業務ないし財産が混同されていること」のような法的評価概念を含む法律要件(*1)は、「あの事実とこの事実があれば、業務ないし財産が混同されていると認められる」といった具合に定式化することが困難です。そのことは、逆に、一つ二つ立証に失敗した事実(評価根拠事実)があっても、なお当該要件の具備が認められ得ることを意味します。  そうすると、chakuroさんとしては、訴え提起前に、例えば「業務ないし財産が混同されているとの評価を基礎づける具体的事実」(評価根拠事実)をできる限り収集されたうえで、立証の難易を考慮しつつ、どの事実を主張してゆくこととするのかをご選択になる必要があるわけです。  他方、被告側は、抗弁として、「業務ないし財産が財産が混同されているとの評価を妨げる具体的事実」(*2)、例えば、支配株主が社用車を利用した場合は会社に利用料が支払われているといった事実を主張立証することができます。  そして、裁判所は、chakuroさんが主張立証された評価根拠事実と被告が主張立証した評価障害事実とを総合考慮して、業務ないし財産が財産が混同されていると評価できるかを判断することになります。  以上、ご参考になれば幸いです。      ---------- *1 このような法律要件を「規範的要件」といい、規範的要件の主要事実、すなわち、規範的要件があるとの評価を基礎づける具体的事実を、「評価根拠事実」といいます。 *2 このような規範的要件があるとの評価を妨げる具体的事実を、「評価障害事実」といい、規範的要件の不存在により利益を受ける当事者(=相手方当事者)が立証責任を負います。

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