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岡本太郎の「芸術は爆発だ」について

その意味を教えて下さい。 私が思うに、色々な意味で「覚醒せよ」に読み取れます。

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回答No.4

岡本太郎は、美術作品以外に著作もたくさん残しています。「爆発」の意味に興味があるのなら、読まれるとよいでしょう。「爆発」を理解する手掛かりは、いろいろな著作の中にあります。私は若いころにかなり買い集めましたが、その後入手が困難になった時期がありました。最近また文庫化されているので、有名な著作はある程度読むことができます。 岡本太郎は十代でパリへ渡り、フランス語も堪能でしたし、ソルボンヌ大学で民俗学、社会学、哲学を学んでいるので、頭が悪いはずはありません。著作の中で展開している芸術論、文化論は、民俗学、社会学、哲学を土台にした論理的、かつ刺激的なもので、決して感覚だけに頼るタイプではなく、理論家としての一面もあったことがよくわかります。 1988年に『自分の中に毒を持て』(青春出版社)という本が出たときも私はすぐに読みましたが、この中に「芸術は爆発だ」という言葉について直接述べている個所があります。第4章『あなたは常識人間を捨てられるか』の第3節『“爆発”の秘密』です。 そこにはまず、「僕の気ままに言った言葉。それが妙に一般の人気を得て、ついには新語・流行語大賞までもらってしまった。今ではバクハツが勝手にひとり歩きしているようだ。その賑やかな使われ方には、いささかびっくりしている」と書かれています。しかし、「気ままに」とはいっても、「爆発」という言葉は岡本太郎の信念として若いころから使い続けていた言葉で、1968年に開いた個展のタイトルも『太郎爆発』でしたし、1970年にパリで同じ個展を開いたときも、そのまま『TARO EXPLOSION』となっていました。 同書の中から、何カ所か直接引用します。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ぼくが芸術というのは生きることそのものである。人間として最も強烈に生きるもの、無条件に生命をつき出し爆発する、その生き方こそが芸術なのだということを強調したい。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ぼくとしては昔からなれた言葉なので、なんで今さら騒がれるのか、不思議な気がする。 ところで一般に「爆発」というと、ドカンと大きな音が響いて、物が飛び散り、周囲を破壊して、人々を血みどろにさせたり、イメージは不吉でおどろおどろしい。が、ぼくの言う「爆発」はまったく違う。音もしない。物も飛び散らない。 全身全霊が宇宙に向かって無条件にパーッとひらくこと。それが「爆発」だ。人生は本来、瞬間々々に、無償、無目的に爆発しつづけるべきだ。いのちの本当のあり方だ。 (以上、1988年刊の版の202ページ。現在の文庫版のページ数とは一致しません。) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ この本の別の個所に、「“爆発”発想法」という文もありますが、そこには、岡本太郎がいろいろな機会に繰り返し話したエピソードとして、小学校へ上がったばかりのときに、居丈高で理不尽な物言いをする先生に対して抱いた反感が書いてあります。そのせいで、岡本太郎は一年生の時に4回学校を変えます。最後の学校で出会った先生は、厳しいながらも言うことに筋が通っていたので従うことができたということです。変わった子供と言えば変わった子供ですが、「体制側と、それに順応するものとのバカシあい」は、大人の世界だけでなく、子供の世界にもすでにあり、「それに抵抗した」といいます。それに関連して、「出る釘は打たれる」という言葉を引きつつ、次のようなことを述べています。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 何ごとにつけても惰性的であり、危険を避け、無難であることが美徳とされているのが日本一般のモラルだ。会社や近所づきあい、普通の人の処世術でも、議会における答弁にしても、経済人の発言・行動も、そして芸術表現までが何となくあたりの気配ばかり見回して煮え切らない。(105ページ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ぼくはかつて、「出る釘になれ」と発言したことがある。誰でもが、あえて出る釘になる決意をしなければ、時代はひらかれない。(中略)この現代社会、システムに押さえこまれてしまった状況の中で、生きる人間の誇りをとりもどすには、打ちくだかれることを恐れず、ひたすら自分を純粋につき出すほかはないのである。(106ページ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ そんな岡本太郎は、画家を志して渡ったパリで、「印象派やエコール・ド・パリといった、西洋文化の土壌の上に花ひらいたその様式をそのまま受け入れて、コピーすることの無意味さ」に耐えられなくなり、一時絵を描くことをやめてソルボンヌ大学で学問を学びます。その後のことについて、次のように書いています。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 自対他。一体自分は何なのか。幼いころから抱きつづけてきた絶対にゆずりわたすことの出来ないアイデンティティーを、どうこの世界に押し出していったらいいのか。一番根本の悩みはそう簡単に答えを見い出すことは出来なかった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ある時、パッと目の前がひらけた。 ……そうだ。おれは神聖な火炎を大事にして、まもろうとしている。大事にするから、弱くなってしまうのだ。己自身と闘え。自分自身を突きとばせばいいのだ。 炎はその瞬間に燃えあがり、あとは無。――爆発するんだ。 自分を認めさせようとか、この社会のなかで自分がどういう役割を果たせるんだろうとか、いろいろ状況を考えたり、成果を計算したり、そういうことで自分を貫こうとしても、無意味な袋小路に入ってしまう。 今、この瞬間。まったく無目的で、無償で、生命力と情熱のありったけ、全存在で爆発する。それがすべてだ。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 生きる――それは本来、無目的で、非合理だ。科学主義者には反論されるだろうが、生命力というのは盲目的な爆発であり、人間存在のほとんどといってよい巨大な部分は非合理的である。 (以上205~206ページ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 引用が長くなりましたが、この言葉の真意を理解するには、最低限このくらいの発言を知らなければならないでしょう。さらに深く理解するには、岡本太郎の思索の全体を知る必要があります。岡本太郎が自分の創作理論の土台としたヘーゲルの弁証法哲学とか、民族芸術に見る根源的エネルギーを論じる民族文化論などです。 引用した書物は、現在文庫版で入手可能です。 https://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AB%E6%AF%92%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A6%E2%80%95%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AF%E2%80%9C%E5%B8%B8%E8%AD%98%E4%BA%BA%E9%96%93-%E3%82%92%E6%8D%A8%E3%81%A6%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%8B-%E9%9D%92%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%B2%A1%E6%9C%AC-%E5%A4%AA%E9%83%8E/dp/4413090101

