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押し貸しや架空請求詐欺について
押し貸しや架空請求詐欺について、公序良俗に反し、 民法90条違反で無効をいう回答をたまに見ます。 しかし、自分としては、意思の合致がないため、 無効というよりも契約自体存在していないのでは ないかと思うのですが。 どなたか教えていただけないでしょうか。
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#1です。 #2さんがおっしゃるように、現実問題と法理論とを一度分けてみると分かりやすいかと思われます。 押し貸しを例にあげますが、振り込まれた人と振り込んだ人の金銭消費貸借契約の意思表示は合致していませんので無効です。ちなみに消費貸借契約は要物契約なので、要件は当事者の意思の合致プラス目的物の引渡ですが、この引渡は履行済みです。 そこで、法律をうまくつかおうと思えば、この契約の意思の合致があったかを問題とするより、振り込まれた人が意思の合致があったけれども、そもそも公序良俗違反だから無効ですと主張するほうがはるかに楽ですし、また不法原因給付によって振り込まれたお金も適法にいただくことができる。 このように、振り込まれた人がどちらの法律構成をとるか選択できますし、もめるのがいやなら返すことだってできます。 いかがでしょうか・・・
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- jewels
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ご質問者さんの熱心な勉強姿勢に心を打たれました。また、私も気づくことのなかった視点でのご質問に驚き、今回のご質問者さんとのやり取りで私のほうが勉強をさせていただいたと感謝をしているところです。 さて、民法708条は法律行為に限られるのか?ということですが、私の手持ちの資料に目を通したところ、やはり、#4での回答のとおり、708条の「不法」は、公序良俗違反を意味しているという説が現在の通説・判例のようです。この学説・判例は、「不法」に公序良俗違反のみならず、強行法規違反も含まれるか?という解釈論において対立する学説との比較で記述されているものです。しかし、708条の趣旨において、 「90条は、公序良俗に反する法律行為の実現に法が助力しないことを定めているのに対し、708条は、反社会的行為がすでになされた場合に、その結果の回復を望むものに対して、その助力を拒むことを定めている。このように、90条と708条は、表裏一体として反社会的行為に対する法の助力を拒否しているものといえる。」 ということから、90条と708条が表裏一体の関係なので、自然と法律行為に限定される・・・という結論が得られるものと私は解釈しました。 どの例題を見ても、法律行為が先行している事例ばかりで、これが結論であろうと思われます。 補足欄での、ご質問者さんの見解に私はなるほどと感じたわけでありますが、調べてみると上記結論に至りました。本回答でご質問者さんのお役に立てていれば幸いです。 それではm(_ _)m
お礼
最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。私も内田民法を読んでみたのですが、法律行為が先行している事例しか載っていませんでした。jewelsさんの仰るとおり、708条適用には90条が必須だと思います。今回の質問では、jewelsさんにいろいろ教えていただきとても勉強になりました。ありがとうございました。
- jewels
- ベストアンサー率62% (17/27)
#1のjewelsです。 民法90条を経ないで不法原因給付を主張することは可能か?ということですね。 これもいい機会だとおもいまして、一度整理してみました。 まず、契約は申込と承諾が合致する必要があります(ここまでが法律行為)が、合意が成立しても、いくつかの効力発生要件が充たされなければなりません。それは、合意要素である意思表示に関しては、意思能力・行為能力であったり、代理人による意思表示の場合は代理権の範囲内など・・・そして、合意の内容に関して実現可能性、確定性、適法性(強行規定・公序良俗に反しないこと)が充たされる必要があります。 以上の要件がそろうことによって契約が成立するといえ、押し貸しは金銭消費貸借契約で金利を要求してきますから、申込と承諾に加えて金銭の引渡が必要なことは#3で述べたとおりです。 ですから、不成立といったり、無効といったり、不存在といった言葉は、それぞれ以上の要件のうち、どこをもとにしていっているのかによって表現が違ってきます。 全体をとらえて不成立といったり、公序良俗違反をとらえて法律行為の無効といったり、無効の内容である、もともと不存在とさまざまな表現ができてしまいます。 さて、話をもとに戻しますが、不当利得法の中の特殊な部類である民法708条の不法原因給付において、要件は次の三つとされています。すなわち、(a)不法の原因 (b)の為め (c)給付をなす この要件である(a)を検討することによって、今回のご質問者さんの疑問を、解決へと導くことと思います。 判例、学説において、この不法原因給付の適用領域を厳格に制限する傾向があり、最判昭和37.3.8民集16-3-500では、不法の原因は論理的・道徳的に醜悪な行為がこれにあたるとし、民法90条を考えているとみられています。 強行法規違反も不法の原因だとする学説もありますが、強行法規違反は、国の政策に反しているというだけだから、必ずしも反倫理的とはいえないので、含めないという傾向にあるようです。 