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【大至急】『落窪物語』について
『落窪物語』の道頼は落窪の君に愛情を示すために報復を行ったのでしょうか? 愛情を示すためだったら落窪の君が制止している時に報復をやめると思うのですが…。 報恩は喜んでいる落窪の君を見てやってよかったと思っている描写があるので喜ばせるための行為だったと言えると思うのですが…。 報復は愛情を示すためなのでしょうか?それとも違う目的があったのでしょうか?
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◎愛情を示すために報復を行ったのでしょうか? 男君は、女君が親たちから『落窪』という忌まわしい名で呼ばれているのを聞いて怒りを感ずることによって、自分が女君を深く愛していることに気が付きます。それまでは、当時の貴族の通例としての通い婚の一人でした。しかし中納言家は彼を婿として待遇せず女君を奥深く閉じ込めて二人の仲を裂き、継母は好色老人に女君を犯させ婿に直そうとします。この仕打ちは男君に報復を決意させるに十分なものがあります。 ◎愛情を示すためだったら女君が制止している時に報復をやめると思うのですが…。 報復にあたって、男君は一々女君と相談はしません。ただ、中納言家から男君に四の君の婿にとの誘いがあった時には、それに乗じて報復する前に女君に事情を話しています。 「君の妹に僕が婿入りするという話があるんだけど、僕が行くと見せかけて他の人を行かせようと思うんだ。」 「それはよくないわ。いやならいやと素直に言えばいいのよ。きっとずいぶん心無い仕打ちだと思われるわ。」 「あの母さんに目に物見せてやりたいんだ。」 「母さんのことはもう忘れてよ。あの子(義妹)が憎いわけじゃないでしょ。」 「君は情にもろいんだね。人を憎み続ける事はできそうにもないな。」 この対話の後半の方ばかりが強調されがちですが、だいじなのは男君の第一声です。女君は男君の家の一隅に居ますが、両家から認められた婚姻ではなく、盗み婚、いわば駆け落ち状態です。それに対し四の君についての申し出は通い婚(婿取り)であり、うまくいけば男君の家に移すこと(据え婚・嫁入り)もありえます。その場合男君の愛情だけが頼みの女君は懊悩の月日を過ごさねばなりません。しかし最初からその心配がなくなった女君な鷹揚に話を続けます。女君は報復を制止してはいません。自分のために一途に打ち込んでくれることがうれしいし、報復をやめたら自分への愛情も冷えてゆくのではないかと心配なのです。 このあとしばらくたってから、女君が懊悩の日々を過ごすことがおこります。今度は男君の乳母を介して右大臣家の娘との縁談が持ち込まれます。男君は『今は決まった人がいて、その人に夢中だから無理だ、とでも言ってことわってくれ』と乳母に言いましたが、乳母は、決まったといっても素性も知れない人だしと、自分で判断して右大臣家には縁談を受け入れるかのように言ってしまいました。このことがうわさとなって、ついに女君の耳にも伝わり、落ち込んでしまいます。女君の懊悩を察した衛門(腹心の侍女・幼名あこき)が夫の帯刀(乳母の息子・男君の乳兄弟)に相談し、帯刀は母(乳母)を詰問し口論し、乳母もその勢いに押されて、男君に言われた通りのことを右大臣家に言上して、事が納まります。 このような段階を経ることによって、女君は男君の愛情を深く信じるようになります。それにつれて男君の両親、親戚などにも受け入れられ、旧知の侍女たちに慕われ、義弟妹とも通交し、男君の報復の最後は父中納言との対決と和解。結果として、女君は押しも押されもせぬ正妻(北の方)になります。 ◎報恩は、喜んでいる女君を見て、やってよかったと思っている描写があるので、喜ばせるための行為だったと言えると思うのですが… 女君は、昔男君が自分を思い初めた頃のことが思い出されて、 「私の事どんなふうに好きになったの。あこきは都合の悪いことは言わないと思ったのね。初めて私と逢ったとき、どうだったの。最初っから一途に私のこと好きだったの。」 「さあてと、それは違うなあ。あの「落窪」と呼びたてられていじめられてた夜に好きな気持ちが一気にふくらんだね。その夜寝ながら考えた計画が今迄に全部成功したよ。今度は随分懲らしめた埋め合わせに驚くほど喜ばせてやりたいと考えたから、あの人(四の君)のこともこうして面倒をみるのさ。義母(かあ)さんは嬉しいと思っているのかい。景純(義弟)たちはたしかにうれしがってるけどね」 「母さんにしても嬉しいと言う時の方が多いみたいよ」 この部分、本文(の解釈)に乱れがあります。 あこきは心うきめは見聞かじとおぼして おぼす 敬語なので主語は男君 北の方はうれしと思ひたりや 敬語が無いので 北の方は女君の継母 女君には敬語を使う。「さいなまれ給ひし」 ◎報復は愛情を示すためなのでしょうか? それとも違う目的があったのでしょうか? 男宮の愛情が報復・報恩のプログラムを実行させました。 女宮はそのプログラムの実行に男宮の愛情を感じました。 プログラムの目的は、自分の最愛の女性を押しも押されもせぬ正妻にすることです。