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取締役の忠実義務と善管注意義務

商法上の取締役の忠実義務違反と善管注意義務違反の違いがはっきりわかりません。 ざっくり言うと、 忠実義務違反は取締役の「故意に会社に損害を与える行為」をいい、 善管注意義務違反は取締役が「重過失により会社に損害を与える行為」と解してよいのでしょうか?

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  • buttonhole
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回答No.3

>こういったものについても善管注意義務違反と忠実義務違反が双方成り立つということなのでしょうか。  判例(最大判昭45.6.24民集第24巻6号625頁))では、忠実義務は、善管義務を敷衍(ふえん)し、かつ、一層明確にしたにとどまり、通常の委任関係に伴う善管義務とは別個の、高度な義務を規定したものではないとしています。  両者に法的要件、効果に違いがありませんから、忠実義務違反か善管注意義務違反か、実務上、あまり問題にならないと思います。

noname#11184
質問者

お礼

ご丁寧なご回答をありがとうございました。とても参考になりました。

その他の回答 (2)

noname#58431
noname#58431
回答No.2

○会社における取締役の基本的な立場、基本的な義務については概ね次の通りです。 ○会社と取締役との関係は「委任関係」とされています。⇒商法254条3項 ○「委任」においては、受任者である取締役は、委任を受けた趣旨に従い、「善良な管理者の注意をもってその任務にあたる義務(この義務のことを略して「善管注意義務」と呼びます)」を負っています。⇒民法644条。 ○「善管注意義務」は会社経営に関して通常必要と考えられる一般的、平均的な注意義務ですが、自分の個人財産を管理する場合の注意より高度なものでなければならないと解されています。 ○商法には、この善管注意義務のほかに、「法令、定款及び総会の決議を遵守し、会社のため忠実にその職務を遂行する義務(これを取締役の「忠実義務」と呼びます)」が規定されています。⇒商法254条の3 ○この二つの基本的義務は、その概念において別個のものではないという学説もありますが、通説は次のように解釈しています。 すなわち、「善管注意義務」は、取締役がその職務に応じて必要な注意を尽くす義務、「忠実義務」は、取締役がその地位を利用し、会社の利益を犠牲にして自己または第三者の利益をはかってはならない義務、ということです。 ○取締役の第三の基本的義務、それは「他の取締役の職務執行に対する監視・監督義務(略して「監視義務」と呼ぶ場合もあります)」⇒商法260条1項 ○代表取締役であれ平取締役であれ、この「善管注意義務」、「忠実義務」、「監視義務」を基本にして、会社の業務を的確に把握し、取締役会の構成員として会社の適切な業務執行の決定に加わり、他の取締役の職務執行が適正に行われるよう監視、監督する、これが取締役としての職務であり職責であると解されています。 ○参照判例 H16. 3.26 札幌地方裁判所 平成11年(ワ)第2446号 損害賠償請求事件 http://litigator.jp/decree2004/H160326-1.html

参考URL:
http://litigator.jp/decree2004/H160326-1.html
noname#11184
質問者

お礼

詳しいご解説をありがとうございました。 「善管注意義務」と「忠実義務」の言葉から受けたイメージとして、取締役は経営のプロなので、経営のプロとして通常合理的と思われる経営判断ができているかというのと、会社の財産の受託者として誠実な判断をしているのかというのが違いなのかな、と思っていたのですが、実際の株式会社では、ワンマン経営である場合を除き、取締役全員で経営に関する重要事項を決定するものなので、そのような場合は「善管注意義務」違反が単独で認定されるよりも、意思決定に関与した取締役全員の「忠実義務」違反とセットにして考えられる場合が多い、ということなのでしょうか・・・? 逆に、「善管注意義務」か「忠実義務」のいずれか片方のみが認められた有名な判例はないのでしょうか?

  • buttonhole
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回答No.1

>商法上の取締役の忠実義務違反と善管注意義務違反の違いがはっきりわかりません。  善管注意義務と忠実義務の関係に関して、学説上争いがあります。  まず、忠実義務と善管注意義務は、それぞれ内容が違うと考える学説は両者の関係を次のように説明します。  取締役は、会社との委任契約(準委任契約)にもとづき、受任者として善管注意義務を負いますが、この善管注意義務は、取締役がその職務を遂行する上で要求される注意義務の水準、程度を示すものと捉えます。一方、忠実義務は、取締役がその地位を利用して、会社の犠牲において、自己の利益を図ってはならないという義務と捉えます。そして取締役の競業避止義務は、忠実義務から派生する具体的な義務と説明されます。  これに対して、判例や通説は、善管注意義務と忠実義務は表現に違いがあるだけで、その内容は同一のものと捉えます。その地位を利用して、他人を犠牲にして自己の利益を図ってはならないという義務は、当然、善管注意義務の内容に含まれるのであり、あえて忠実義務から導き出す必要性はないと考えるわけです。

noname#11184
質問者

お礼

ご解説ありがとうございます。 取締役の違法行為でも、たとえば収賄や横領のようなものは、忠実義務には明らかに反していると思いますが、善管注意義務とは表現上、一見性格が違うように思えます。こういったものについても善管注意義務違反と忠実義務違反が双方成り立つということなのでしょうか。

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