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ノーム・チョムスキーの「生成文法」に関する質問

ノーム・チョムスキーの「生成文法」に関する質問です。 生成文法のもともとの英語呼称は"Generative Grammar”ですが、ある本では「変形文法」"Transformational Grammar"を「生成文法」と訳しています。 チョムスキーの生成文法"Generative Grammar”と変形文法"Transformational Grammar"は全く同じものなのですか?

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回答No.3

変形の概念を打ち出したのはチョムスキーの師で、構造主義のトップだったゼリグ・ハリス。 変形操作を受け継ぎつつ、生成という概念を打ち出したのがチョムスキー。 変形文法だが生成文法ではない理論はフランスの語彙文法を含めていくつかある。 生成文法はその後、変形を使わない理論も生まれた。 HPSGやLFGである。 (なおLambの成層文法は生成文法ではない。ガチガチの構造主義) だからチョムスキーの理論としては変形生成文法とか生成変形文法と呼ぶのがいいのだが、長すぎるし、実際には変形は理論的にはそれほど重要な意味を持たない。 少なくとも受動化変形などというのはもはや存在しない。 いまでは生成文法と言えばチョムスキーの理論を指す。 チョムスキー以外の理論はHPSGとかLFGとか固有名詞で呼ぶ。

  • Nakay702
  • ベストアンサー率79% (10023/12546)
回答No.2

質問者からの補足を拝見しました。 >Transformational Grammarの訳としては「変形文法」と訳し、補足に「生成文法(Generative Grammar)を現在ではこう呼ぶ傾向があります」と入れればよいですか? ⇒「当たらずとも遠からず」という意味で、お書きのままでもいいと思いますが、厳密に言えば、次のようになります。 すなわち、「生成文法」(Generative Grammar)には、必ずしも変形を要しない文法も含まれる*ので、それと区別するために、特にチョムスキーの文法を「変形文法」と呼ぶわけです。 *例えば、ラムの「成層文法」(Sydney M. Lamb, "Stratificational Grammar")も「生成文法」の一種です。 >何か、他にも補足できるような説明文があれば教えていただけますでしょうか? ⇒以下の2点を補足します。 ①チョムスキーの文法論で特に重要なのは、前便で触れた"Syntactic Structures"ですが、もう一つあって、それはチョムスキー (1965, "Aspects of the Theory of the Syntax")です。これは、「将来への展望を与える一大道標となる役を担った」という意味でとても重要です。 ②「変形」とは、深層構造(基底文)から表層構造(表現文)を導き出すための「(変形)操作」のことです。例えば、The mother was taught it by her son.という表現(表層構造)は、基底にあるThe son taught it to his mother.という文(深層構造)に、《受け身・主語や目的語・所有語などの変形操作》を加えた結果表出された表現文である、と解釈されるわけです。

  • Nakay702
  • ベストアンサー率79% (10023/12546)
回答No.1

以下のとおりお答えします。 >ノーム・チョムスキーの「生成文法」に関する質問です。 生成文法のもともとの英語呼称は"Generative Grammar”ですが、ある本では「変形文法」"Transformational Grammar"を「生成文法」と訳しています。 チョムスキーの生成文法"Generative Grammar”と変形文法"Transformational Grammar"は全く同じものなのですか? ⇒ほとんど同じと考えていいと思いますが、細かいことを言うと、研究の歴史的展開を考慮して区別する場合があります。 どういうことかと言いますと、まず、"Generative Grammar”「生成文法」はチョムスキー (1957, "Syntactic Structures") に始まったわけですが、早々に圧倒的な勢いをもって世界に広まり、受け入れられて、多くの言語学者が鋭意研究し、理論を精緻化していきました。それで、わずか2, 30年のうちに上掲書は古典と呼ぶにふさわしい権威あるものとなりました。 そんなわけで、大勢の学者が "Generative Grammar"「生成文法」なる名称を用いるようになった結果、もはやこの呼称はチョムスキーの文法だけを指すのに用いるべきではないという状況に至りました。そこで、チョムスキーの文法のように変形操作を不可欠の要素と考える生成文法を、特に、"Transformational Grammar"「変形文法」、または、"Transformational Generative Grammar"「変形生成文法」と呼ぶようになった、というわけです。

dotejp60
質問者

補足

Nakay702さま 早速のご回答ありがとうございました。 大変助かりました。 それでは、Transformational Grammarの訳としては「変形文法」と訳し、補足に「生成文法(Generative Grammar)を現在ではこう呼ぶ傾向があります」と入れればよいですか? 何か、他にも補足できるような説明文があれば教えていただけますでしょうか?

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