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時間が第4の座標軸と認定された根拠について
最近はなんとなく時間軸が第4の座標軸で、私たちが実感している世界は3次元空間に1次元の時間軸を加えた4次元なのだという考え方が半ば常識のようになっているようです。 しかし、物理学の専門家ではない人たちには、なぜ時間軸が空間の座標軸と並ぶ座標軸として扱われて良いのかという疑問が湧くでしょう? このQ&Aサイトのどこかで見た気がするのですが、ある変換を行なうことで、空間の座標軸が時間軸に変わったり、時間の座標軸が空間の座標軸に変わるので、時間軸を空間の座標軸と対等なひとつの座標軸として扱えるのだといった記述があったようです。 その変換とは、具体的にはどのような変換でしょうか? 複素平面において、虚数をベクトルにかけ算することで実数軸が虚数軸に変わり、虚数軸は実数軸に変わったかのようになるのと同じようなものなのでしょうか? しかし、時間には決して逆には進めないという因果律から来る鉄則があるようですが、どちら方向にも動ける空間の座標軸とそのような制約のある時間軸が本当に対等なのでしょうか?
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- selpo
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まず、ガリレイ変換はご存知でしょうか。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%82%A4%E5%A4%89%E6%8F%9B 簡単にいうと、 A:地面に対してx軸正の向きに速度vで等速直線運動 B:地面に対して静止 というA,Bの二人がいたとします。この時の二人の座標系は x'=x-vt, y'=y, z'=z, t'=t という変換を受けます。これはニュートン力学の範囲内の話です。 当然、時間は変換を受けませんので、tとx,y,zを対等に扱う必然性はなく、 通常、tは特別扱いされます。 ところが、よくよく調べてみると、ガリレイ変換は厳密には成立しておらず、 ローレンツ変換と呼ばれる変換に修正されます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%84%E5%A4%89%E6%8F%9B 先程と同じ状況で x'=γ(x-vt), y'=y, z'=z, t'=γ(t-vx/c^2) となることが分かってしまいました(γ=1/sqrt(1-v^2/c^2))。 vがcに比べて十分小さい範囲では、近似的にガリレイ変換に帰着します。 つまり、我々が今まで正しいと思ってきたガリレイ変換はv≪cという範囲でしか成立しない 見識の狭いもので、本当はローレンツ変換に従っていたのです。 そして、このローレンツ変換を見ると、x', t'がx, tの一次式となっています。 先程のt'=tとは全く様子は異なって、時間の中に座標が混じっているのです。 これをもって、時間と空間は独立したものではなく、統合されたものとみなさざるを得なくなったのです。 今まではR^3というユークリッド空間を扱っていました。 そこに時間を混ぜた(3+1)次元の時空を、ミンコフスキー空間といいます。 さて、このミンコフスキー空間ではtとx,y,zは完全に対等でしょうか? つまり、ただのR^4とみてよいでしょうか。 実は、完全に対等ではありません。というのは、ユークリッド空間ではP(x,y,z), Q(X,Y,Z)として d(P,Q)^2=(x-X)^2+(y-Y)^2+(z-Z)^2 が距離をはかる方法でした。これは、ガリレイ変換を行っても、座標軸を回しても、座標軸を一定距離ずらしても変わりません。 つまり、どの慣性系から見てもd(P,Q)は不変です。 ニュートン力学の範囲では距離が見る人によって変わることはありません。 ならば、と、ミンコフスキー空間で「距離」を考えたければ、P(x,y,z,t), Q(X,Y,Z,T)として D(P,Q)^2=(x-X)^2+(y-Y)^2+(z-Z)^2+(t-T)^2 とすればよいのでしょうか?もし、時間と空間が完全に対等ならこれで良いはずです。 ところが、これではうまくいきません。xとtの単位が異なるからではありません。 単位をそろえて、 D(P,Q)^2=(x-X)^2+(y-Y)^2+(z-Z)^2+c^2(t-T)^2 としてもダメです。 というのは、先ほどのローレンツ変換を施すと、D(P,Q)が一定にならないのです。 