noname#229433
質問者

お礼

人文科学の部類には、あまり詳しくないので、勉強になりました。 親も「もう亡くなった」ぐらいしか知らないと話していました。 NHKで、あのCMを30年ぶりに報道していたので、あの言葉に異常な関心を持ったのです。 大人になってから考えても理解できなかったので質問しました。

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その他の回答 (3)

noname#225485
noname#225485
回答No.3

意味はないと思いますよ。 芸術家ですから理論ではないのでしょう。 彼の感覚的な意味合いだと思います。 彼の作品群が彼の才能の爆発なのでしょう。

noname#229433
質問者

お礼

彼の変わった作風は天才的です。 鬼才でないのならば意味がない言葉ですよね。

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  • sakakill
  • ベストアンサー率11% (1/9)
回答No.2

岡本太郎って絵の才能はあっても 頭は良く無かった筈・・ 山下清も同等・・ジミー大西も・・・ そういった面から考えると 単に発した言葉が有名になっただけの様に思えるが?

noname#229433
質問者

お礼

>単に発した言葉が有名になっただけ そうかもしれませんね。

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  • mimazoku_2
  • ベストアンサー率20% (1849/8857)
回答No.1

正直言って、本人しか分からないですね。 あくまで個人的な印象になりますが、「覚醒」ではありません。 覚醒は、似ているけどある程度のルール内という縛りがあると思います。 「爆発」は、既存の常識にとらわれず、自分の思う通りにしなさい、そして開花させなさい、という意味合いだと思っています。

noname#229433
質問者

お礼

やはり難しいですね。 覚醒と言うとオウム真理教を思い出しますし笑。 それも、既存の常識ではありませんでした。 爆発=破壊的な意味ではない独創的で創造的な意味かもしれませんね。

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