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代表取締役である取締役あるいは監査役の責任
取締役会設置会社の代表取締役Aである場合、その従業員Bの不法行為によって会社に損害が生じた場合、Aが取締役の場合あるいは監査役の場合、Aの責任はどうなるのですか?
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従業員の不法行為が即,取締役や監査役の責任となるわけではありません。 しかし,それが,取締役や監査役の任務懈怠と関係があれば,取締役や監査役は,会社に対する責任を負うことになります。 (1) 取締役の責任 取締役は,取締役会非設置会社においては,自ら会社の業務を執行(会社法348条)し,取締役会設置会社においては,代表取締役は自ら職務を執行(同363条1項)し,他の取締役は,取締役会の一員として,会社の業務執行の意思を決定し(同362条2項1号),また,代表取締役等の職務の執行を監督します(同362条2項2号)。 取締役は,会社とは委任の関係に立ちます(同330条)ので,職務執行について民法644条に基づく善管注意義務を負い,また,会社のために忠実にその職務を行う義務を負います(会社法355条)。 そして,取締役会非設置会社においては取締役,同設置会社においては取締役会は,使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制を作る義務等株式会社の業務の適正を確保する体制を整備しなければなりません(同362条2項6号,会社法施行規則100条)。 取締役がこの義務を怠って,従業員が不法行為をし,会社に損害を与えた場合,取締役は,無過失を証明しない限り,任務懈怠責任(会社法330条・355条違反)として,会社に対する損害賠償責任を負います(同423条1項)。 (2) 監査役の責任 監査役は,取締役の職務の執行を監査します(会社法381条1項)。取締役会に出席し,必要があると認められるときは,意見を述べなければなりません(同383条1項)。 監査役は,取締役と同様,会社とは委任の関係に立つ(同330条)ので,職務執行について民法644条に基づく善管注意義務を負います。 取締役や取締役会が,取締役会として使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制を作る義務等株式会社の業務の適正を確保する体制を整備することを怠っているのに,監査役が見て見ぬふりをしていたところ,従業員が不法行為を行い会社に損害を与えたような場合には,会社に対して,任務懈怠責任(423条1項)として,取締役同様,損害賠償責任を負います。 なお,不法行為をした従業員,取締役,監査役が,会社に対して負う責任は,不真正連帯債務になります(同430条参照)。
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問 従業員Bの不法行為に対し、Aが無過失であり、取締役、監査役という立場においても知りえなかった場合はAはどちらの立場においても損害賠償責任は無いと考えてもいいのでしょうか? 答 会社法は,改正前商法と異なり,取締役・監査役等の役員について,過失責任主義をとっています。 例外的な無過失責任は,取締役の利益相反取引(そのうち直接取引)(会社法428条,356条1項2号),株主への利益供与をした取締役(120条4項),現物出資・財産引受けに係る財産譲渡をした発起人等(52条2項。募集設立の場合には,現物出資等をした発起人以外の発起人等を含む(会社法103条1項))等に限定されます。 よって,本件において,Aが無過失(:会社法362条4項6号に定める体制整備を行っていた)であり、取締役、監査役という立場においても知りえなかった場合は,会社・被害者に対する損害賠償責任を負うことはないでしょう。
お礼
2度も質問に答えていただき、ありがとうございます! とてもわかりやすくて、丁寧かつすばやい回答に、とても驚きました。 しかも、記入し忘れていた現行法の事まで教えていただき、ありがとうございます!
従業員の責任は代表取締役の責任でもあります。 原因究明・今後の対策・問題の解決など発表するようです。
お礼
回答ありがとうございます! 従業員の責任は代表取締役の責任というのは確かにそうですね^^
お礼
ありがとうございます! とてもわかりやすくて、混乱してしまっていた部分がよくわかりました! もしよろしければ重ねてお尋ねしたいのですが、従業員Bの不法行為に対し、Aが無過失であり、取締役、監査役という立場においても知りえなかった場合はAはどちらの立場においても損害賠償責任は無いと考えてもいいのでしょうか? もちろん、スルーして下さっても結構です;;;