例として、P(0,0,0,0), Q(1,0,0,1)とします。簡単のためc=1とします。この時、D(P,Q)^2=2です。 v=0.6としてローレンツ変換すると、γ=5/4なのでP'(0,0,0,0), Q(1/2,0,0,1/2)となります。D(P',Q')^2=1/2≠2です。 実は、正しい「距離」は D(P,Q)^2=(x-X)^2+(y-Y)^2+(z-Z)^2-c^2(t-T)^2 であることが分かっています。時間の部分の符号が反対になるのです。 この「距離」はローレンツ変換に対して不変です。つまり、誰が見ても変わりません。 (ちなみに、不変なのはDであってdではないので、相対論の範囲なら見る人によってdは変わり得ます。これが有名なローレンツ収縮です。 また、ニュートン力学の範囲ではd'(P,Q)=t-Tも不変です。が、相対論の範囲ではやはりd'は変わり得ます。これが、時間が延び縮みすることに対応します) さて、時間と空間が完全には対等でないことが分かりましたが、これは何を意味するのでしょうか。 このD(P,Q)とやらは何を表すのでしょうか。 実は、これが因果律の保存を表します。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%86%86%E9%8C%90 上のページを見てください。 光円錐と呼ばれるこの「円錐」はP(x,y,z,t),Q(0,0,0,0)としたときの D(P,Q)^2=0 が表す曲面を描いています。そして、 円錐の内側でt>0の部分を未来光円錐、 円錐の内側でt>0の部分を過去光円錐、 円錐の外側の部分を空間的領域 と呼ぶことにします(一般的な用語ではないかもしれません)。 これらは、 D(P,Q)^2<0かつt>0 D(P,Q)^2<0かつt<0 D(P,Q)^2>0 であらわされます。そう、全てD(P,Q)^2でかけているのです! D(P,Q)^2が誰から見ても不変ということは、これらは誰が見ても同じように見えるのです。 私にとっての未来光円錐は、他の人にとっても未来光円錐ですし、 私にとっての過去光円錐は、他の人にとっても過去光円錐です。 よって、未来と過去の順序は保たれる。 (…と言いたいところですが、一つ説明を省略したところがあります。 ここは読まなくてもいいです。 「t>0」とか「t<0」は不変でないのでは?というところです。 じつは、ローレンツ変換というのは4つの部分からなっていて、時間反転をT、空間反転をPとして、 PもTも含まない部分をL0として、L0, PL0, TL0, PTL0に分かれます。 このうち、L0, PL0は、未来光円錐、過去光円錐を変えません。 Tが入ると、未来光円錐と過去光円錐がひっくり返ります。) ↑は読まなくていいです。 が、じつは空間的領域(光円錐の外側)に関しては、時間の順序は保存されません。 ある人にとっての過去が、他の人にとっては未来に見える、ということが起こります。 これでは因果律は保たれていないではないか、ということになりますが、そうはなりません。 なぜなら、「情報は光速以下でしか伝わらないから」です。 これを今の言葉でいえば、「光円錐の原点で起こったことは、空間的領域には全く影響しない」となります。 光円錐の表面が光速で伝わる場合の限界なので、その外にはいけない、ということです。 これの意味するところは、空間的領域はそもそも自分とは「無関係」の領域だということです。 自分と無関係であれば、その領域でどんな変なことが起こっても知ったことではありません。 こうして、因果律は保存されるのです。 精密にいうと、 自分に影響を与えうるのは過去光円錐の出来事に限られ、 自分が影響を与えうるのは未来光円錐の出来事に限られる。 ということです。 これが、相対論における因果律です。 蛇足になりますが、もし、光速を超えて伝わるもの(タキオンと呼ばれます)が存在したとすると、上の「自分と空間的領域は無関係」が成立しなくなります。 そうすると、因果律が破れて、自分が過去光円錐に影響を与える、といったことが出来てしまいます。 因果律が破れると簡単に色々な矛盾が生じてしまうので、通常は、理論を作るときはタキオンができないようにします。
