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戸籍における「民法上の氏」、「呼称上の氏」
ある書籍からの要約抜粋ですが、 『嫡出でない子乙川花子を有している乙川洋子が、甲山一郎と夫の氏「甲山」を称して婚姻し、長男の太郎を出生した後、夫の一郎と協議離婚の届出をし、同時に戸籍法77条の2の婚氏続称の届出をして同法第19条3項の規定により新戸籍が編制された場合、洋子の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」です。花子の呼称上の氏は「乙川」で民法上の氏は「乙川」です。太郎の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「甲山」です。 花子、太郎を洋子の新戸籍に入籍する場合、(1)花子は民法上の氏が同じなので、同籍する旨の入籍届により入籍。 (2)太郎は民法上の氏が異なるため、家裁の「氏変更の許可」を得(民法791条1項)、入籍届により入籍』 この場合、花子の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」、太郎の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」となるのでしょうか。 また、花子がA、太郎がBとそれぞれ婚姻し、それぞれの氏を称した場合、戸籍に記載される氏は、「甲山」・「乙川」のどちらでしょうか。
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>民法上の氏変更許可でありながら、母の呼称上の氏「甲山」が記載され、民法上の氏については何も書かれていません。 そもそも民法上の氏というのは架空のというか概念的な氏なんですよ。だから戸籍を初めとする書類には一切かかれていません。そもそも民法上の氏は今の民法と戸籍法にするときに作り出された概念でしかないんですね。 何故概念的な「民法上の氏」なるものを作らなければならなかったかというと、もともとは戸籍による家族の管理から氏による戸籍の管理に移ったたためにおきたことなのです。 端的にいうと、離婚しても婚姻時の氏を名乗る選択というのはあくまで便宜を図ってのことであり、戸籍を中心とした家族制度のシステムの考えでは「元の家族構成の中に戻る」という考え方のままなので、氏がなんであろうと元に戻っていなければならないのです。逆に氏を絶対とみなすという考え方にすると、婚姻時の氏を名乗る選択は第三の選択という意味合いを持ちます。つまり婚姻時の家族を表す戸籍から離れて、でも以前の戸籍に戻るのではなく新たな戸籍を作り、すなわち新たな家族の系統を作るという意味になってしまいます。 しかし実際にはそういう考えかたを取り入れるのではなく、あくまで婚姻前に戻るという考え方は保持したかったので、民法上の氏という概念を持ち出したのです。 これにより旧法では離婚したときには自動的に婚姻前に戻ったのと同様に、離婚して婚姻時の氏を名乗るかどうかに左右されず、婚姻前にあった花子と洋子の2人の戸籍の状態を作れるようにしたわけです。だから花子は許可なく洋子の戸籍に入ります。戸籍上のつまり呼称上の氏は変わるのですが。 一方太郎が洋子の戸籍に入るというのは「従来の状態に戻す」ということにはなりませんので、裁判所の許可を必要とするようにしたわけです。 平たく言えば離婚したあとに従来の状態に戻すときに、いちいち裁判所の許可をいらないようにするにはどうすればよいかという話です。 もう一つ違う例では、先に書いた 「花子さんが相手の氏を名乗り婚姻した場合には、民法上、呼称上の氏は相手の氏になりますが、離婚して復氏すると、また元の民法上の氏「乙川」、呼称上の氏は「そのときの母の呼称上の氏」に戻ります。太郎さんの場合もそうです。」 の例ですね。もし民法上の氏の概念がないと洋子さんの氏が変わっていたとしたら花子さんはもとの洋子さんの戸籍に自動的には戻れないことになってしまいます。婚姻したら籍を離れるが離婚したら元の籍に戻るという基本概念を守るためには民法上の氏という概念を持ち出すしかなかったということなのです。 もっと平たく言えば、民法上の氏とは「こういう戸籍システム・家族の考え方にしたい」という思想と現在の民法や戸籍法の仕組みとのギャップを埋めるための「解釈の仕方」に過ぎません。
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- o24hit
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こんばんは。以前、仕事で戸籍事務をしていましたので分かる範囲で… ANo.2さんへの補足に、 >また、太郎の家裁の「氏の変更の許可」審判書では、『申立て人の氏「甲山」を母の氏である「甲山」に変更することを許可する。』となっています。 とありますが、これに答えが詰まっています。つまり、元夫の氏「甲山」と、離婚後の洋子さんの氏「甲山」は同じ氏ですが「違う氏」だと言う事です。 極端に言えば、知り合いの「木村さん」とスマップの「木村拓哉」氏と同じ関係で、氏が同じだと言うだけです。 >花子の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」、太郎の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」となるのでしょうか。 まず、「戸籍上の氏」=「呼称上の氏」、「民法上の氏」=「出生時の氏」と考えてもらえればよいと思います。 