ゴーンガール ネタバレあり

質問

エイミーはカレンダーにポストイットで「自分が死ぬ」としていましたが、それは、なぜ実行されなかったのですか？。それも偽装ですか？。

回答No.3

ucok

以下、ネタバレ。

＃２さんに補足するような内容になりますが、エイミーはもともと、自分を好きになれないというか、生きていたくない人だったのだと思います。もちろん彼女なりに人生を謳歌してきたわけですが、自殺願望みたいなものも常にあったのでしょう。中盤、彼女がサイコパス（異常者）呼ばわりされますが、幼い頃から「アメイジング・エイミー」として人とは違う”異常”な生活を強いられてしまったがために、心がゆがんでいるのでしょう。初期のシャロン・ストーンが演じていたような役を思い出しました。

でも、彼女はタダじゃ起き上がりも倒れもしない人ですから、どうせ死ぬなら人を懲らしめて死にたいわけです。そこが小気味いいですね。終盤にわかりますが、彼女は相手を懲らしめることでしか”愛”を表現できないようです。それで今回の”復讐”を自殺の好機と見たのでしょう。また、彼女には自殺を決行するだけの”勇気”も”情熱"もあるわけです。予告編に残酷な水死体が映りますが、あれはむしろ彼女のステキな夢だったのでしょう。

しかし、いろいろなことが彼女にとって都合よく回っていくうちに、「死ぬ必要なんてないんだわ」と気づくわけですが、あそこはむしろ、彼女に生への執着という、これまでにはなかった価値観が芽生えた瞬間なのではないかと思います。それを可能にしたのが（回り回って）ニックです。妊娠も、そのあたりから初めて希望するようになったのではないかという見方もできます。

一般的な映画なら、どす黒い心を持った人間が、愛に目覚めて優しくなって、ハッピーエンドへとつながりそうなものですが、そこはフィンチャーです。毒気は違う毒気へと変換され、そのバランスによって結婚生活が続いていくわけです。

しかし、現実の結婚生活というものもまた、そのくらい毒々しいものです。だからこそこの映画は「大人のデートムービー」と言われるのです。子供が観たら、それこそ結婚不審になってしまうでしょう。でも大人が観れば「そうだよなあ」と、なんといいますか、血染めの安心感を得られるのですよね。