>なぜ時間軸が空間の座標軸と並ぶ座標軸として扱われて良いのかという疑問 特殊相対論で、そのように扱い始めました。アインシュタインの特殊相対論の論文を読んで、アインシュタインの数学の師のミンコフスキーが時間も含めた幾何学にできると気付いて、そのように特殊相対論を書き直したのが始まりです。 普通のユークリッド幾何学では、直交するx・y軸がある平面で原点からの距離sは、s^2=x^2+y^2(ピタゴラスの定理)と表されます。ミンコフスキーが特殊相対論を書き直した幾何学では、2次元で表すとして、空間軸xと、時間tに光速度cを乗じたctを用い、時間・空間での距離sは、s^2=x^2-(ct)^2と引き算で表します。 そうすると、うまく光速度不変の仮定の下、速度次第で時間や空間が「歪む」ことが表せるのです。 そういうものですので、ニュートン力学などでは用いません。古典電磁気学でも、(日相対論的な)量子力学でも用いません。それらを特殊相対論で書き直した場合に、時間と空間をまとめて扱うようになります。 >ある変換を行なうことで、空間の座標軸が時間軸に変わったり、時間の座標軸が空間の座標軸に変わる それは特殊相対論の範疇では出てきません。一般相対論から導かれるものの一つにブラックホールがありますが、ブラックホールを覆う事象の地平面(よく光でも抜け出せなくなると言われるもの)の内部では、そのようなことが起きます。 ブラックホールに近づいて行くと、一般相対論から導かれる距離は事象の地平面で無限大に発散します(距離、または時間が無限大になる)。そこで、距離や時間にある変数変換を加えて座標系を工夫し(クルスカル座標など)、さらに解析接続と呼ばれる数学的操作をすると、事象の地平面で無限大に発散しないようにでき、ブラックホールの事象の地平面内部が記述できるようになります。 そうして分かるのは、どうやってもブラックホール中心に向かうことしかできず、しかし外界の時間のほうは逆向きに進んだりするということです。そのことを「空間と時間の役割が入れ替わった」などと表現することがあります。 >どちら方向にも動ける空間の座標軸とそのような制約のある時間軸が本当に対等なのでしょうか? タキオンなどの超光速が実在すれば、過去に戻ることが可能となり(所要時間が0でとどまらず、さらにマイナスにできる、つまり過去に戻れる)、因果律は保証できなくなります。因果律は経験則でしかありません。少なくとも相対論には時間の反転を禁止する法則はありません。理論としては空間と時間は対等でよいのです。
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ありがとうございます。
- 中村 拓男(@tknakamuri)
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まず、4次元時空は中世からある考え方です。 ニュートン力学でも相対性理論でも同じです。 未だ、時間軸の取り扱いは空間軸とは違います。 ニュートン力学よりは相対論の方が似通ってきたけど同じにはなってません。 このサイトで説明されていた変換というのは多分ローレンツ変換のことでしょうね。 ニュートン力学も相対性理論も時間の向きについては何の制限も 設けていません。つまり最近の学説が時間の向きについて何か新しいことを 言っているわけではありません。 根拠というのは定番ですが、理論の予測と実験結果が合うことです。 ごくわずかな基本法則から導かれる結果が、現象の測定値 を正確に予測すれば、科学者はまずこれはあっているのだろうと考えます。 後は実験を積み重ね。確信を積み重ねてゆきます。破たんがなければ それが通説になります。 哲学的な理由を物理に求めても徒労に終わるだけです。
お礼
ありがとうございます。
- doc_somday
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余り良い説明ではありませんが、物理は専門ではないので許して下さい。 1)「手続」で空間と時間を入れ替える事については寡聞にして知りません。 2)三次元空間軸と時間軸は「直交」しており、三次元の空間軸の相互関係と全く等価です。 3)時間軸が第四軸とされるのは、単に光速を超えることが出来ず、事象は時間軸方向を軸とする 円錐状の内部に閉じ込められる為だと思います。(説明不足) 4) >時間には決して逆には進めないという因果律から来る鉄則 これは国語的にはおかしい、 >時間には決して逆には進めないという事実と「因果律」は言い替えです。 >制約のある時間軸 最近(実際はかなり昔)、量子論でしか記述出来ないミクロな世界では、 時間は「逆行出来る」とみなされるようになりました、ただ余り意味はありません。 「理論上」は逆行出来ても「事実」は逆行出来ないのです、つまり逃れられない。
お礼
ありがとうございます。
お礼
ありがとうございます。