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受動態

chiaroscuroの回答

回答No.8

2,3気にかかることがあったので、ご参考まで。 1.能動文と受動文は、意味の上で一定の対応関係がありますが、この2つは、まったく別個の構文です。従って、能動文を基に受動文を作るというのは正しい考え方ではありません。古典的な例文を拝借すると、(1)は、「ビーバーの習性について、ダムを作るという特色がある」ことを述べていますが、これを「受動文」にした(2)の「およそダムと名の付く建造物の作り手が誰かと言えば、それはビーバーである」という主張は、人間もダムを造るという点で、現実世界の知識と整合しないので、容認されません。 (1) Beavers build a dam. (2) *A dam is built by beavers. 2.何を受動文と見るのか。 例えば、(3)の能動文に対応する受動文として、(4a)の他に(4b)を含めて考えるのかどうかが問題となります。 (3) The news surprised us. (4) a. We were surprised by the news. b. We were surprised at the news. 狭い意味での受動文というのは、(A)能動文の目的語に当たる表現を、話題として主語に起用した文か、(B)能動文の主語に当たる動作主(agent)を文末焦点の位置に移動した文のいずれかを指します。(B)は、一般に、文末は、情報上、最も重要性の高い表現が入る位置ですが、そこに、動詞主を移動することで際立たせることを指します。この時、動作主はbyによって導かれます(学校文法では、受動文というと、機械的にby句を入れる傾向があるようですが、その場合は、コンテクスト上、この部分に強調を置く必然的理由があることを意味することになります)。この場合、受動文は、(4a)のみとなります。  しかし、(4a)を動作受動態、(4b)を状態受動態と分類して、過去分詞を動詞に近い意味で理解するか、形容詞に近い意味で理解するかの違いと考えることもできます。  更には、認知文法のように、受動文は、be+形容詞構文の一種であると見なすこともできます。この場合、「受動文」に現れるbe動詞は、Mary is beautiful.に現れるbe動詞と同様に、主語の持つ特性についてcharacterizeする働きを持つと考えます。  一口に学校文法といっても、指導要領の手を離れて久しい現在では、「受動文とは何か」について考え方に大きな開きがあるのではないかと思われます。 3.knowの受身とは?  受動文の使い方を指導するのに、knowを選ぶとは、恐ろしいことを考える人もいるものだと思います。ご質問に関して言えば、Who is the man...known to?またはTo whom is the man...known?は、ありうる表現だと思います。ただし、know somebodyは、単に名前だけ知っているとか、顔だけ知っている場合でも、knowが使えますが、somebody is known to...と言ったときには、主語のsomebodyは、who somebody is (like)の意味で解釈され、「~と言ったら誰なのか、その人となりについて、...が知っている」を表します。その点で、対応する能動文の表す意味の「ある側面」を映しだすだけで、完全な等価関係にあるわけではありません。  問題は、somebody is known byです。このbyが仮に、動作主であるとすると、動作主というのは、someone or something that performs an actionなので、knowは「動作」動詞の資格を獲得していることになります。実際、この場合のknown by...では、...が「知ろうという意思がある」ことを示唆すると説明する向きもありますが、考え方に問題もあります。  動作動詞の受身は、affectedという概念で説明するのが基本的で、「殴られる」とか「脅かされる」のように、物理的・心理的に、何らかの力の流れによって主語が影響を受けることを表し、その源がbyの導く名詞句(の指示する対象)です。  しかし、be known byでは、どのような力の流れがあるのでしょうか?  むしろ、これは、状態動詞の受身であり、byは動作主を表さないと考えた方がよさそうです。参考になるのは、「特徴づけ」から説明する認知文法の視点です。live inは、句動詞ではありませんが、受身文が可能です。The house was lived inでは非文ですが、後に、適切なby句を伴うと容認されます。「この家は、そんじょそこらの家とは違って、かつて住んだのが誰あろう、ナポレオンです」と言えば、家に箔が付くので容認されます。ところが、(Taroさんには悪いのですが)どこの馬の骨か分からない人が住んだのでは、問題の家が他の家とは違う特徴を適切に獲得することができないので、容認されません。 (5) The house was lived in by [*Taro/Napoleon]. (5)は、また、文の構造がまったく同じであっても、表現の組み合わせ(家-住む-住む人)が悪いと容認性が大きく変化することに注意する必要があることを教えています。  (6)は、be known byの実例です。is one whoの部分は、タイプ分けしていると考えてください。「有名人とは、どんなタイプの人を指すかというと、自分のことを知っている人は大勢いるにもかかわらず、肝心の当人は、相手のことを知らないでホッとしている人種である」とでもできましょうか。 (6) A celebrity is one who is known by many people he is glad he doesn't know. (アメリカのジャーナリストHL Mencken の言葉)  まさにby以下の表現によって、celebrityとは何かがくっきりと浮かび上がってくる点で、「特徴づけ」という概念がbe known byの容認性に関わっていると考えてよいでしょう。  この場合、Who is a celebrity known by?あるいはBy whom is a celebrity known?も可能でしょう。人生の機微に触れるジョークや警句を、知恵を比べあいながら考える場面で、「有名人とは何かを、その人たちを知る立場にある人との関係から、特色が鮮明になるような解答を出しなさい」と問うことは考えられなくはないからです。  しかし、ここで問題にしているthe man who wrote that songとは誰なのかを、その人を知る立場の人について解説を与えることでイメージを鮮明にする必要性・動機を考えるには、かなり無理があるように思います。つまり、byを選択した場合の容認性は、かなり下がるのではないかと思います。  生成文法にしろ、学校文法のお手本である伝統文法にしろ、文脈自由が基本ですが、文脈自由の意味合いは、両者で違うように思います。伝統文法は「例文をもって語らしむ」という精神があり、百言を費やす説明を読むよりも、山をなす例文の一つ一つを丁寧に読めば、どのような場面で、どのような意図で使うべきかは、自ずと分かるはずだという信念があったと言っていいでしょう。何かと批判の多い学校文法ですが、その中で苦労しながら指導法に工夫を重ねていられる方々には只管、敬服の一念ですが、例文の大切さに今一度、ご考慮いただけることを願う次第です。

toko0503
質問者

お礼

ご専門家の立場から詳しくご教示下さって、誠にありがとうございました。確かにただ機械的に練習させる目的の例文なのは感じます。実際に使える英語なのかどうか、という吟味がなされてない様です。一考すべきことかもしれませんね。コメント本当にありがとうございました。プリントしてじっくり読ませて頂きました。

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