それと、呼称上の氏が一緒でないと同じ戸籍には記載されません。ですから、呼称上の氏が母と同じ氏でないと、同じ戸籍に記載できません。 洋子が結婚で「乙川」から「甲山」に変わってたのは「氏の変更」で、離婚の際に「甲山」の氏を選んだのも「氏の変更」です。後半は変に思われるかもしれませんが、本来、旧姓の「乙川」に戻るところを戸籍法77-2の届けを出す事により「乙川」から「甲山」に「氏の変更」をしているんです。 また、花子が「乙川」から「甲山」に変わってたのは「氏の変更」になります。 一方、太郎は「甲山」から「甲山」ですから、変わっていないように思いますが、前述のとおり、母の「甲山」と父の「甲山」は、同じ氏ですが「違う氏」ですから、「氏の変更」になります。 以上から、花子の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」、太郎の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏も「甲山」です。 >また、花子がA、太郎がBとそれぞれ婚姻し、それぞれの氏を称した場合、戸籍に記載される氏は、「甲山」・「乙川」のどちらでしょうか。 質問文の結果として、全員、「甲山」と言う氏の戸籍に記載されていますから、花子、太郎がそれぞれの氏を名乗るのでしたら、いずれも戸籍の氏は「甲山」になります。 頭がこんがらがってきましたが、これで合っていると思います。
- walkingdic
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>花子の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」 はい。 >太郎の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏は「乙川」となるのでしょうか。 はい。 >また、花子がA、太郎がBとそれぞれ婚姻し、それぞれの氏を称した場合、戸籍に記載される氏は、「甲山」・「乙川」のどちらでしょうか。 婚姻時にそれまでの呼称上の氏「甲山」を選択するわけなので、民法上の氏も「甲山」、呼称上の氏も「甲山」です。(民法上の氏の変更があった場合には呼称上の氏も必ず変更となります) 基本的に戸籍の氏は呼称上の氏です。 ちなみに花子は20才で従前の氏を名乗る届出により「乙川」に戻れる道があります。 太郎の場合は従前の氏は「甲山」なので、戸籍上(呼称上)の氏に変更はありません。 ちなみに花子さんが相手の氏を名乗り婚姻した場合には、民法上、呼称上の氏は相手の氏になりますが、離婚して復氏すると、また元の民法上の氏「乙川」、呼称上の氏は「そのときの母の呼称上の氏」に戻ります。太郎さんの場合もそうです。 「そのときの母の呼称上の氏」とは母が「甲山」のままであれば「甲山」だし「乙川」になっていれば「乙川」です。
補足
ありがとうございます。 『婚姻時にそれまでの呼称上の氏「甲山」を選択するわけなので、民法上の氏も「甲山」、呼称上の氏も「甲山」です。(民法上の氏の変更があった場合には呼称上の氏も必ず変更となります)』とありますが、民法750条【夫婦の氏】のストレートな解釈以外に、参考になる書籍があれば書籍名とページをお教えください。 また、太郎の家裁の「氏の変更の許可」審判書では、『申立て人の氏「甲山」を母の氏である「甲山」に変更することを許可する。』となっています。 民法上の氏変更許可でありながら、母の呼称上の氏「甲山」が記載され、民法上の氏については何も書かれていません。 この事についてもが存知でしたら、お教えください。
- mimorita
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これは大変に難問ですよね。 どなたか法務関係にお詳しい方 フォローしていただければと思うのですが。 確認しておきたいのは、このように解釈して よろしいのかなという点です。 呼称上の氏=氏変更届により成立した氏 民法上の氏=実方の氏 恐らくこのように解釈してよいのだと思います。 事務処理として戸籍を編製した場合、 氏変更申請時の「氏」で戸籍を編製します。 つまり戸籍に記載される氏は「呼称上の氏」と しているはずです。 これは洋子さんが別の氏で再婚し、 再び離婚した場合に 婚姻前の氏=「呼称上の氏」に戻るか、 実方の氏=「民法上の氏」に戻るか、 選択することができるからだと思います。 なので花子さんは出生時に「乙川洋子」戸籍へ 入籍しているので、民法上の氏が「乙川」 という理屈は理解できます。 ポイントは太郎さんに対する民法791条1項の 入籍届が太郎さんの実方の氏を「乙川」とする 法的な効力があるのかどうかだと思います。 実際に出生時の入籍戸籍は「甲山」 入籍届によって入籍する戸籍の筆頭者も 氏は「甲山」で編製しているからです。 もう一点 戸籍上で記載される氏が「甲山」であれば、 婚姻によりその戸籍から除籍して自分の氏を 称して新戸籍を編製するならば、 氏は「甲山」になるはずだと思います。 筆頭者「甲山洋子」の戸籍から除籍している わけですからね。(ですよね・・・?) 問題は、花子さんが配偶者として相手方の 氏を称して婚姻した場合、離婚すると 実方の氏として「乙川」が称せるかどうか。 そのあたり・・・どなたかフォローくださいませ。
補足
>太郎の呼称上の氏は「甲山」で民法上の氏も「甲山」です。 やはり、民法791条による氏の変更ですので、民法上の氏は「乙川」でないでしょうか? 日本加除出版『レジストラーブック』の「氏の変更届」の項でも民法上の氏の変更に分類されていますが。