ですから、押し貸しを行ったヤミ金に対して90条で対抗をしなければ、708条をつかうことはできないのです。 このやり方は多くの実務家が使い始めたものでしょう。教科書等の典型例では出てくる問題ではなかったので。 私も、はじめ90条による無効をいきなりいい出しているものは違和感を感じていました。だって合意が形成されてないって頭がまずはじめにありますからね。 押し貸しの対処方法としてそのまま、その金額を返すだけでいいというアドバイスをしているとききます。しかし、1円でも多く返してしまったりすると、金利を支払ったなどなど、話がこじれたりして、登場した理論構成が90条と708条の合わせ技なのでしょう。 民法を勉強しているというご質問者さんの投稿を読み、多少法律用語を解説なしに使わせていただきました。 また何か疑問があれば、おっしゃっていただいて結構です。 長々と失礼しましたm(_ _)m
お礼
丁寧なご解説感謝します。 不存在、不成立、無効の違いについて、おかげさまで理解できました。また、最後から8~5行目を読んでいる時はただただうなずくばかりでした。 図々しいのは重々承知の上ですが、不法原因給付について補足欄に疑問点を記載いたしますので、もう一度お答えいただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
補足
90条では公序良俗に反する事項を目的とする『法律行為』は無効と規定されております。 一方、私の教科書に、不法原因給付の判例について「不法」を「反道徳的な醜悪な『行為』としてひんしゅくすべき程の反社会性」としている(最判35.9.16)と記載されておりました。 判例は、『法律行為』ではなく『行為』と言っておりますので、90条を経由しなくても(法律行為ではなくても)、押し貸しの行為およびその目的が公序良俗に反するため、708条を適用できると思っておりました。 言い換えると、公序良俗に反する法律行為がなくても、公序良俗に反する事実行為(例えば詐欺罪の構成要件に該当する行為など)やその目的があれば、708条が適用できると思っておりました。 しかし、回答を拝見したところ、708条の適用領域を厳格に制限する傾向があるとのことですので、上記の私の考えは間違っており、やはり708条は、90条の公序良俗に反する『法律行為』がないと適用できないということでしょうか? 稚拙な文章で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
- utama
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「契約が無効」と「契約が存在しない」は法的には同じ意味です。 「意思の合致が無い時」も、「公序良俗に反する時」も契約は無効であり、存在していません。 多分、ご相談者が考えていらっしゃるのは、「意思の合致がない」ことで、無効といえるのに、わざわざ、「公序良俗に反し」無効を持ち出すまでもないということでしょう。私も、そう思います。 もっとも、現実問題としては、相手は、「意思の合致があった」と主張してくるわけです。意思の合致があったか、なかったかというのは、はっきり言って、水掛け論になってしまいます。万一、相手が「意思の合致があった」ことを立証してしまった時のために、「公序良俗に反し」無効を主張しておくというのも、一手でしょう。
補足
回答ありがとうございます。 最近民法の勉強を始めたのですが、 「無効」は、形式的には一応意思の合致があるが、「不存在」は形式的にも意思の合致がないと習いました。 効果面での差はないと思いますが、内容面で上記のような差異ありませんでしょうか?
- jewels
- ベストアンサー率62% (17/27)
確かに金銭消費貸借契約の意思と意思の合致がないため、契約は不成立です。 公序良俗違反が出てくるのは、その貸したとされる金融業者がヤミ金だからです。もともと違法な高金利をふっかけてくるわけで、出資法違反の可能性がありますし、発展して不法原因給付の問題等がでてくるわけです。
お礼
回答ありがとうございます。 契約自体は公序良俗違反(90条違反)により無効ではなく、意思の合致がないため不存在。 しかし、ヤミ金の目的や行為が公序良俗に反するため、特に押し貸しの場合に、振り込まれた金銭は不法原因給付となり、返還する必要はなくなる。 このような理解でよろしいでしょうか?
お礼
再度の回答ありがとうございます。 私は民法の勉強を始めたばかりで、民法の問題で押し貸しの事例が出題されたときに、「公序良俗違反により無効」が誤った選択肢であったため、今回質問しました。 純粋に法理論で考えれば、意思の合致がないため、民法の無効規定を持ち出す以前に、契約は不存在(不成立?無効?ここらへんの言葉の使い方で少々混乱しておりますが・・・)である。 しかし、現実問題の場合、自分に有利な法律構成を選択でき、公序良俗違反により無効と主張できるということですね。 「押し貸しは公序良俗に反し、90条違反により無効である」と言いきっている回答には未だ違和感を感じますが、民法の勉強と現実問題の差については分かったような気がします。ありがとうございました。
補足
最初の質問とは異なりますが、もしお時間があれば 教えていただけないでしょうか。 押し貸しの事例で、公序良俗違反だから無効だという法律構成を選択した場合、振り込まれた金銭は不法原因給付あたるのというは分かりますが、 意思の合致がない為、契約自体成立していないとう法律構成を選択した場合、押し貸し業者の目的や行為が公序良俗に反するということで、振り込まれた金銭は不法原因給付にあたりませんか? それとも押し貸し業者との間で、形式的にも契約が成立していなければ、不法原因給付とならないのでしょうか?