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小林多喜二著「党生活者」(ネタばれ注意)

小林多喜二の党生活者という小説は 作者の死によって途中で終わっていますが、 もし続いていたら主人公は笠原と別れて 伊藤と結婚したんでしょうか?

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  • Nakay702
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回答No.1

以下のとおりお答えします。 >小林多喜二の党生活者という小説は 作者の死によって途中で終わっていますが、 もし続いていたら主人公は笠原と別れて 伊藤と結婚したんでしょうか? ⇒おっしゃるとおり、作者小林多喜二は、巻末に《(前編おわり)(一九三二・八・二五)》と記して、その半年足らず後に亡くなりましたね。ということは、どんな後編を構想していたのか知る由もありません。まして、《主人公が笠原と別れて、伊藤と結婚したかどうか》は想像するほかに推測の方法はありません。 そこで、私は、『党生活者』やその他の作品、および彼の人間性などから想像を巡らせてみようと思います。なお、下記の箇条書きの中で、両女性の名を一対の組にして示す場合は、「笠原/伊藤」の順で書きます。また、作品からの引用を「*」の後に示します。 ①私(倉田工業の臨時工・佐々木安治)と両者(同工業のタイピスト/逞しい女工)とは隠れ家の住人/同志の間柄であった。 ②あることがきっかけとなって笠原と同居することになり/伊藤とは心強い共闘の仲間となった。 *《彼女(笠原)は覚悟を決め、下へ降りて行った。S町にいる兄が来たので、泊って行くからとことわって来た。だが、兄というのはどう考えても可笑しかった。》 ③私にとって両者はありがたい金づるであり/頼もしい支援者にして情報源であった。 ④その延長上で私は笠原と結婚したが/活動を通して伊藤ともますます緊密になり、また心憎からず思ってもいた。(伊藤にもその気があるかも知れない、と私は思った。) *《私は伊藤を見ながら云った。「(相棒として)俺じゃどうかな?」(…)「責任を持って、良い奴を世話してやることにしよう。」私は冗談のような調子だが、本気を含めて云った。が、伊藤はその時苦い顔を私に向けた……。》 ⑤強いて両者と私との関係の動く方向を予測すれば、笠原とはマイナスの方向へ/伊藤とはプラスの方向へ向かうだろうという兆候がないでもない。 *《笠原は眼に見えて不機嫌になって行った。彼女はそうなってはいけないと自分を抑えているらしいのだが、長いうちには負けて、私に当ってきた。全然個人的生活の出来ない人間と、大部分の個人的生活の範囲を背後に持っている人間とが一緒にいるので、それは困ったことだった。「あんたは一緒になってから一度も夜うちにいたことも、一度も散歩に出てくれたこともない!」 終いには笠原は分り切ったそんな馬鹿なことを云った。私はこのギャップを埋めるためには、笠原をも同じ仕事に引き入れることにあると思い、そうしようと幾度か試みた。しかし一緒になってから笠原はそれに適する人間でないことが分った。如何にも感情の浅い、粘力のない女だった。》/《伊藤は一寸帯の間に手をやると、小さく四角に畳んだ紙片を出した。私はレポかと思って、相手の顔を見て、ポケットに入れた。下宿に帰って、それを出してみると、薄いチリ紙に包んだ五円札だった。(…)フト見ると、ところが伊藤は今迄になく綺麗な顔をしていた。「同志伊藤は今男の本工を一人オルグしてのお帰りなんで――」、須山は又すぐ茶目て、伊藤の顔を指さした。そんな時は何時もの伊藤で、黙っていた。が、彼女はなぜか私の顔をその時見た。(…)伊藤は何時もは男のように大股に、少し肩を振って歩くのが特徴だった、それが私の側を何んだが女ッぽく、ちょこ/\と歩いているように見えた。別れるとき彼女は「一寸待ってネ」と云って、小さい店屋に入って云った。やがて、買物の包みを持って出てくると、「これ、あんたにあげるの――」と云って、それを私に出した。そして、私が「困ったな!」と云うのに、無理矢理に手に持たしてしまった。(…)下宿に帰って、その包みを開けてみながら、フト気付くと私は伊藤と笠原を比較してみていた。同じく女だったが、私は今までに一度も伊藤を笠原との比較で考えてみたことは無かったのだ。だが、伊藤と比らべてみて、始めて笠原がいかに私と遠く離れたところにいるかということを感じた。》 以上から、もしも小林多喜二の「党生活者」という小説の後編があったとすれば、主人公の私こと佐々木が笠原と別れて伊藤と結婚している可能性は充分に考えられるとの感を強くしました。

o2b32
質問者

お礼

ありがとうございます。 そうですよね、 伊藤と付き合いそうな感じでしたね。

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