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【電気】電気のPTとPDの構造上の役割の違いを教え

atm_phantomの回答

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回答No.1

「 構造上の役割 」というのが何を意味しているかが分かりませんが、各々の長短所を説明して、結果として適用されるケースがどうなるかを説明しようと思います。 1. 電圧変動率をいかに小さくするか PT ( VT ) も PD も負担を増やしても規格に決められている定格負担の 25 ~ 100% の範囲で規格に決められている確度の範囲内に変圧比を収めなければなりません。皆さん勘違いしているる方が多いのですが、定格負担の 0 ~ 100% の範囲で規格に決められている確度が得られると誤解している方が多い。負担が軽い時は二次巻線 ( 三次 ) 電圧は高めに、重い時は低めに出るものなのです。その時、最も問題になるのが電圧変動率です。 電圧変動率は負担力率によって大きく様相が異なる上、負担力率には規格で定められた使用条件以外には制限を付けられませんので、もう一つのファクターである短絡インピーダンスを小さくすることが絶対に不可欠です。短絡インピーダンスは巻線そのもののインピーダンスの寄与というのは小さく、殆どが一次・二次巻線 ( 場合によっては三次も ) の片方にしか鎖交しない漏れリアクタンスが殆どを占めています。変圧器というのは磁束鉄心の周りに低圧巻線、絶縁間隔、高圧巻線の様に層状に巻線が巻かれています。絶縁間隔にどのような絶縁物を配置するかの問題は別として、高圧巻線の電圧が高くなるほど絶縁間隔は広く採らなければなりません。広く採ればこの空間を通る漏れ磁束が大きくなります。従って、短絡インピーダンスも大きくなります。 因みに、日本で採用されている最高公称電圧である 500kV に採用される変圧器の短絡インピーダンスは 14% 位あります。通常の高圧の短絡インピーダンスが 6 ~ 8% 位というのに比べていかに大きいか分かりますね。従って、500kV に採用される変圧器は電圧変動に対応するため大部分は OLTC ( 負荷時タップ切替器 ) 付の変圧器です。 高圧で使用される PT ( VT ) は需要も多く大量生産が見込める上、大抵は屋内 ( スイッチギヤ・キュービクル内 ) 使用の設計なので、絶縁油を収納するタンクなどを作るよりも、レジンモールドの注型用金型を投資して製作した方が安価に制作できますし、固体絶縁のために単位長当りの絶縁耐力が高いので、低・高圧巻線間の絶縁間隔も小さく採れることで漏れリアクタンスを小さくできるので、いいことずくめです。 一方、特別高圧でも 154kV 以上の超高圧では、何しろ屋外使用の設計の上、図体がでかいのでレジンモールドの注型用金型など作りようがなく、絶縁油入りの PT ( VT ) で作るしかなくなりますので、低・高圧巻線間の絶縁間隔が大きくなり、短絡インピーダンスが大きくなって、電圧変動率は大きくなる。ところが、分圧コンデンサーと共振リアクトル兼用の補助 PT ( VT ) で構成した PD ならこの欠点を回避できます。 2. 巻線工数のコストを小さくしたい 変圧器というものは、特高以上の電圧となればなるほど雷サージや開閉サージに対する絶縁耐力を向上するために回路上の巻線の離れた部分 ( 巻き始めと巻き終わり etc. ) との静電カップリングを増やして、サージ電圧の分担を均等化する必要があります。このため、小学校の電磁石の実験でやったように順に綺麗にびっしりと詰め並べて巻線することはやりません。意図的に巻線の群を離したり、巻く場所を巻き始めの方向に戻したりする「 耐雷巻線構造 」というのが必要になります。従って、自動巻線機が使えず防塵 ( 塵埃による絶縁性能の劣化を防ぐ ) 室内での手作業による巻線作業を行います。従って、作業工数がとても大きく作業コストがとても大きくなります。従って、電圧が高くなると分圧コンデンサを使って高圧巻線が無くなることのメリットがとても大きい。分圧コンデンサーは主回路 - 低圧端子間の静電容量は電圧が高くなるほど小さいのに対して、コンデンサーは静電容量が小さいほどコストが安い事に注意してください。 3. PLC 通信用の結合コンデンサーとの共用 275kV 以上の基幹送電線では事故除去のための遮断器の開放による送電線の停止区間を極狭にしたり、再閉路を確実にしたりするために、送電線の両端の変電所の間で保護信号や社内電話信号の通信を行ったりしています。日本ではこれにマイクロウェーブによる無線通信を行っている場合が多いのですが、送電線に結合コンデンサー ( 電力の商用周波電流を殆ど流さず、通信用高周波電流を選択的に流す ) を介して送電線に信号を乗せることも多い。従って、設置位置も遮断器より送電線側で、避雷器による絶縁協調の範囲外なので、別の絶縁強度が設定されています。地絡・短絡事故による通信途絶が心配されそうですが、常時監視信号を乗せて監視しますし、三相の内一本でも残っていれば通信できるようになっています。この時に用いられる結合コンデンサーを省略し、PD の分圧コンデンサーを使用して行えるので経済的です。 4. 鉄共振抑制設備の接地が必要 主回路と大地間にコンデンサーを接続した時に問題となるのは、鉄共振による異常電気振動です。このため、PD の三次回路には鉄共振抑制設備を設けるケースが多いようです。 従って、PD は超高圧の系統での使用が圧倒的です。ただし、最近は GIS ・GCS が増えて、且つ、計器・保護継電器のデジタル化による負担の減少から、加圧 SF₆ の強力な絶縁耐力を利用した ガス PT ( VT ) というものも超高圧で使用されるようになってきています。この場合、通信はマイクロウェーブによる無線通信です。

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質問者

お礼

勉強になります

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