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応力腐食割れについての疑問
- SUSの応力腐食割れは、なぜオーステナイト系の方が腐食から割れへ進みやすいのか?
- オーステナイト系は粒界の違いが関与しているのか?
- 応力腐食割れにおいて、オーステナイトとフェライトの挙動の違いが理解できない
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ステンレス鋼の特性解説には「応力腐食割れ(以下SCC)はオーステナイト系ステンレス鋼の欠点」と書かれているにも関わらず、「オーステナイト鋼特有である理由」が書かれておらず、適切な質問である。 SCCは応力と腐食環境(塩素イオン)の共存により発生し、片方だけでは発生しない。 塩素イオンと応力により不動態被膜が局部的に破壊されると、局部的に現れた下地と不動態被膜で耐食性差(局部電池)が生じ、下地部は急激に腐食が進む。応力が無い場合は孔食になるが、応力のために腐食が奥へ進展して行き、亀裂形態になる。亀裂内には酸素の供給が無いので不動態被膜が生成されず、腐食は進行する。 「腐食から割れになる」のではなく「割れ状の腐食」が正しい。割れの中には腐食生成物が詰まっている。 応力により亀裂状腐食の先端では変形が起こる。変形が大きいほどSCCが発生、進行しやすくなる。そのためオーステナイト系に比べてすべり変形しにくいフェライト系はSCCが発生しない(条件によっては発生することもある)。 SCCには粒内貫通型と粒界型の両方がある。炭化物の析出により粒界近傍にCr欠乏層が生成していると、腐食は最も耐食性が低くなっている粒界に沿って進行して粒界型SCCになる。極低炭素系や安定系のオーステナイト鋼種では粒界型は起こりにい。
違った見かたをすれば、使用用途で内容で“オーステナイト系”がクローズ アップされているのも事実です。 熱処理でなく、加工硬化による硬度アップで、バネ材として使用されたり、 A2-50やA4-70の記述のように高強度ボルトとして使用されたりして、高強度 (高応力)での使用が繰り返しや継続でされるため、クローズアップされて います。フェライト系は、高強度になり難いのも間接的に割れ難さにつなが っています。
フェライトは体心立方格子であり,オーステナイトは面心立方格子です。 そのため結晶構造から見れば強度面でフェライト<オーステナイトとなりま す。常温では通常鉄はフェライトやマルテンサイトとして存在するため,安 定性の面ではフェライト>オーステナイトとなります。SUSにおいても炭素鋼 に見られるような不安定なオーステナイト層が存在すると考えられます。 これらが加工等で変化すると強度低下や耐食性の低下の原因になります。 また水素脆化や応力腐食割れは粒界に起こることが多く,すべり(加工)との 相関を論ずる研究報告をよく見受けます。したがって粒界に存在する含有不 純物の影響も受けます。 SUS解説 http://www.toueisangyo.co.jp/5/SUS/SUS.htm 金属組織観察 http://ms-laboratory.jp/pdf/grain/grain.htm 適当な資料が見つかりませんでした。
お礼
要素奇知様、早速の御回答ありがとうございます。 応力腐食割れが粒界に起こることが多いこと、粒界に存在する含有不 純物の影響も受けるということから、Cr炭化物(鋭敏化)の影響が 大きいと感じました。 そうであれば、比較的C含有量の多いオーステナイト系に、応力腐食割れが 特有の現象とされる事に納得がいきました。 追記 オーステナイト系・フェライト系の粒界の写真・もしくは模式図が記載されている サイトがあれば情報をください。